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ツルとキツネのごちそう その一

日曜の元気なご挨拶。

パロディ昔話第百二十六弾です。

今回は『ツルとキツネのごちそう』で書かせていただきました。

原作はツルが飲みにくい皿でスープを出し、後でツボに入った肉で仕返しをされ、反省するお話です。

「やられたらやり返す!」の方向性を変えてみると……?


どうぞお楽しみください。

 昔々あるところに意地の悪いキツネがいました。

 キツネは日々いたずらをしかけては、相手が困るのを見て楽しむという、困った性格をしていました。

 そのキツネがある日ツルに目をつけました。


(今日はこいつをからかってやろう……)


 にたりと笑ったキツネはすぐに人の良い笑顔に切り替えて、ツルに声をかけます。


「ツルさんツルさん」

「何だいキツネ君」

「君に美味しいスープをご馳走をしたいんだ。僕のうちまで来てくれないかい?」

「それはありがたい。ご馳走になろう」


 そんな事とは知らないツルは、喜んでキツネについて行きました。


「ここが僕の家だよ」

「お邪魔します」


 キツネはツルを家に入れると、お皿に入れたスープを用意しました。


「さぁどうぞ召し上がれ」

「わぁ、美味しそう!」


 しかしツルの長いくちばしは、お皿でスープを飲むのには向きません。

 そして羽ではスプーンをうまく使えないとキツネは考えていました。


(まともに飲めないで慌てるだろうな……。くくく……)


 キツネはこっそりほくそ笑みました。

 しかし、


「これは美味しい! いい仕事してますねぇ!」

「え……」


 ツルはスプーンを使って器用に飲んでしまいました。


「ご馳走様! ありがとう!」

「ど、どういたしまして……。ツルさん、スプーンの使い方上手いね……」

「親が厳しい鳥だったからね。子どもの頃は大変だったよ」

「そうなんだ……」

「今度は私がご馳走させてほしいな」

「あ、うん、よろしく……」


 キツネはツルを呆然と見送り、その後悔しがりました。


「ちくしょう! なら今度はご馳走になりに行った時にけちをつけて困らせてやろう!」


 数日後ツルに自宅に誘われたキツネは、


「え……」


 再び驚きに言葉を失いました。


「ようこそキツネ君! さぁどうぞ上がって!」

「……お邪魔、します……」


 あまりに豪華なツルのお家に、キツネは緊張して上がります。


「遠慮なく食べていってね!」

「い、いただきます……」


 用意されたフルコースに、文句をつける事もできず、


「どう? 美味しい?」

「お、美味しいです……」


 と答える事しかできませんでした。

 美味しいものをお腹いっぱい食べて、お土産までもらったキツネは、


「……意地悪するより親切にした方が、良い事あるなぁ……」


 とそれ以降は意地悪をする事なく、皆に親切にするようになりましたとさ。

 めでたしめでたし。

読了ありがとうございます。


意地悪にはざまぁが良く似合う……。

なおツルにそのつもりは全くない模様。

ちなみにキツネは相手をより悔しがらせたかったので、スープはかなり力を入れて作っていました。

意地悪の為とはいえ、手を抜かなかったのが良い結果に繋がったのかもしれません。


次回はリクエストをいただいた、『鬼の子小綱』で書かせていただこうと思います。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
金持ち喧嘩せず、意外と鶴さんは狐の意地悪に気付いていて、やんわりとお返しをして改心させたのかも知れないですね。 単純にお金持ち故に悪意に疎くて、美味しいスープをご馳走してくれたから、としか考えてないか…
[一言] 逆に言うと、いくら意地悪をしても相手がそう思わなければ、怒らせる理由にならないともいいます。
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