長靴をはいた猫 その二
日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第百二十三弾です。
今回は『長ぐつをはいた猫』で書かせていただきました。
猫全開です。
どうぞお楽しみください。
昔々あるところに、粉挽の家族が住んでいました。
その家には息子が三人いました。
息子達が成人したところでお父さんは、その三人に財産を譲る事にしました。
一番目の息子には、粉を挽くための風車を譲りました。
二番目の息子には、粉を運ぶロバを譲りました。
三番目の末息子には、たった一匹のネコだけでした。
「猫一匹もらったって、どうしようもないよ」
落ち込む末息子に、ネコは言いました。
「おっとご主人! ボクに長ぐつと袋を作ってくれたら、きっとご主人様を幸せにしてみせるにゃ」
「本当かい!?」
早速末息子は長ぐつと袋を作って渡しました。
するとネコは長ぐつを履いて二本足で立つと、この国の王様のところに行きました。
「うにゃん」
その愛らしい姿に、王様とお姫様はハートを鷲掴みにされました。
「うおおおお! 何このにゃんこ! 長ぐつ履いてる! 可愛い! 可愛すぎるうううぅぅぅ!」
「お父様! このネコちゃん飼いましょう! 私大事にしますから!」
「にゃあん。ごろごろ……」
「ひぎゃあああぁぁぁ! 可愛い! あ、足! 足にすりすりって……!」
「ぺろぺろ。んにゃあん」
「きゃあああぁぁぁ! ネコちゃんが、手をぺろぺろって……!」
王様とお姫様はネコの魅力にメロメロになりました。
「ごそごそ……」
「んにゃあああぁぁぁ! 袋に入って、あぁ、顔をひょこっと出して……!」
「あぁ……! 袋に入ったネコからしか得られない栄養がある……!」
「んにゃあん」
「奇跡の組み合わせ! べぇすとぉまぁっち!」
「ぎゃんかわわわわわわ!」
二人は歓喜の涙に濡れました。
「よし! ここににゃんこ部屋を建てよう!」
「いえ! 私の部屋にネコちゃんスペースを作って、おはようからおやすみまで暮らしを見つめて……!」
「いえ、光栄ですけど、ボクにはもうご主人様がいるにゃん!」
「きぇぇぇぇぇぇあぁぁぁぁぁぁしゃぁべったぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「イメージ通り、いえ、それ以上のきゅん声いただきましたぁん!」
「と言うわけで、ボクをお迎えしたいのなら、ご主人様も一緒に」
「よし! 養子として我が家に迎えよう!」
「これでずっと一緒ねネコちゃん!」
「……流石に即決するとは思わなかったにゃん……」
こうして末息子は王様の養子に迎えられました。
「ゆくゆくは我が跡を継いで王となれ!」
「え、ちょっと何言ってるのかわからない」
「お義兄様って呼んでもよろしいですか?」
「あ、は、はい」
末息子は王様とお姫様の元で、ネコ共々幸せに暮らしましたとさ。
「めでたしめでたしにゃん」
読了ありがとうございます。
猫はあざと可愛い。
だ が そ れ が い い !
次回は『天女の羽衣』で書こうと思います。
よろしくお願いいたします。