三匹のこぶた その四
日曜の元気なご挨拶。
パロディ昔話第百九弾です。
今回は『三匹のこぶた』で書かせていただきました。
三匹を最初から協力させたらどうなるかなーと思って書いてみました。
どうぞお楽しみください。
昔々あるところに、三匹のこぶたがいました。
ある時お母さんぶたからこう言われました。
「ここに矢があります。一本ではこう、簡単に折れてしまいます。しかし三本を束ねると容易には折れません。あなた達三匹もこの矢のように力を合わせるのですよ」
「はい! わかりました!」
「肝に銘じて」
「が、頑張る……!」
こうして三匹はお母さんぶたの言葉を胸に、家を旅立って行きました。
「さて、じゃあ協力して家を建てよう!」
「どんな家がいいでしょうね」
「お、オオカミが来たりするかもしれないから、あ、安全な家がいいな」
末っ子は二人に比べて臆病でした。
比べて一番上のぶたは楽観的で、考えるよりも行動するタイプでした。
「とりあえず藁とかで簡単な家を建ててみよう。そうしたら問題点とかもわかるだろう?」
「ふむ、一理あります。本格的な家が完成するまで、仮の家は必要ですしね」
「だ、大丈夫かなぁ……」
怯える末っ子に、一番上のぶたはトンと肩を叩きました。
「なぁに、やってみて失敗しても、三匹の力と知恵を合わせればきっと良い方法が浮かぶさ!」
「えぇ、お母さんの教えですから」
「う、うん! 頑張る!」
こうしてまず藁の家ができました。
「とりあえずは住めるな!」
「でもこれでは台風などには耐えられませんね。軽くて暖かいのはいいですが」
「じゃ、じゃあ今度は別の材料で作ろうか……」
三匹は相談して木の家を作りました。
「お! これはなかなかいいんじゃないか?」
「えぇ、居住性も安全性も高まったと思います」
「……でもやっぱり不安だよ……。火事とかになったら僕ら丸焼きになっちゃうよ……」
「気を付けてれば平気だって!」
「いえ、放火や貰い火という可能性もないわけではありません。そうすると燃えない素材で家を作るのが良いかと」
「だったら、僕、使ってみたい素材があるんだ……」
三匹は木の家で生活しながら、レンガの家を建てました。
「うん! これなら安心だな!」
「それでは藁と木の家は解体しましょう」
「え、こ、壊しちゃうの……? せっかく作ったのに……」
「そりゃそうだろ。住まないのに置いといても仕方ないだろ?」
「空き家を放置するのは、治安上も良くありませんしね」
「だ、だったら……!」
その後、藁と木の家は解体されました。
しかし藁は丁寧に編み直してベッドやカーペットに、木は箪笥などの家具に生まれ変わりました。
「三匹で力を合わせれば、ばっちりだな!」
「えぇ、前向きさと慎重さをうまく合わせれば、間違いも少ないでしょう」
「これからもよろしくね!」
それを見ていたオオカミは、
「仲良し三姉妹とか尊い……。ずっと見てられる……」
とご満悦でしたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
若干パンチが弱いかなと思って姉妹設定にしてみました。
長女……快活で楽天的。考えるよりも行動タイプ。
次女……クールな眼鏡キャラ。分析や整理が得意。
末っ子……臆病は家族思いの裏返し。慎重だけど大事なものの為なら勇気を出せる。
オオカミもこれにはにっこり。
次回はキリ番なので、タイトルを隠してお送りします。
よろしくお願いいたします。