赤ずきん その三
日曜の元気なご挨拶。
ですが色々あって土曜にこんばんは。
パロディ昔話第百五弾です。
今回は『赤ずきん』で書かせていただきました。
どうぞお楽しみください。
昔々あるところに、赤ずきんという女の子がいました。
赤ずきんはいつも赤い頭巾を被っていたので、そう呼ばれていたのです。
ある日赤ずきんは、森に住むおばあさんのお見舞いに行くために、森の小道を歩いていました。
そこにオオカミが現れました。
「おやおや、赤ずきんちゃん、どこに行くんだい?」
「この道をまっすぐ行ったところにあるおばあさんの家に、お見舞いに行くの」
オオカミは心の中で舌なめずりをしました。
おばあさんの家の中なら、狩人に見つかる事なく赤ずきんとおばあさんを食べられると考えたのです。
「お見舞いにはお花がいるんじゃないかな? そこの小道を少し行ったところに、花がいっぱい咲いているよ」
「そうね。オオカミさん、ありがとう! じゃあ一緒に行きましょう!」
「えっ」
無垢な笑顔に、オオカミは断る術を持っていませんでした。
「あ、じゃあこっちです……」
オオカミは思わず敬語になりながら、赤ずきんを伴って花畑に連れて行きました。
「あの、ここです……」
「わぁー! 素敵なお花畑!」
「じゃあ僕はこれで……」
「ねぇ! おばあさんにはこの黄色い花と青い花とどっちが良いかしら!?」
「……えっと、黄色をメインにして青をアクセントにしたら良いのではないですか……?」
「ありがとう!」
「あっはい」
「あ! この花はどうかしら!?」
「お、オレンジは周りに散らした方が、メインの花が引き立つんじゃないかと思います……」
「流石オオカミさん……!」
「ありがとうございます……」
オオカミは結局断り切れず、一緒に花を摘んでおばあさんの家に着きました。
「おばあさん、お加減はどう?」
「うん、大した事なかったわよ」
「……じゃあ俺はこれで……」
立ち去ろうとするオオカミを、赤ずきんの小さな手が掴みます。
「オオカミさんありがとう! おばあさん! オオカミさんのおかげで素敵なお花を見つけられたの! ねぇ! 一緒にお昼ご飯を食べてもいい?」
「えっ、いや、その……」
「それがいいねぇ。台所は任せたよ」
「はーい!」
「えっと、あの……」
なし崩し的にオオカミはお昼ご飯をご馳走になりました。
お腹が膨れたオオカミは、おとなしく森に帰りましたとさ。
めでたしめでたし。
読了ありがとうございます。
優しい世界。
明日はもうひとパターン投稿させていただきます。
よろしくお願いいたします。