スルーされる公爵令嬢
そして、公爵様側は魔道具で結界を張ったが、俺達はルージュに結界を張ってもらい、そのままテントを組み立てて爆睡する。
それから夜が明けて、俺は目を覚まして起きようとすると
「やっぱり、こうなっているよな」
ローゼとルージュにガッチリ抱きつかれていて、全く動けない。
だが、俺は諦めない!
何とか体を動かして、離れようとするが、相手は騎士とドラゴンである。
正直、雑貨屋をしている店員が力で勝てる相手では無い。
なので、結果は無理だ。
そう思って、少し考え事をしていると
「主君おはようございます」
ローゼが起きたので
「ローゼ、おはよう。早速だが、一つ頼みを聞いてくれるか?」
「何でしょうか?」
ローゼは、まだ寝起きで頭が回っていない様に見えるので
「ルージュを何とか起こしてくれないか?」
と聞いてみると
「確かに、もう六時なのでそろそろ起こしますね。でも、主君の腕にガッチリ抱きついていますよね。ワタシも、もう少し寝たいです」
なんかマズイ雰囲気になって来たので
「ルージュを起こさないと、朝ご飯が作れないのだが……」
と言ってみると
「ダンナ、朝飯が食えないのはなんでだ!?」
とルージュが飛び起きた。
俺は、何とか拘束が外れたので安心していると、ルージュが抱きついて来て
「敵か? それとも食料が無くなったか!?」
とパニックになっているので
「とりあえず、敵でも無いし、食料もかなり買い込んでいるから無くなって無いぞ。それよりも、俺が動けなかっただけだ」
とりあえず動けるようになったので、テントから出ると、隣の公爵様が使っている豪華なテントからは、まだ誰も出て来ていない。
なので、俺はローゼを連れて来て、その後にアイテムバックから、食材を取り出す。
そして、昨日洗浄魔法をかけておいた調理器具を使い、朝ご飯を作成する。
「ダンナ、今日の朝飯も美味しそうだな」
と横ではルージュがこちらをガン見してくるので
「ルージュとりあえず、肉挟みパンを作ったからたべるか?」
「食べるぜ!」
俺は何個か作った肉挟みパンを渡すと、ルージュはかぶりつく様に食べる。
「主君、こちらの料理も完成して来たので、そろそろテーブルに置いて食べますか?」
ローゼがそう話して来たので
「公爵様達はまだ起きてこないから先に食べるか」
俺とローゼは作った料理を大皿に乗せてテーブルに置いた後、イスに座り
「いただき「ちょっと待ったぁ!」えっ……」
俺達がイスに座って食べようと時に、ランジア様がストップをしてくるが
「とりあえず、冷める前に食べるか」
とルージュが言ったので、俺達は食べ始める。
「いや、だから待ってくれと言っているだろ!」
なんか、ランジア様が怒っているので
「あの、ランジア様。何かありましたか?」
と聞いてみる。
すると
「何故ハルヤ達は妾をスルーして、美味しそうな料理を食べているのだ!」
と言って来たので
「あの、お言葉ですが、ランジア様も食べたかったら『食べたい』と言っていただければ提供しますよ」
俺はストレートにそう話すと
「確かに、妾は『ちょっと待ったぁ!』しか言ってなかったな。では改めて言う、妾も食べさせてくれ」
「分かりました。それでは空いている席に座って、大皿に料理を乗せてください」
なんか、チョロいような気がするが、スルーする。
そして、少しした後、アイリスさん達三人もテントから出て来たので、俺とローゼはまた料理を作る事になった。(ちなみに、ルージュはいつも通り爆食いしている)
それから、みんなが食べ終わり、第二ダンジョンの攻略が始まった。
ダンジョン攻略のフォーメーションは、おととい話し合った立ち位置になり、俺は天銀の弓を召喚して、手に持つ。
「あの、ハルヤ様。何故凄そうな弓を持っておられるのですか?」
「あの、ここはダンジョンですよ。武器を持つのは当たり前だと思いますよ」
流石にその質問には普通に返すと
「すみません、言葉を間違えました。私が思うに、その弓はかなり高性能な弓ですよね。ハルヤ様は何処でその弓を手に入れたのですか?」
「それは、他のダンジョンで手に入れました。それ以上は言えないですね。それよりも敵が近づいて来ますよ」
俺はそう言って、矢を引いてゴブリンを撃ち抜く。
そして、ゴブリンの死体から魔石を回収して、どんどん進む。
そして、最初のボスである十層のボス部屋に到着する。
「ランジア様、ここが十層のボス部屋です。ちなみに相手は黒ゴブ(仮)と取り巻きの鎧ゴブ(仮)が前に存在していました」
とりあえず、この情報を伝えておくと
「ハルヤ、情報ありがとう。でも、妾達はそう簡単に負けないからみていてくれ」
そう言われて、今回の戦闘は俺、ローゼ、ルージュは参加しなくてもいいみたいだ。
そして、ランジア様、アイリスさん、グローリーさん、アネモネさんの四人のボス戦が始まった。
次の更新は二十一日火曜日の十七時ごろにします。




