巨大雑貨屋の問題児
次の日、俺達は出来る限りの準備をする為、冒険者ギルド直営の巨大雑貨屋に向かう。
「あの、主君。少しいいですか?」
「ローゼ、先に言っておく。俺は雑貨屋を経営しているのに、何故冒険者ギルド直営の巨大雑貨屋に、向かうのかを聞きたいのか?」
「当たりです。主君のお店でもかなり質の良いポーションとかあるので、わざわざ巨大雑貨屋に向かわなくてもいいと思うのですが」
ローゼはそう言って悩んでいるが
「確かにそうなんだが、俺の店はそこまで冒険者に必要な物を仕入れていないから、今回みたいな事が起きたら、他の所に買いに行くしか無いんだよ」
俺は今から行く巨大雑貨屋のある店員達の事を思い浮かべてため息が出る。
「ダンナ、大丈夫か?」
「ルージュ、ありがとな。いや、これから行く雑貨屋には苛つく店員が二人程いるから、そいつらとは合わないようにしたいなと思っている」
だが、現実は非情だ。
俺達は、目的地の巨大雑貨屋〈ギルドアイテム〉と書かれた看板がある建物の中に入ると
「やぁ、ハルヤ。今日こそ、オレ達の店にポーションを下ろしに来てくれたのか? それと、レイナとソル以外にこんなに綺麗な美人さんを連れて来るとは思ってもいなかったよ」
「キッド、色々突っ込みたくなったけど一旦放置して、お前も相変わらず変わらないな」
この店の問題児の一人である、キッドに声をかけられてしまう。
俺は頭を抱えたくなるが、なんとか我慢するが
「えっ!? ハルヤが来たの? なら今日こそ店員として勧誘した方がいいと思うので、店長を呼んで来ますね」
近くにいた、もう一人の問題児である、ハネラにも見つかってしまう。
「主君、これは一体どうゆう事ですか?」
「キッドとハネラはこの店の問題児と言われているんだ。まずキッドは、女性なら基本、声をかけまくっていて、あまり仕事はしないけど、なんだかんだ売上がいいらしい。ハネラは逆で男性を手玉にとって色々していると、聞いている」
「ハルヤ、その紹介は酷くないかい。確かにオレは女性には声をかけるけど、流石に駄目な時はわかっているぞ」
「わたくしも、向こうの男性がナンパしてくるだけで、かなり貢いでくれるので、向こうが勝手にやっている事ですよ。それなのに結婚してくれと言われるこっちの身にもなってください」
この二人は美男美女なので、この店ではかなりの人気はあるが
「それなら、何故この店で働いているんだ!? お前らなら、ソーラント辺境伯領にある、執事カフェやメイドカフェで働いたら良くないか? 多分かなり人気が出るぞ」
ぶっちゃけ、この事は何回も言っているが
「ハルヤ、それはお前にも言える事ではないのか? 正直、オレと同等かそれ以上に人気があるぞ。ただ、レイナとソルが大体横にいるから、声がかけづらいとみんなは言っているぞ」
「それは知らん。それよりも、この話は終わらして、とりあえずダンジョン用のアイテムを買いたいから、とりあえず行くな」
そう言って、二人から離れる。
「主君、あの人達はかなりモテるのですね」
「そうだ、あいつらにはかなりのファンがいるから、かなりややこしい」
そう言って、ダンジョン用のアイテムを買って、さっさと巨大雑貨屋から出る。
そして、今度は食料を売っている市場に行って、片っ端から買い占めて、それを〈時間停止のアイテムバック〉の中に放り込む。
「あの、主君。確かにルージュは相当な大食いなのは知っていますが、かなりのお金を使っていますよね」
「ローゼ、これはダンジョンから帰って来てからの分も入っているから買ったんだ。でも、これだけ買っても一ヶ月もつかどうか分からない……」
「そうですね……」
俺とローゼの視線は屋台の串焼き肉を大量に買い食いしている、ルージュに行く。
「ダンナ、この串焼き肉かなり美味しいぞ」
「そうか、それよりもこの辺の屋台の飯を大量に食べても、まだまだ食べれるのはすごいな」
「当たり前だ。これはまだ前菜にもならないぜ。それよりも今日はたらふく食べても大丈夫なのか?」
「前行った食べ放題店は、店長がガチ泣きしていたから、あんまり行けないな。それなら、ギルド直営の食堂件酒場に向かうか」
俺はそう言って、ローゼとルージュを連れて行って、ギルド直営の食堂件酒場に向かった。
そして、店の在庫が無くなるまでルージュはたらふく食べて、会計が相当な額に行ったことは、伏せておく事にする。
そして、家に帰って来て、ゆっくり雑談を始める。
「そういえば、ダンナの回復魔法は何処まで出来るんだ?」
「何処まで? とりあえず、傷を治したり、状態異常は殆ど治せるな。でも、血を増やす事はあまり得意ではないな。他には呪いを解いたりする事も出来るぞ」
前にお金を稼ぐ為に、教会で日雇いで働いていた時に、呪いを受けた人がいたから治したら、かなり驚かれたな。
そして、俺達はこの日はゆっくりする事にする。




