魔石の必要性
とりあえず、俺の事は置いておいて、公爵家の依頼の説明が始まる。
「今回、私達公爵家の者+ランジアお嬢様がここに来た理由ですが、先程も伝えた通り、ボスクラスの大きな魔石が、イースト・デューク家に必要になったからです」
いや、それならランジア様が来なくて良いような気が、
それに、ボス相手に七人で突撃するのは、普通は自殺行為だぞ。
そう思っていると
「あの、何個か質問いいですか?」
「はい、ローゼリア様。質問して大丈夫ですよ」
アイリスさんから質問の許可を取ったローゼが発言する。
「まず、何故公爵家に魔石が必要になったのですか?
私の実家である、辺境伯家にはなんの情報も入って来て無いですよ」
ローゼがアイリスさんを見ながらそう伝えると
「それは、公爵家の秘密に関わるので、他の家には話せないのです。それに、私も細かい事は当主様から聞いていないのです」
いや、流石に大まかな説明は欲しいな。
俺は少し黙って、話を聞いていると
「はい、納得は出来ませんが理解できました。二つ目は、ダンジョンは危険な所なのに、公爵家の次女であるランジア様が何故一緒に来られるのですか!?」
「いや、それを言うなら、辺境伯家の長女であるローゼリアもなんで、ダンジョンに入るのだ?」
今まで黙っていたランジア様が、まともな事を言ったので俺は驚く。
まぁ、それはさておき、ローゼはランジア様に言われた事をどう返すのかを見ていると
「私は、主君の騎士です。主君が行かれる所はワタシもついて行きます。もちろんこの事は、当主である父上も了承しています」
やっぱりその事を話したか
「確か、ローゼリア様は他の貴族の縁談を全部断った、クールな人だとお聞きしていたのですが、ハルヤ様の時だけは違うのですね」
アイリスさんが驚いたように喋ってくる。
「もちろんです。主君がいなければ、今のワタシは無いですから」
ローゼがヒートアップして来たので
「ローゼ、流石にストップだ。メインの話からズレているぞ」
「これは失礼しました」
少し治ったようで、テーブルに置いてある水を飲んで落ち着いた後、質問の続きを始める。
「あの、それで何故ランジア様も、一緒に入られるのですか?」
「それは決まっておる。一つは妾がダンジョンに入って経験を積みたいから、もう一つは、ハルヤの能力と本気を見たいからだ」
それ、思いっきり私用じゃないか!?
しかも、また完璧に巻き込まれていないか?
「何故、主君の事をそんなに知りたいのですか?」
「それはソーラント辺境伯がかなり自慢していたからな」
「はい『我がソーラント領には強力な回復魔法を使えて、ポーションも一級品を作れるイケメンがいるぞ』とおっしゃられてしましたね」
似たような事は聞いたけど、まさかそこからか
「しかも辺境伯夫人も『もし彼が婿養子になったらいいわね』と便乗しておられたのを確認してます」
「あの、バカ父上とバカ母上!」
ローゼがガチギレしているので
「ローゼ、今は一応公爵家の前だぞ。キレるのは抑えた方がいいぞ」
「わかりました主君。でも、後でワタシの愚痴を聞いてもらってもいいですか?」
「大丈夫だから、落ち着け」
また、ローゼを何とか落ち着かせて、ランジア様とアイリスさんを見ると
「パーティーとかで落ち着いているローゼリアばかりを見てきたから、こうやって熱くなっているのは、さっきのを除いて初めて見るな」
「そうですね。でも、それほどハルヤ様を大切に思っているのですね」
二人は、そう言って頷いている。
その事を聞いていると、恥ずかしくなって来たので
「ローゼ、他には何か質問は無いのか?」
「それは、七人で二十層の初見ボスと戦うのはかなり危険ですよ。普通はもっと人数を増やして戦うべきだと思うのですが、大丈夫ですか?」
俺も一番そこが聞きたかったんだよな。
こっちにはルージュがいるから余裕だったけど、普通は少人数でボス戦なんてしないよな。
そう考えていると
「それは、人員削減ですね。討伐といっても、恐らく私達だけでは、ほぼ勝ち目ゼロの戦いです。それはハルヤ様達、三人が入ってもです」
「確かに、学園の戦闘術の成績がトップクラスのローゼリア、かなり腕利きの回復魔法使いのハルヤ、そして、強そうな傭兵? のルージュを合わせても、妾達だけでは無理だ」
いや正直、ルージュがいるから余裕で勝てますけどとは、流石に言えないな。
その事を思っていると
「ダンナ、一つ聞きたいんだが、いいか? 今回俺様はなにをすればいいんだ」
「それは、俺の護衛で頼む」
「了解したぜ」
ルージュが喋って来たので、俺はそう返す。
それはさておき、今回の作戦を聞く。
「まずは、二十層までの道のりですが、一回あるボス戦はスルーします」
ちょっと待て、スルーするのか。確かに出来ない事はないが……。
そう思っていると、ランジア様の言葉で、俺達は驚く事になる。




