ブラックな職場
久しぶりの更新日以外の更新です。
一人目と二人目の事はある程度わかったので三人目の会長候補の事を聞く事にした。
「さっき説明した二人は過激派でしたが、最後の一人は穏便派になるのでまだ大丈夫だと思いますよ」
「それは、良かったわ。でも何かありそうと感じるのはわたしだけかしら?」
それを言ったら終わりなような気がするが、話を聞かないと進まないので
「ソル、多分その事を感じているのはお前だけじゃないと思うぞ。それに、どう対処すればいいかわからないから話は聞かないとな……」
「そうね。ハルヤと一緒に巻き込まれてきた問題も色々あって今回も似たような感じかと思うと気が重くなるわね」
いや、お前達は巻き込んでくる側でもあるよな。しかも、かなり酷い方法で強引に巻き込んできた時もあったから人の事言えないと思うぞ、と言いたかったけど話がズレるのでやめておく。
「それはともかく、最後の一人はどんな人なんだ?」
レイナがリーズさんにそう聞くと
「名前はカームさん、男性です。性格は一言で表しますと、優しくて人の気持ちとかをわかってくれる人ですね。私も辛い時は何回か相談させていただきました」
「なる程な。でも会長になれそうなのですか? 自分が思っている限り何か障害がありそうですが」
「そうですね。二人の過激派の人達よりも決定力が無いので難しいですね。後、ハルヤさんは敬語では無くていいですよ」
「わかった、そうさせてもらう」
「リーズ、主君は初めて会う人とは敬語で喋る事が多いからその事をもっと早く言ってください!」
ローゼが槍をリーズの喉元に突きつけて今にも刺しそうなので
「待て待て、先に聞かなかった俺も悪いから今回の事は不問にしてくれるか?」
「わかりました。リーズは命拾いしましたね」
「は、はいぃ……」
ローゼが何とか落ち着いて座り直した後、その光景を見ていたレイナとルージュが
「とりあえずそこは置いておいて、そのカームさんの事を聞き出さないか? 流石にお腹が空いてきた」
「そうだな。俺様もそろそろ飯屋に行きたいと思っているから早めにして欲しいぜ」
「貴女達この話に飽きてきてきてないかしら?」
「あのソル。ボクもかなりお腹が空いてきたから手短に頼むよ」
この三人が空腹になっているのはマズイ事になりそうなので俺達は手短にする事にした。
「レイナ達が限界になる前に話が終わればいいけど難しそうだな。悪いけど急ぎ目にして貰ってもいいか?」
「わかりました。ローゼリア様も怖いので早めにはなしますね。続きですが、カームさんは平民ですが現場からの叩き上げで会長候補に成り上がった人です」
「それは凄いね。でもそのカームさんは何で会長になりたいのだろうね。ボクが話を聞いている限り、二人よりも権力やお金がないから嫌がせとかをかなり受けそうだね」
「それは、アルスト商会のブラックな環境を変えたいと言っていました。なのでカームさんを知っている現場の人はかなり押していますね。後、嫌がらせも何とかしているみたいですよ」
「なる程、それならまだ何とかなりそうだな。それで後足りない情報は何かあるか?」
「私が知っている限り他の情報は無いですね。後、私の処遇はどうなるのですか?」
そこは襲撃自体はしてないし、アルスト商会の人達に情報を伝えただけだから難しいような気がする。
「それでは、ワタシの回答を言っても大丈夫ですか?」
「はい」
ローゼそう喋ると、リーズは目を瞑りながら判決を待つ罪人みたいになっている。
「先ほどリーズの処遇の事を父上や兄上と話し合ったのですが、その諜報力を生かしてソーラント辺境伯家に仕えでください。勿論借金の事はまた別問題ですが、今回の事はこれで不問にしようかなと考えています。皆さまもそれで大丈夫ですか?」
……えっ。それで大丈夫なのかと聞きたいのはこっちなんだが。
なので、その趣旨をローゼに伝えると
「はい、勿論です。ルージュは気づかれたとはいえ、ワタシ達は気付いていなかったので、その能力は我がソーラント辺境伯家に使えそうだと思ったので勧誘する事にしました」
「まぁ、ローゼがそれなら別に大丈夫だとは思うけど何か不安だな」
俺がそう言うと
「それも大丈夫ですよ。恐らくリーズは諜報部隊に入隊する事になるので上司からは厳しく躾られると思いますのでそこはご心配なく。後、もし襲ってきたら迎撃すればいいだけの話ですからね」
「あの私、精一杯働かせていただきます。本当は処刑されても文句は言えないのに」
リーズは目に涙を溜めながらそう話してきた。
それを見て、これなら大丈夫かと思って周りをみてみると、俺以外のメンバーも同じく頷いていたのでこの話は終わって、レイナ達の希望で国軍の支部から出てレストランに向かうことにする。
そして、リーズはしばらく国軍支部の預かりとなり、隣の部屋にいたライムとポルカさん今日は泊まってくと言っていた。
そしていつもの如く、レイナとエルとルージュの三人が店にある食料の在庫が無くなるまで食べた後も何軒かハシゴをして、ある程度満腹までなるのに付き合ってやっと宿に帰る頃には二十二時近くなっていた。
そして武装を解いて宿に備え付けられている風呂に入った後、寝巻きに着替えた時にある事を思う。
「そういえばどうやって寝るんだ? 確かこの大部屋を一つしか借りてなかったよな。でもまぁ、三人部屋が二つとリビングがあるから女性陣は三人部屋で俺はリビングで寝ればいいか」
そう思って他のメンバーに聞こうとすると、何故が俺の少し離れた所で、女性陣が本気でジャンケンをしていたので
「みんな、もし俺が邪魔になると思うからリビングで寝るからお前達はベッドのある部屋で寝ても大丈夫だぞ」
と聞いてみるとちょうどジャンケンが終わったらしく、レイナとローゼが喜んでいて残りの三人が凹んでいたので
「ハルヤ、邪魔にはならないぞ。それよりもハルヤは私とローゼ様と一緒の部屋になったが大丈夫か?」
「いやいや、俺はリビングのソファーで寝「主君、すみません」……えっ」
その言葉を聞いた後、ローゼにお姫様抱っこして部屋に運ばれて、何故かキングサイズのベッドの真ん中に下ろされて左右には二人が俺の腕に抱きついている。
そして、俺はある事を思った。
それはなんか前にもこのパターンはあったような気がする。
そう思いつつ左右にいる二人を見ると何故かこちらをジーと見つめてきたので
「二人とも何でそんなに俺のほうを見てくるんだ?」
「いや、なんでもない。ただ寝られないだけだ」
「主君、ワタシもレイナと同じです」
なんか引っかかるが突っ込むと面倒になりそうなので放置するとして、ある事を思い出す。
「そういえば、情報の方はリーズから聞けたから何とかなるけどそれだけだと確定出来ないから他の奴からも聞きたいな。後、今回必要になりそうなミスリルはどうやって手に入れたらいいかな? 前に手に入れた分もあるけどそれは残しておきたいからな……」
難しい問題だなと思っていると
「あの、情報の方は他にも方法があるので何とかなると思いますよ。それよりも主君は何でミスリルが必要なのですか?」
「それは俺が考えている作戦の大事な所だな。二人には先に説明した方がいいな」
俺は二人に作戦の話をすると
「なる程、それならこの問題も何とかなりそうですね。それに公爵様との約束の時までには間に合いそうですね」
「ハルヤの考えは難しいけど今回は私にも何となく理解出来たよ」
二人にもいい方向に捉えて貰えたので他の三人にも明日伝える事にする。
そして、その後は少し話した後そのまま爆睡して次の日を迎えた。




