制裁その二
会議室に入って使用人の方々が紅茶を持ってきた後、本格的な話し合いになった。
「あの、流石にこんな簡単に後ろ盾になってくれるのはおかしくないですか? 数日前に会ったばかりのその辺にいる平民の自分に公爵家の方が許可を出すのは」
俺は普通に何かあると思い、そう話すとランジア様とアイリスさんが
「確かに普通ならそうだが、妾達はお前には大怪我をした騎士を助けてくれた恩があるのと、妾の直感がお前は只者ではないと言っているから許可しただけだ」
「それに、おそらくハルヤ様は他にも沢山の手札があると思ったので、ランジア様と話し合って許可しました」
と言ってきたので俺は嫌な予感がしてしまう。
だが、その嫌な予感が分からず考えていると、ローゼがある事を話してくる。
「主君。実は前に主君の事をある程度言ってしまったのです」
「ちょっと待て、それって俺の秘密の事も話してしまったパターンか?」
俺がそうやってローゼに聞くと
「はい。と言っても回復魔法の腕しか言ってないので大丈夫ですよ」
それダメなやつでは? 確か、前にエルが話していたけど、俺の回復魔法と魔力量はおかしいと言っていて誰にも話さない方がいいと言っていて、口止めしていたけど、結果こうなったか……。
そう思っていると
「バッチリ聞いているぞ。でも、今回はこの話を長引かせるわけにはいかないから、本題の新ダンジョンの二十層の初見ボスの話をするな」
なんか、色々問題な事を言われたような気がするが、俺もその事は一旦置いておく事にして話を聞く。
「それでは改めて、今回のメインの二十層の初見ボス討伐の話し合いを始めます。今回の進行役はこの私アイリスが努めますので、皆さまよろしくお願いしますね」
そうやってアイリスさんが挨拶をしてきたので、俺達もイスに座りながら頭を下げる。
「それでは今回、急遽一緒に参加される事になったハルヤさん達がいるので、最初から説明しますね」
「自分達は二十層のボスの事は知らないので、役に立たないですよ」
ハッキリ言ってこう言うしかないので言うと、アイリスさんが続きを話してきた。
「まず、公爵家の次女であるランジア様がこの辺境の街のロートスにきた理由は、公爵家で大きな魔石が必要になったからです」
いや、それならおかしくないか?普通なら公爵家の次女であるランジア様がここに来るよりも他の高ランクの冒険者や、お抱えの腕利きの騎士団を派遣すればいいのでは?
それに、確かローゼからダンジョンの事などで調査に来ると聞いていたけど、そっちは大丈夫なのか?
そうやって考えていると
「あの、ダンジョンの二十層の初見ボスにこの人数で倒すのは無理ではないですか? 後ダンジョン以外の調査は大丈夫なのですか?」
ローゼがアイリスさんにそう聞くと
「まず一つ目のローゼリアさまが指摘された二十層の初見ボス討伐の件ですが、明日には本隊である約二百人の公爵家専属の騎士や魔法使い達がこの街に到着します」
いや、それなら何故ランジア様達はその本隊と一緒に来なかったんだ?
俺は頭を傾けて悩んでいると、今まで静かだったルージュが
「それならなんで本隊と一緒に来なかったんだ?」
ストレートに質問すると
「それは、妾が本隊の準備が遅くて待ってられなかったから、先にきただけだ」
まさかのわがままでこうなったのか……。
そう思って呆れていると
「それで結局は騎士の一人が大怪我をする羽目になったので、もちろんこの事は現当主様や奥様、お嬢様の教育長にもお伝えしますね」
とアイリスさんが言うと
「それだけは辞めてくれ。特に教育長にこの事を伝えると妾は色んな意味で外に出られなくなる」
なんかランジア様が、前にアイリスさんからお仕置きされる時よりも格段に震えていたので、俺は少し聞いてみる事にした。
「あの、こんなにランジア様が震えているのですか?」
「それはランジア様の教育長のサトレナ様はとても厳しい方なのです。それでよくランジア様はお仕置きされていたのですが、私の口からは話せないかなりエグい事になっています」
「なる程です。ワタシもその事はランジア様から聞いた事があります」
なんか、話がズレてきているような気がしたので
「あの、話がズレてないですか? 今回は調査の事で話し合いをしているのにその教育長のお仕置きの話になっていますよ」
と伝えると
「確かにそうですね。どうせいつものようにランジア様が、教育長にお仕置きされるのは確定していますし、話を戻しますね」
「そんな恐ろしいこと言わないでくれ。そうだ、ハルヤ殿。何か解決策はないか?」
「それは自分よりも後でアイリスさんに聞いてください」
俺はそう言った後、アイリスさんが話を戻す。
「長くなりましたが、とりあえずローゼリア様が指摘された事の二つ目を答えますね」
「お願いします」
「それでは、新ダンジョン以外の調査の事ですが、それは本隊と一緒に来る文官達がすると聞いてます。後本隊は先鋭五十人と私達がダンジョンの攻略で、残りはロートスの調査する事になっています」
なる程、それなら大丈夫か。
そうやって話した後、お昼時になったので使用人の方々が料理を運んでこられて食べた後、打ち合わせをした後、明日また来るようにいわれて、夕方に解散する事になった。
そして、俺はルージュとローゼと一緒に貴族の館を出た後、夜ご飯を食べ放題店で済まして、家に帰ってゆっくりしながら今日の事を話し合う。
「しかし、これで大丈夫なのだろか? それに後ろ盾が許可されるとは思ってもいなかったし、絶対に何かあるよな」
「そうですね。それにワタシの父上が公爵様に何を話たかも分からないので、余計に面倒ですね」
「難しいな。そういえば、ルージュは静かにしていたけど、この話し合いで何か気づいた事はあるか?」
「俺様が見る限り、裏があると思ったぜ。ただ、それが何か分からなかったから黙っていたけどな」
「だよな。でも、こちらからは今できる事はほとんどないから、向こうの出方を見るしかないな」
「ワタシも警戒しておくので何かあったら教えたください」
ハァ、こうなるんだったら後ろ盾の事は言わなかったら良かったな。
そう思いつつ、明日も忙しいので今日は寝る事にしたが、いつもの事が起きたので寝苦しかった。
そして次の日、身支度をして貴族の館に向かうと、イーストデューク家の家紋が付いている馬車が大量にに並んでいた。
「ローゼ、これは一体どうなっているんだ? 確かに昨日本隊が来るのは聞いていたが、こんな事になっているとは……」
「そうですね主君。ワタシも馬車は駐車場に置いていると思っていたのですが違うのですね」
そうやって話していると、前にあった事がある男性騎士のグローリーさんがこちらに近づいてきた。
「おはようございます。ローゼリア様、ハルヤ様、ルージュ様。すみませんが、今は忙しい時間なので客室で待って貰っても大丈夫ですか? 案内は係の者がしますので」
「わかりました」
そうやって、グローリーさんが使用人を呼んだ後、俺達は客室に行って上質な紅茶を飲んだりしてゆっくりしているとアイリスさんが部屋の中に入ってきた?
「申し訳ありません。実は教育長がここにきていて、私はさっきまでランジア様の事を報告していました」
「ワタシ達も早くきすぎたかもしれませんので大丈夫ですよ」
そうやって話していると
「それはよかったです。後、ランジア様は教育長から相当厳しいお仕置きをされるみたいなので、十日は動けないですね」
なんか、相当凄い事になっているみたいだけど俺達はその事をスルーして続きを話すことにした。
四十層→二十層に変更しました。




