制裁
そして、治療所の空いてる部屋を借りたみたいで、ブルブル震えている公爵令嬢ことランジア・イーストデューク様に専属メイドのアイリスさんが乗馬鞭を持ちながら
「今からお仕置きを開始しますね。それではランジア様、ズボンを脱いで、壁に手をついてくださいね」
「嫌だ。この灰髪の青年がいる所でお仕置きされたくない」
と言っていたので俺は
「それでは、自分はさっきの所に戻るのでごゆっくりどうぞ」
と言って外に出ようとしたが
「すみませんが、被害者の方はここで座りながらランジア様がお仕置きされている姿を見ていてもらってもいいですか?」
と言うエグい発言をしてきた。
なので
「いやいや、流石にこの場所にいるのはダメだと思うので、元の部屋にいますね」
俺はそう言って無理やり外に出ると、部屋の中からアイリスさんの
「それではランジア様、最後の警告です。ズボンを脱いで壁に手をついてください」
と凍えるような声が聞こえてくる。
だが、ランジア様は
「だから断る。妾は「なる程、それではお仕置き台を出しますね」えっ……」
あっ、これは大変な事になるような気がする。
そして、その予感は的中して、ランジア様の悲鳴とアイリスさんが鞭で何かを叩く音がしたので、俺は静かにローゼ達がいる部屋に戻る事にした。
それから数時間後、眠っていた女騎士ことアネモネさんが目を覚ます。
「あれ? わたくしは確かランジア様を守った後、気を失って……」
そうやって上半身をベッドから起こされた後、周りを見て、顔見知りだと思う、男性騎士のグローリーさんを見る。
「グローリー、ここはどこかしら? それとランジア様は無事かしら!?」
と早口になりから喋ってきたので、グローリーさんが
「ここは目的地のロートスの街だ。それにランジア様はお前が庇ったおかげで軽傷で済んだ。でも今はアイリスさんのお仕置きを受けているから別の部屋にいるぞ。後自分の怪我とお前の怪我ははここにいる灰髪の青年が治してくれた」
と言って俺の方を見てくる。
「ありがとうございます。わたくし、正直もうランジア様に会えないのかと思ってしまいましたが、無事だったのは貴方のおかげです」
そう言ってきたので
「別に大丈夫ですよ。それよりも公爵家の方々が来るのは分かっていたのですが、朝早くに到着するされるとは思ってもいなかったです」
と、言っておく。
そして、女騎士の人はまだ休んでいないといけないので、先に自己紹介をして大事な話は、また後日という事になったから、俺達は一回家に帰る事になった。
治療所から出て俺とルージュ、そしてローゼは街を歩いていると
「ワタシは今日は主君の家に泊まっても大丈夫ですか?」
と聞いてきたので
「いやローゼ。前に泊まっていた貴族の館はどうするんだ」
と話す。
すると
「確かにそうなんですけど、ワタシは主君の家に泊まりたいと思ったので、そう言ったのですがダメですか?」
「別に俺はいいが、ルージュはどうなんだ?」
「いいぜ。でも、ダンナと一緒に寝るのは俺様だぞ」
「そこは大丈夫ですよ。でも、片方はワタシが主君の横にいますが」
「それなら大丈夫だ」
と何故か俺ではなくてルージュが許可を出した。
「まぁ、そこは俺が言ってもどうにもならないからな。多分ダメと言っても強引に入ってくるだろ」
「「もちろんだ(です)」」
俺はその事を聞いてやっぱりなと思いつつ、自分の店兼家に帰った。
それから三日後の朝、ローゼからランジア様が会いたいと言っていると聞いて、俺達は貴族の館に馬車に乗って向かう事になる。
「主君との触れ合いもここまでか。もう少ししていたかったな」
とローゼが言っていたので、俺はその事をスルーしてある事を聞く。
「そういえば、公爵家の方々がきた理由はロートスの新しいダンジョンの二十層に向かう事だったよな」
「そうですね。ランジア様がきた理由はロートスの新しいダンジョンの初見ボスを倒して、その魔石が必要とまで聞いていますね」
そうやって話していると、運転手さんから到着したと言われたので馬車から降りて、前にきた貴族の館の敷地内にローゼを先頭にして、入って行く。
そして、歩いて館の入口に到着して、中に入りロビーに着くとある光景が目に入ってくる。
それは、豪華な装備をしたランジア様が台に乗ってカッコつけている所だった。
俺とルージュはスルーして、ローゼが頭を抱えていると
「よくきた。改めて妾がランジア・イーストデュークだ。今回、新ダンジョンの二十層の初見ボスを倒しに行く事で相談したくて貴殿らを呼んだ」
なんか、実際偉いのはわかっているが、すごいイライラするから殴りたいと思っていると、後ろからアイリスさんが自分に強化魔法をかけてランジア様に拳骨を落として地面に沈める。
俺はこの光景を見て、前にもこんな事あったような気がすると思いながら、ランジア様を踏んづけているアイリスさんを見ていると、近くにいたグローリーさんとアネモネさんが近づいてくる。
「すみません。ランジア様とアイリスさんはいつもこんなんで、自分達もこの光景を見ていつも頭を抱えています」
「それにわたくし達が何を言ってもこのままなので、アイリスさんがいつもランジア様をお仕置きしているのですわ」
「なる程、確かに公爵家の血を引いた者が問題だらけだとしんどいですよね」
俺のその言葉に二人は頷いた後、ローゼが話を切り出す。
「あの、それで今回ワタシ達はなんてここに呼ばれたのですか?」
おい待て、なんでお前が知らないんだよ。
そう突っ込みたかったが、面倒になりそうなのでスルーしていると、頭に大きなタンコブを作ったランジア様が立ち上がって話してくる。
「それはお前達に、今回のダンジョン探索を手伝ってもらいたいからだ。回復魔法はかなり貴重だからついてきて欲しい」
「それなら、公爵家のお抱えの回復魔法使いを連れてくればいいのでは?」
俺はそう言うが
「一応アイリスは回復魔法が使えるがそこまで腕がいいわけでもないし、お前の腕を見てから直感で連れて行く方がいいなと妾は思ったからだ」
そう言って自信満々に胸を張ってくるが、俺は面倒なので
「お断りします。それに自分は面倒事は嫌いなので自分達の事は自分達で解決してください」
そう断ったが、ランジア様が
「その断るを断る」
と言葉を発してきたので、どうしようかなと思っていると、横にいたアイリスさんが
「申し訳ないのですが、ランジア様はかなり諦めが悪いのでついてきてもらえますか? もちろん報酬はお渡ししますので」
「主君。ワタシもランジア様の諦めの悪さを知っています。ここは自分の欲しい報酬を貰った方がいいと思いますよ」
とローゼが言ってきたので、俺は少し考えて
「あの、報酬はこちらが決めてもいいてすか?」
「いいぞ。でも、公爵家をくれとか無理な事は辞めてくれよ」
ランジア様がそう言ってきたので俺は少し考えてある事を喋る。
「なら、俺の後ろ盾になって欲しい。もしかなりの権力者が出てきたら対処が難しいから、この報酬ならいいぞ」
とりあえず無理そうな奴を言ったがどうだ。
すると、ランジア様がアイリスさんと少し何かを話し合った後
「それなら大丈夫だ。妾達イーストデューク家が貴殿の後ろ盾になる。これでいいか?」
……。えっ?
なんか承認されたように聞こえたが気のせいか?
そう思っているとアイリスさんが
「それならハルヤ様には一回本家こと、イーストデューク家にきてもらって当主様とお話ししてもらいますね。後、ローゼ様とルージュ様にもついてきてもらうので一人ではないですよ」
と言ってくる。
俺はふとローゼを見ると
「主君。確かにいいと思うが、絶対大変な事になると思うぞ」
うん、それは俺も思った。
そして、ロビーから会議室に移動して本格的な話し合いが始まる。




