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十日後

 それから十日後、特に問題は起きず平和に朝を起きると、近くに置いてある通信水晶が光っていたので見るとローゼの焦った顔が写ったので喋る。


「主君、今日は公爵家の訪問がありますが準備は大丈夫ですか?」


「大丈夫だぞ。と言っても公爵家の人達だからかなり緊張はしているけど、まだ何とかなっている。後、レイナ、ソル、エルはスートルに行くらしいから、今はルージュしかいないぞ」


「それって逃げたのでは……。」


「俺もそう思うが、エルが公爵家の人達と会うのが嫌らしいからレイナとソルが気を利かせて連れて行くと言ったので、流石に何かあるのは分かっているから、俺とルージュも許可を出した」


「なる程、それなら仕方ないですね」


 まぁ、エルは何か隠していると思うしそう話していると


「後、ワタシはいま主君の店の前にいるので入っても大丈夫ですか?」


 えっ……。


「今なんて?」


「ですから今主君の家の前にいます」


「なる程、俺の聞き間違いではないんだな。とりあえず横にいるルージュを起こしてから、行くから待っていてくれ」


「了解です」


 俺はそう言って通信を切った後


「ルージュ起きてくれ」


 と言って起こそうとするが


「ダンナ、もう少しこうしていても良いか?」


「それは無理だな。それよりも外でローゼが待っているから離れてくれ」


 そう話すがルージュは


「なら断る。でもダンナが後でご褒美をくれるなら起きてもいいぞ」


「なんかあれだが俺に出来る事ならいいけど、それで良いか?」


 その言葉に


「なら起きる」


 そう言ってルージュは起きて寝巻きからいつもの鎧姿に一瞬で着替えた。


「なら俺も着替えるから外でいてくれ」


 俺はそう言って着替えて、入り口を開けてローゼをリビングに案内した後、紅茶を用意して話し合いを始める。


「主君、ルージュ、改めましておはようございます。実は今日は少し問題が起きたので朝早くからここに参りました」


「やはりそうだろうな、それでその問題はなんだ?」


 俺とルージュは話を聞く体制になってローゼの言葉の続きを聞く。


「それは、ここに来るまでに強力な魔物が出現して、戦闘になって逃げて来られたまではよかったけど、公爵家の騎士の一人が大怪我をしたらしくて主君の力が必要みたいなんです」


「それならとっておきに置いておいた〈ポーション〉があるから渡そうか?」


「すみません主君。出来れば〈ポーション〉より主君の回復魔法を使っていただけますか?


「なんでだ? 〈ポーション〉では間に合わないのか」


 そう話していると


「あの、とりあえずきてもらってもいいですか? 今外に馬車があるのでお願いします」


 そう言ってローゼは頭を下げてきたので俺は


「わかった。でも治療するときは他の人から見られないようにしてくれよ。それが俺の行く条件だ」


「わかりました。主君はそう言うと思っていたので大丈夫ですよ」


 そして、俺は馬車に乗ってその騎士のいる治療所に向かった。



 馬車に乗って少しした後、治療所に到着すると豪華な装飾をされた馬車が止まっていてメイド服を着た人が待っていて、俺とルージュとローゼは案内されて中に入った。


 すると、この街一番の神官のボードさんが倒れている女騎士に向かって回復魔法をかけていて、横には黄金の鎧を着た金髪の女性と左腕の骨が折れている男性騎士がいた。


「なんかマズイ事になっていないか?」


 俺はそう喋ると女性と男性の騎士がこちらを向いてきた後、駆け足で近づいてきた。


「貴方がこの街の凄腕の回復魔法使いであっているか? 合っているならすまないがアネモネを助けてほしい頼む」


 そう言って二人は頭を下げてきたので俺はとりあえず回復魔法第三階サード・ヒールを発動させて男性騎士の腕を治す。


「とりあえず、自分の回復魔法の腕はこれくらいなので、他の人達はこの部屋から出て行ってもらえますか?」


 そうやって二人とボードさんを部屋の外に出して、死にかけている女騎士を見る。


「ローゼ、今から見せる事は他の人にはいわないでくれよ」


「主君、もしかして何かあるのですか?」


 ローゼはそう言っているがかなりマズイ状態なので


「その話は後にするからとりあえず見ておいてくれ。

回復魔法第六階シックス・ヒール発動」


 俺はそう言って強力な回復魔法を使って女騎士の身体を治していく。


 そして、数分後。見える限り女騎士の身体のキズは治ったので近くにあるイスに座ると


「ダンナ、俺様のキズを治した時よりもかなり出力が上がってないか?」


「それはお前も原因が分かっているだろ。でも回復魔法第六階シックス・ヒールを使ってもあんまり疲労がないのはいいな」


 そうやって話していると、固まっていたローゼが復活して何とか言葉を発してくる。


「主君がまさかここまで回復魔法の腕が上がっているとは思ってもいなかったです。正直我がソーラント辺境伯の専属神官になってほしいくらいです」


 ローゼがそうやって俺の肩を掴んで言って来たので


「それよりもさっきの騎士の人達を呼んできてくれるか? さっきからドアを叩いている人達がいるからな」


 そう言ってローゼにドアを開けてもらうと、さっきの騎士二人とボードさんが急いで入ってくる。


「アネモネはどうなった!? 妾を庇って大怪我をしてしまったからもう間に合わなかったか……。」


 そうやって落ち込んでいるが、ボードさんが冷静に


「あの、そこにおられる女騎士の方の怪我はキレイに治ってないですか? それに普通に呼吸しているので生きていますね」


 と、女騎士の怪我を確認したので騎士二人はホッとした表情になった。


 俺はその様子を見て


「ルージュ、帰るぞ。ローゼはこの後の事を任せていいか?」


「了解したぜ」「わかりました」


 と言って俺とルージュは帰ろうとしたが、金色の鎧を着た女騎士に腕を掴まれてしまう。

 

「少し待ってくれ。グローリーの怪我はともかく、アネモネは大怪我をしていて、この街一番の神官ですら無理だったのに何故お前は治せたんだ?」


「申し訳ないですが、自己紹介もして来ない人に答える義理はないです。それに自分の手札ですので教える気もないですが」


 そう話して帰ろうとすると


「確かに妾は自己紹介していなかったな。それではよく聞け、妾の名前はランジア・イーストデューク。イースト・デューク公爵家の次女だ」


 …………。はっ?


 俺は一瞬頭が回らなくなってローゼを見ると


「主君。言いたい事は分かりますが、彼女が言っている事は本当の事です」


 と言ってきたので俺は何とか再起動する。


 そして腕を握っている女騎士を見ると、自身満々な顔をしていたので


「とりあえず放してもらえますか?」


「断る。妾はお前に興味があるから話してくれるまでこのままだ」

 

「あの、ランジア様。あまり人に迷惑をかけるとお仕置きをされますよ」


 とお付きの男性騎士が言うと


「別にお仕置きくらい怖くないから大丈夫だ。それよりも灰髪、秘密を話せ」


「だからお断りします。それと後を見た方がいいですよ」


 俺がそう話した後に、さっき案内してくれたメイドさんが怖い顔をして、女騎士の肩を掴んだ。


「なる程、ランジア様。いつものお仕置きでは全然足りなかったのですね。それでは今日はうんと厳しくしますね」


 と低い声で言ったので


「あっその……。さっきのは言葉の綾だ。本当は「問題無用です。」」


 とメイドさんが強化魔法を自分にかけて、女騎士を引っ張っていって、腕を掴まれている俺もそのまま連れて行かれてしまう。


 ちなみにルージュとローゼは何かの話題で楽しく話していて、男性騎士はボードさんも何かを話している。


 俺は引っ張られながら、何故こうなるんだと思う。

 

 



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― 新着の感想 ―
[良い点] これで貴族階級のトップともいえる人とも知り合ってしまったわけで、順調にハルヤの夢があらぬ方向に進み始めている状態ですね。 [気になる点] メイドさんのお仕置きをハルヤも見ることになるのかー…
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