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ハルヤとローゼの出会い(七年前)その五

 今回でローゼ編最後になります。

 なので、一日一話投稿に戻ります。


 それから一ヶ月後、ローゼは俺や爺さんに仕事を教わり、雑貨屋店員として少しずつ働けて来た。


 そして、そんな日常がずっと続けばいいなと思っていた時に、ある人物が雑貨屋に来店する。


「ローゼリアお嬢様、ここにいたのですね。お店の方始めまして、ソーラント辺境伯家のメイドをしているリュズと言います」


 メイド服を着た人が、ローゼの事を見てそう話した後、自己紹介を始めた。


 


 俺と爺さんは自己紹介するが、メイドさんの言葉を聞いて驚く。


「リュズ、なんで貴女がここにいるのですか? それにわたしは勘当されたので、ソーラント辺境伯令嬢である、ローゼリア・ソーラントでは無いのですよ」


 正直、あまり理解が出来てないが、ローゼは貴族の令嬢だとみたいだな。

 

「その事ですが、メプリスはローゼリア様を精神的に追い込んだ挙句に勝手に追い出したので、ソーラント辺境伯家の騎士を首になりました。なので、今はいないですよ」


「それでも、ワタシはここに居たいので帰りたく無いです!」


 ローゼは辺境伯家には帰りたくないみたいだ。


 まぁ、このまま店の前で言い合いをされると困るので


「とりあえず、何処か話せる場所に行きますか?」


 俺は、爺さんの方をチラッと見ながら喋る。


「それなら、少年とお爺さんとローゼリア様は私と一緒にある所に来て貰いますが良いですね」


 なんか嫌な予感がする。


 ただ、相手は貴族なので拒否することは出来ない。


 爺さんもそれを悟っているみたいで、閉店の札を手に持った。

 

 そして、店を閉めた後に高級そうな馬車に乗って街の外に出る。


「えっと、これから何処に向かうのですか?」


 とっさに質問してみるが


「それは、ソーラント辺境伯家の本家に向かわせていただきます。もちろん、謝礼は出ますので安心してください」


 上から目線でイラッと来るが、何とか我慢する。


「リュズ、もしかしてワタシはお父様達と会うのですか? それなら断固拒否します」


 ローゼがこんなに嫌っているのは、何かあるな。


 そう考えながら話を聞いていると


「ローゼリア様、そんな我儘言わずに付いて来て貰いますよ。これまでの家出の責任はメプリスにあるので、これまでは大丈夫ですが、これ以上は流石に厳しいですよ」


 リュズさんがさらに真剣な顔になって喋るが、ローゼは俯いているので


「一つ思ったのですが、ローゼがソーラント辺境伯家様と細かい所まで話し合いしたらいいのではないですか? それでこれからの事を決めたらいいと思いますが、違いますか?」


「ハルヤ、確かに父上は話を聞く人ですが、母上は頭の硬い人なのでかなり厳しいですよ」


 なる程、それだとかなり難しいな。


 そう考えながら馬車は進んで行く。


 そして数日後、ソーラント辺境伯領に到着して、明日領主様と会う事になったので、高級宿を用意して貰った。


 俺と爺さんは一緒の部屋だが、ローゼはリュズさんと一緒の部屋になったので、離れ離れだ。(辺境伯家は、俺達が領に着いた時間が遅かったので、今日は閉まっていた)


 なので、宿の中でローゼの事を考えているとドアをノックされる。


 爺さんは疲れて寝ているので俺が玄関に向かいドアを開けると


「ハルヤ、少しいいでしょうか?」


 ローゼが俯きながらこちらを見て来た。


「別にいいけど、爺さんは寝ているから他の所に行くか?」


「いえ、中でいいですよ」


 そう言って中に入って来る。


「リュズには言ってあるので、ハルヤとゆっくり話しても大丈夫ですか?」


「大丈夫だけど、さっきも言ったけど爺さんが寝ているから大声は出せないぞ」


「先ほど聞いたので、そこは理解していますよ」


 俺とローゼはソファーに隣同士になって話し始める。


「ハルヤ、最初に謝ります。ワタシが辺境伯令嬢なのを黙っていて」


 そう言って頭を下げて来たので


「確かに驚いたが、別に謝る事ではないぞ。まぁ、レイナとソルにどう説明すればいいかわからないのが、キツいけどな」


 苦笑いしながら話す。


「そうですね。あの二人にはどう言えばいいかわからないです。ただ、ワタシはハルヤ達に沢山助けられて来たので何が恩返しがしたいです!」


 ローゼはそう言って俺に顔を近づけて来た。


「それなら、俺は昔から欲しい事あったけど聞いてくれるか?」


「ハルヤの欲しい事ですか? 是非聞かせてください!」


 さらにテンションが上がっているので、俺は昔から欲しかった事を話す。


「俺が欲しかった事は、俺の専属騎士だ!」


 昔からの騎士はカッコイイなとは思ったが、俺は魔法メインなので、それなら自分を守ってくれる騎士が欲しいと思った。


 その事をローゼに伝えると


「分かりました。それならワタシがハルヤ、いえ主君の騎士になります!」


 ……えっ? 


 俺は思わず固まってしまったが、ローゼは一回立ち上がって俺の前に跪く。


「ワタシ、ローゼリア・ソーラントは剣となり、また盾となり、主君を守っていく事を誓います!」


 なんか、凄い事になったが


「ローゼリア・ソーラント、俺を守ってくれるか?」


 自分で言いながら、少し悲しくなって来るけど


「はい! もちろんです」


 かなり簡易的ではあるが、ハルヤ(主君)とローゼ(騎士)の話はここから始まった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ローゼが生涯を通してハルヤを主君とし慕う、それがここで決定したわけであり、この話がどう生きてくるのかが楽しみです。
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