ハルヤとローゼの出会い(七年前)その三
俺達は空き地から出て、爺さんと俺の家である雑貨屋に向かって歩いていると
「ハルヤ、あの串焼き肉美味しそうです」
ローゼが釘付けになっているが
「前に孤児から逃げる為にお金をばら撒いてしまったから、俺はお金がない……」
と財布を見ながら話すと
「それならわたしが払うわ。いつもハルヤにはお世話になっているからね」
ソルが可愛い財布を取り出して、串焼き肉を三本買って来て
「はい、ハルヤとローゼの分ね」
「ありがとう。でも、お金は大丈夫なのか? 串焼き肉、一本五百パルだぞ」
「大丈夫よ。もし足りなくなったら叔父さんに、おねだりすれば良いわ」
とニッコリ小悪魔ぽく笑うが
「一つ聞く、何故私の分はないんだ!?」
レイナが少し怒りながらソルに質問すると
「それは、貴女は自分で買えば良くないかしら? わたしもその分のお金は持っていないわよ」
「よくわかった。つまりは私に喧嘩を売っているんだな」
レイナはこちらを見ながら戦闘態勢になっているので
「なら、ハルヤの分を少し貰えは良くないかしら?」
「いやいや、俺の食いかけの串焼き肉をあげたら、さらに怒るんじゃないのか?」
ソルがそんな事を言ったので、俺が火に油を注ぐ事だと思った。
するとレイナは俺の方に近寄って来て口を開けながら
「ハルヤ、食べさせてくれ」
と言って来た。
「良いのか、食いかけで?」
「もちろんだ。それよりも早く頼む」
俺は、レイナに串焼き肉を口の前まで運ぶと
「美味い!」
と言って、残りを全部を食べられてしまう。
「ちょっ!? お前、かなり食べたな!」
俺は思わずキレそうになるが
「良いじゃん。ハルヤ、私が今度料理を作ってあげるからさ」
……はっ!? それはマズイ!
俺はソルの方を見ると、顔が真っ青になっていたので
「レイナ、それは本気で辞めてくれ!」
「それなら、わたしがもう一本串焼き肉を買うわ!」
これは何とか止めないと、俺達があの世行きになるかもしれない。
なので、必死に止めようとする。
「ハルヤ、ソル。なんでそんなにレイナの料理を止めようとするのですか?」
ローゼが不思議そうに首を傾けているので
「簡単に説明するわね。レイナの料理はマズイを通り越して、わたし達の意識を一口で、軽く飛ばす最終兵器なのよ」
その言葉に、俺が全力で頷いていると
「私の料理はそこまで酷いか?」
「「メチャクチャ酷い!!」」
俺とソルは声を合わせる。
「私は、散々なような気がするのは気のせいか?」
「ワタシからは、なんとも言えないです」
ローゼもプイッと視線をズラす。
それから食べ終わった、ここで話すのもアレなので、ウチの雑貨屋に向かって歩き始める。
十分後、到着したので扉に手をかけると空いていたので中に入ると
「意外と早く買って来たな」
爺さんが店の陳列をしていた。
「爺さん、とりあえず手伝うよ。アイテムバックの中にある石鹸やタオルなどを並べたらいいの?」
「いや、ハルヤはローゼちゃんの生活に必要な物を買って来てくれないか? もちろんお金は渡すから」
「分かった。レイナとソルはどうする?」
「もちろん、わたしとレイナもついて行くわ」
俺は爺さんから三万パルを貰って、ローゼの服とかを買いに行く。
外に出たので
「まずは服屋で大丈夫か?」
「大丈夫ですが、本当にここまでして貰ってもいいのですか?」
「別に大丈夫だろ。レイナとソルには遊び相手が増えるし、俺と爺さんは雑貨屋を手伝ってもらうからな。もちろん三食休憩アリで、ブラックでも無いと思うから安心してくれ」
そう言いながら、一般的な平民の服が売っている店に着いたので
「レイナ、ソル、後は頼んだ。俺は外のベンチですわっているから」
俺は確実に場違いなので離れようとすると、左右にレイナとソル、背中にローゼに抱きつかれてしまう。
「ハルヤ、何処に行こうとしているのですか? ワタシはよく知らないので一緒に来てください」
「そうだぞ。服に興味があんまり無くてもついて来てもらうぞ」
「観念しなさい」
まさかの三人に物理的に捕まるとは、思ってもいなかった。
でも、この状況で逃げる事は出来ないし、周りのお客さんや店員さんの視線も気になるので
「わかった。ついて行くから、離れてくれるか?」
こうなったら、どうしようも無いので観念すると
「よろしいわ。それじゃあローゼに可愛い服を選んであげましょうね」
俺は腕を掴まれて、引っ張られてしまう。
それから、ローゼに似合う服を探していたが
「ローゼはスカートよりもズボンが似合うわ。他にはボーイッシュにしてみるのもいいわね」
「確かに、カッコイイ方が似合っているな」
「そうですか? ワタシは服を自分で買いに来た事が無いので、よくわからないです」
レイナとソルがローゼを着せ替え人形みたいにしているが
「正直、俺はやる事が無いから暇なのだが……」
俺は、服屋の中にある椅子に座りながら呟く。
そして、数十分後。
予算二万五千パル〔残り五千パルはローゼのお小遣いになる〕で上下+下着も買えたので三人は笑顔になっている。
「まぁ、これはこれでいいか」
俺達はウチの雑貨屋に帰りながら、楽しく話をして帰った。




