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ハルヤとローゼの出会い(七年前)その二

 それから数日後、俺と爺さんとローゼを乗せた馬車はロートスに到着した。


「ここが、ハルヤとサージュさんが住んでいる街のロートスなんですね」


 ローゼが目を輝かせながら話して来たので


「そうだな。でも、俺と爺さんが住んでいる所は、ここから少し遠いから歩く事になるけどな」


 俺は馬車から降りてそう喋ると


「ハルヤ、一番街に店を構えていたら土地代が高くて仕方ないぞ。それと、レイナちゃんとソルちゃんが近づいて来たぞ」


 爺さんが指差す方に幼馴染の少女二人が、こちらを発見したみたいなので近づいて来る。


「あの二人は、ハルヤの知り合いなのですか?」


「確かに知り合いだが、問題児でもある」


 俺は頭を抱えながら、ローゼの質問に答えると


「大変なのですね」


 なんか、同情された。


 〈ローゼ、視点〉


 ワタシは正直戸惑っている。


 発端は行き場所も無くて倒れていた時に、灰髪の少年が助けてくれた事だ。


 あとは、馬車に乗っている間も色んな事を話した。


 もちろん、その時間がずっと続けばいいなと思ったが、ロートスの街に到着したので一旦馬車から降りる事にするが


「ハルヤ、なんで私達と探検に行かないんだ?」


 幼馴染の少女二人がハルヤに近寄っていた。


「あのな、俺は爺さんの雑貨屋を手伝わないと行けないんだよ。それにお前らの探検について行くと、毎回面倒な事になるから嫌なんだよ」


 なんか、かなり苦労しているんだなと思えてしまう。


 でも、ワタシにはどうする事も出来ないと考えていると


「ローゼちゃんもハルヤ達の所に行ってこればいいと思うぞ」


 サージュさんがそう言って来たので


「なら、ワタシも行って来ます」


 そう言ってハルヤの元に走った。


 〈ハルヤ、視点〉


 俺は今、幼馴染のレイナとソルと話し合いをしていると、ローゼがこちらに近づいて


「あの、ハルヤに何かあるのですか?」


 と聞いて来た。


「あの、貴女はどちら様なのかしら?」


 ソルが質問すると


「ワタシはローゼ、今日からサージュさんの所で居候する者です」


 おい!? それを言ったらマズイ!


 そう思い、幼馴染二人の顔をみるといい笑顔をしていた。


 だが、俺にはわかる。その笑顔は、怒る前の笑顔だと


「サージュさん、つまりはハルヤの家で居候するのか?」


「そうですね。ちなみにハルヤに、馬車の中で抱きつかせていただきました」


 そういえば、少し寒いから抱きつかせて欲しいと言われて、渋々OKを出してしまったな。


 まさか、それをここで言われるとは思ってもいなかったけどね。


 そして、その言葉を聞いたレイナとソルは


「ちょっと待て、今ハルヤに抱きついていたと言ったのか?」


「そうですよ。ハルヤに抱きついていたのは気持ち良かったですよ」


「確かに、それは同意するけど、ハルヤはわたしとレイナの物なのよ」


 いや、俺はお前らのものじゃねーよ。


 俺は少しキレそうになりながら突っ込みたかったが、流石にこの状況では言えない。


 それから、三人は色々言い合っていたが、結果は


「なら私に喧嘩で勝ったらハルヤと一緒にいる事を認めるぞ!」


「何故、貴女に認められないといけないのはわかりませんが、その喧嘩買いました」


 二人は、今現在いる馬車駅の待合室から走って出て行ったので、俺は固まっていると


「なら、今のうちにハルヤを独占しようかしら?」


 ソルがニッコリしながら二の腕に抱きついて来たので、やはりコイツが一番ずる賢いなと思う。


「ハルヤ、レイナちゃんとローゼちゃんを追いかけなくてもいいのか?」


 爺さんが俺らの状況を見てそう話す。


「ソル、あの二人が何処に行ったかわかるか?」


「それは、いつもの空き地だと思うわ」


「なら行くか」


 俺は歩いて向かおうとするが


「ハルヤ、今はわたしの相手をしなさい。まずは頭を撫でる事よ」


 ソルが少し頬を膨らませながら、抱きつく力を強くしたので


「いやいや、俺達も向かわないと」


 なので、何とか振り払おうとするが


「断るわ! それより、このままハルヤの家でゆっくり膝枕をお願いするわ」


 うん、これはどうすればいいんだ?


 色々考えたが、結局ソルに抱きつかれたまま空き地に向かって、容赦なく喧嘩しているの二人を見て、終わるまで待った。


 それから体感時間で二十分後、二人のクロスカウンターがどちらともの顔面にヒットして倒れたので

 

「お前ら大丈夫か?」


 二人に近づいて回復魔法をかけると


「ハルヤ、ありがとう。それよりも、コイツも必死なのはさっきの喧嘩で分かったら居候は認めてやる」


「レイナはなんで上から目線なんだよ……」


 なんだかんだで、コイツらが納得してくれたのはいいのか


「ハルヤ、ワタシは自分の力で勝ち取りました」


 ローゼが半泣きになりながら抱きついて来たので


「反応に困るが、アイツらが認めてくれたのは良かったな」


 ローゼの頭を優しく撫でていると


「ハルヤ、ローゼだけに頭を撫でているのはズルいぞ! 私も撫でてくれ」


「わたしは、抱きついてニオイを嗅いでいるわ」


 一人変態がいるような気がするがいいか。


 そう思いながら、三人の頭を交互に撫でることにした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なるほどこのころからハルヤの人生は決まっていたというか、出来上がってしまってたんですね、そう考えると壮大な計画なような気もするし、お爺さんの喋りがハルヤに似てて、なるほど家族だなと。
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