新しいダンジョンの調査その二
それからゴブリンの上位種のボブゴブリンも出てきたが、レイナ達三人は余裕で討伐していたので、俺とルージュは魔石と素材を回収する事しかしていない。
「ダンナ。俺様達殆ど戦っていないよな。確かに元々レイナ達の連携の練習なのはわかっているが、かなり暇なのだが」
「暇なのは同じだが、俺は戦闘好きではないからこのままでいいなと思っている」
まぁ、このまま俺は出来る限り戦わずに帰りたいな。
そう思っていると、レイナ達の戦闘が終わったので回収に向かう。
「ハルヤ。色々考えていた連携を試しているが、どう思う?」
「いや、それを俺に聞かれても全く分からないのだが」
そう言うが、三人は俺の方を見てくる。
「まぁ、ハルヤくんは近接戦闘はしないからボク達の戦いの感想を聞いても答えは出ないかな」
なんかトゲのある言い方をされたが否定できないので黙っておく。
「ならハルヤも近接戦闘をしてみないかと言いたいけど、意地でもやらないのは長い付き合いでわかっているから安心してくれ」
それは良かった。俺は近接戦闘は絶対にやりたくないからな。
そう思っていると、またゴブリンが近づいてきたので迎撃態勢をとる。
「なんかこのダンジョン、魔物と戦う回数がロートスのダンジョンよりも多い気がするわ。後かなりの時間戦うのはしんどいわ」
「そうだな。こう多いと休憩する時間が少ないから疲労が溜まるな」
その言葉に聞いてある事を言う。
「なら、今回は俺が弓で迎撃してみるな」
そう言って俺は天銀の弓に魔力を込めて矢を出現させてゴブリンを打ち抜いく。
そしてその後、素材と魔石を回収する。
「ハルヤくん、ありがとう」
「別にこれくらいはまだ何とかなる。それに最近はこんな事が多いから慣れてきたから気にするな」
俺はそう言って回収した後、何処か休憩できる場所はないかと思う。
だが、そう簡単に見つからないのでここで少し休む。
その時の見張りはルージュに任せる。
「とりあえず今回も結界は張ってあるから、魔物は侵入してこないから安心しておいて大丈夫だぜ」
「ありがとうルージュ。でも話は変わるけどこのダンジョンの一層の面積は広くないかしら?」
そういえばそうだよな。
前のロートスのダンジョンやスートルの鉱山ダンジョン?の時よりもかなり広く感じるな。
そう思っていると、エルがある事を言う。
「多分ここはかなり面倒な可能性が高いね。ボクも他の迷宮都市でダンジョンに入った事が何回かあるけど、ここまで広いのは記憶にないね」
「なる程、でも規模が大きければその分魔物との遭遇率は多いのか?」
「それはわからないわね。ただ、大きなダンジョンの方が魔物と戦う回数は多いと聞くことが結構あるわね」
なんか五年前のロートスのダンジョンよりも、かなりヤバイ事になりそうなのは気のせいか?
そして、そうやって話しているとレイナがこちらを見てきてある事を話す。
「ハルヤ。一ついいか? 結界の外でゴブリンの群れがガンガン叩いているけど大丈夫か?」
「レイナ、それは俺に聞くな。ルージュに質問してくれ」
「そうだよな、なら改めて。ルージュ大丈夫か?」
なんか、少し話が変になったけどルージュは普通に答えてくれた。
「あのな、俺様の結界がこんな雑魚どもに破られるわけないだろ」
「それはよかった。私達が思いっきり休憩している所に襲ってこられたら大変だからな」
そうやってゆっくり話しながら水筒の水を飲んで少し休憩し後、とりあえず安全地帯に向かって進む。
そして数時間後、何とか五層に降りて安全地帯を見つけてそこで一回時計を見る。
「もう十九時前か、今日の朝入って五層降りるまでに結構な時間がだったな」
「そうだな。途中で道に迷ったりもしたけど、このダンジョンはかなり広いから大変だな」
そうやって話しているとエルとルージュが
「それよりもボクはお腹が空いたからそろそろ夜ご飯にしないかい?」
「そうだぜ。俺様もクタクタで腹減ったからもう動けないぞ」
この中で確定一番と二番の大食い娘二人がそう言ってきたので、俺はアイテムバックから調理器具と食材を出してソルとエルに手伝ってもらう。
もちろん手が空いているレイナとルージュにはテントの設置を頼む。(後結界を張ってもらうのも頼む)
そうやって約三十分後、レイナとルージュはテントの設置が終わって、先に敷いておいたシートに寝っ転がっている。
俺達も大体は完成したのでテーブルの上に作った料理をおく。
すると二人は飛び起きてイスに座って料理をガン見してきた。
「ダンナ、つまみ食いしていいか? 正直腹が減ってあんまり動けないから少しでも食べたいのだが」
「後、五分で料理も揃うと思うから少し待っていてくれ」
その言葉のおかげで、二人は何とか止まっている。
それを見て長くは持ちそうにないと思ってソルとエルに
「流石に食べられそうだけど何か止める方法はないか?」
と聞くと
「ならこの固焼きパンを食べていてもらおうかしら。これなら少しは時間を稼げると思うわ」
よし、それなら大丈夫だな。
そう思い二人に大きめの固焼きパンを渡すとレイナは苦戦しなら食べているが、ルージュの方は普通にムシャムシャ食べている。
その光景を見ながら、これあんまり状況は変わってなくね?と思う。
だが、少し時間が稼げたので俺達三人は何とか盛り付けが終わって、テーブルに料理を置いていく。
「何とか間に合ったね。これ以上二人を待たせると何をするか分からないからね」
エルのその言葉に俺とソルは頷いてしまう。
すると、ルージュが
「ダンナ、固焼きパン食べ終わったからこっちも食べてもいいか?」
ちょっと待て、カチカチのパンをスープに付けずにそのまま食べたのか!? 普通硬くて食べるのにかなりの時間がかかるののだが。
俺はそう思っていると、エルのお腹がなったので一旦その事は置いておいて食べる事にする。
「とりあえず食べるか、いただきます」
俺のその言葉を聞いた四人が一斉に作った料理を勢いよく食べ始める。
「今回ハルヤが作った肉料理は美味しいわね。少し味が濃い目で戦った後にはピッタリよ」
「そうだな。でもソルが作ったスープもいい塩加減だと思うぞ」
ソルと俺はそうやって話しながら食べているが、大食い娘達は、料理を食べるのに集中していてこちらの話を聞いていないみたいだ。
それを見ていつものことを思う。
「ソル、絶対にこの量では足りないよな。しかも今回いつもより体力を使っているから料理を作る回数がかなり増えそうだな」
「そうよね。食料にはまだかなりの余裕はあると思うけど、このままだと足りるかしら?」
今回ももしものために五十万パル分の食材を買い足したけど、前の分と合わせてもこのままだと一ヶ月くらいしか持ちそうにないな。
俺は買い出しの時に、店の店員さんが買う量に唖然とする姿を今でも覚えている。
特に肉屋の時とか商品が半分くらいまとめ買いしたから、そんなに買うのですか!?と何回も言われたな。
そう思っていると
「ダンナ、大皿に乗ってた料理ももう無いからおかわりを頼む」
「わかった。でも俺が食べ終わるまで少し待ってくれ」
ルージュがそう言ってきて、皿を見るとキレイに食べられていたので、俺は自分の分の料理を急ぎ目に食べる。
そして、食べ終わった後、調理器具に洗浄魔法をかけてまた料理を作り始める。
少しして、ソルも食べ終わったみたいで手伝いにきてくれたので何とかなるなと思いつつ手を動かす。
ちなみに、ルージュ達にはまた固焼きパンを渡して時間稼ぎをする。
そうやって、俺とソルは時間に追われながら調理を進めていく。




