料理の問題
ゴブリンを討伐しつつ歩いて行くと大きな森が見えてくる。
「目的地はこの森の奥にあるから一回ここで昼食休憩をしたいのだけどいいかしら?」
その言葉に俺達と光の翼のメンバーが頷く。
そして、光の翼のメンバーとメルさんはポーチからサンドイッチを取り出して食べている。
俺達はレイナとルージュに見張りをしてもらって、アイテムバックから食材と調理器具などを取り出して料理を始める。
少しして、準備が出来たので調理を始めようとした時、メルさんとドルトさんが突っ込んできた。
「いやいや、ハルヤ君達なんでここで料理を始めているのかしら? しかも家とかで普通に食べる物を作ろうとしているわよね」
「そうですよ。ここで火を焚くと魔物が近寄って来るかもしれないので危険ですよ」
その言葉に俺はある事を思い出す。
「確かに一つ忘れていましたね。ルージュ、結界を張ってくれるか?」
「了解したぜダンナ」
俺のその言葉にルージュが返事をして、ドーム状の結界を張った。
「これでゆっくり調理が出来るわね。でもあまり時間を使いたくないから手が込んだ料理は作りにくいわね」
「そこか? アタシ達が買ってきたサンドイッチを食べているのにそっちは豪華な料理を作って食べるのは不公平じゃないか!?」
「そこじゃないですよカエデ。私はこの結界を張ったルージュさんに驚いていますよ。それに私達を圧倒出来るくらい強いのは分かっていますが、こんな高度な結界を張れるとは思ってもいなかったです」
「君達も話からズレているよ。僕達はここで料理を作る事に疑問を持っていたのじゃなかったのかな」
「そうよね。それよりもハルヤ君達、私達の話を聞かずに楽しそうに料理を作っているわね。それにあんなに大量に作って食料は大丈夫なのかしら?」
なんか色々驚いているみたいだけど、俺達は普通に調理して行く。
そして、三十分後。街の外だけど家で出てくる料理を完成させた料理をテーブルの上に置いて、俺達五人は着席した後、いただく事にしようとした時、シェイズさんがある事を言ってくる。
「あの、ハルヤさん達は街の外でご飯を食べる時はいつもこんな感じなのか?」
「そうですね。自分達は色々持っているのでそれを使ってこんな感じに料理とかをしたりしますね」
「でも、ダンジョンに行っていた時はもっと手の込んだ物が作れたのだけど、流石に他の人が待っているのにそんなでの込んだものは作れなかったわ」
俺達はそうやって話した後、作った料理を口に運ぶ。
すると、シェイズさんが俺達が作った料理をガン見しながら話してくる。
「あの、ハルヤさん。オレもこの料理を食べていいか? 正直サンドイッチだけじゃ足りなかったから頼む。後、対価はもちろん渡すぞ」
「自分は大丈夫ですが、レイナ達はかなり食べるので多分後何回か作る事になりますがそれでもいいですか?」
その言葉にシェイズさんが頷き、六人用のテーブルとイスなので一つ空いている席に座ってもらって、洗浄魔法をかけた後、食器を渡して一緒に食べる。
「この肉の炒め物凄い美味いな。それにポテトサラダやあっさり系のスープも美味いから手が止まらないぞ」
「それは良かったよ。肉の炒め物はボクが作ったからね。少し味を濃い目に作ったのもプラスに働いたね」
そうやって、いつものメンバーにシェイズさんを加えた六人で食べていると、光の翼の三人とメルさんがこちらを見て話してくる。
「あの、アタシ達も食べていいか? これから堅パンや干し肉などの保存食しかないから初日だけでも食べさせてくれ」
「そうですよ。僕も美味しそうな料理を目の前にして食べれないのは悲しいですよ」
「少しでもいいので私にも食べさせてください」
「私もお願いするわ。でもあまり量が残りそうもないわね」
メルさんのその言葉に俺はある事を言う。
「あの、これまだ1回目ですよ。いつもは後何回か作るのでメルさん達も食べて大丈夫ですよ。ただ、料理を作る時に手伝っていただけると助かります。自分とソルだけだとほぼ絶対手が足りないと思うので」
その言葉に光の翼の三人とメルさんは頷いたので、俺は予備のテーブルとイスを取り出して、洗浄魔法をかけた後座ってもらう。
そして、俺とソルがお腹いっぱいになったので、アイテムバッグから食料を取り出して二回目の調理を始める。
「なあ、ソル。今回も大量に食材を買ってきて良かったな。でも、これが続くとかなりしんどいな」
「そうね。でもまさかメルさん達も食べたいと言うなんて思ってもいなかったわ」
そうやって話しつつ料理を何回か作った後、少し休憩して出発する。
「まさか、ハルヤ君は料理も上手だとは思わなかったわ」
「そうだな。オレ達も料理が出来たらいいけど全員殆ど出来ないからな」
「まぁ、自分とソルは料理が作れないと、とんでもないことになるので頑張って勉強しただけです」
その言葉にメルさんは頷き、光の翼のメンバーは頭に?を浮かべていたので、説明するためにソルが口を開く。
「レイナが作る料理はマズイを通り越して意識がなくなりました。それに周りの人にも食べさせると同じ反応をしたので、これは食べれないのでわたし達が作っています」
ソルのその言葉にレイナがある事を付け加えてくる。
「でも昔のことだぞ。今は普通に作れるかもしれないから一回作らせてくれ」
「「絶対にやるな」」
俺とソルは速攻でそう言った。
「ダンナとソルがそこまで言うのは相当だな。ちなみに俺様も料理は全く出来ないぜ」
そうやって話していると、今度は普通のゴブリンよりも大きめの個体が集団でこちらに近づいてくる。
「おっと。話は終わりだな。見える限りではゴブリンの上位種が十体くらいだから余裕だな」
そう言った後、俺達は戦闘態勢になって迎撃する。
まずはミーナさんとドルトさんが魔法や弓で攻撃して数を減らし、シェイズさんとカエデさんが残ったゴブリンを倒す。
「流石Sランク冒険者だね。ボク達よりもかなりの連携だね。それに効率もいいから体力も温存も出来るから凄い」
「そうね。わたし達はまだ連携が上手く出来ないから勉強になるわ」
そうやって見ていると、戦闘が終了したみたいでゴブリンの魔石と素材を集めてアイテムポーチの中に入れている。
ちなみに魔石や素材は倒した本人が所有権があるので俺達は口出ししない。
「しかし、普通のゴブリンだけだな。これだと調査にもあまり時間がかかりそうにもないな」
「でもまだ分かりませんよ。私達Sランク冒険者を呼んだという事は、何か大きな事があるかもしれないですよ」
「大きな問題ってここにドラゴンがいるとか言わないでくれよ。そうなるとアタシ達だけだとかなり厳しいぞ」
あの、ルージュの正体がドラゴンなのですが……。
そう思いながら話を聞いているとメルさんが何かを話してくる。
「ドラゴンはいないと思うけど、Sランク級の魔物がいる可能性があるわね」
もう突っ込むのも嫌になってきたのてスルーしようと思ったけどSランク級の魔物がいたら面倒だなと思う。
「本当にいたら私達はあんまり役に立たないですよ」
「それは私もよ。元Cランクの冒険者だからそれ以上は無理よ」
「その時は、ハルヤくんとルージュに任せるね」
お前ら……。 ついでに言うと俺も戦力外だからルージュに頼るしかないじゃないか。
そう思いながら、森の中をゆっくり進んで行くとある場所に出たので、面倒だなと思いながらそこに向かう事にする。




