予想通りの結果
うん、やっぱりこうなるか……。
俺達はコテンパンにされたカエデさんと、普通に立っているルージュを見ながらそう思う。
「前にオレ達とあの場にいた冒険者達を軽くボコボコにしていた、ルージュさんに一人では勝てないだろ」
シェイズさんがそう言い、その言葉にドルトさんとミーナさんが頷いているので、ソルがある事を喋る。
「そういえば、ロートスには最高でもAランク冒険者しかいなかったのに、何故Sランク冒険者がこの街にいるのですか?」
「それは、オレ達はソーラント辺境伯様からの依頼で前にこの街で起きた、ゴブリン大量発生の事で調査にきたんだ」
「それに、前から個人で気になっていた高性能〈ポーション〉がこの街で作られているのも聞いていたから、その製作者に話を聞きたかったのよ」
それどっちも俺が関わっているじゃないか……。
ゴブリンの方は討伐戦に参加したし、〈ポーション〉に関してはその制作者だからな。
そう思っていると、レイナが話してくる。
「思いっきり私達が関わっている事ばかりだな。だだダンジョンのイレギュラー魔物の時の、赤オーガの事がないのは不思議だな」
「そういえばそうだよな」
そうやって話していると、ドルトさんがこちらに話してくる。
「ハルヤさんは色々苦労しているのですね。僕もこのパーティーで苦労しているので気持ちがわかります」
「そうなんですね。お互い大変ですが、頑張っていきましょう」
やっぱり俺の予想は当たっていたか。
また今度、ドルトさんとゆっくり話したくなったが、ミーナさんがこちらにある事を言う。
「あの、一つお願いがあるのですがいいですか? ハルヤさんは凄腕の回復魔法使いなのですよね。出来ればあそこでボコボコにされたカエデを回復して欲しいのですが……」
その言葉に、俺はある事を伝える。
「それは少し考えますね。後使うとしても、タダで回復魔法をかけると他の人に文句をかなり言われそうなので、そこはわかってくださいね」
「そうだよな。前に、回復魔法使いの人がタダで回復していると、かなりの人が並んで大変な事になったという話は聞いたことがあるな」
シェイズさんがそう言い、エルも追加で喋ってくる。
「王都や大都市でそんな事をしたら、前から言っているけど、君はとんでもないことになるよ。後、カエデさんの治療をしないの?」
確かにそうだな。前者の事は置いておく事にして、今まで放置されていたカエデさんの所に行く。
するとカエデさんは意識があるのか、倒れながらこちらに振り向いてくる。
「みんな、ちょっと酷くないか? 確かにアタシは戦いを挑んだけど、全く気にしてくれないのは悲しくなってくるぞ」
その事で横で立っているルージュが話す。
「それだけボコボコにされているのに、結構普通に喋っているな」
「それだけ喋れるなら、俺が回復魔法をかけなくてもいいよな」
そう言うと、カエデさんが焦りなから話してくる。
「ちょっと待ってくれ。これでも体がめっちゃ痛いんだぞ。それに動くのは辛いから回復魔法をかけてもらってもいいか?」
「あの、ミーナさんは回復魔法は使えますか? 正直、自分が回復魔法をかけるのが面倒なのですが……」
「すみませんが、私は回復魔法は使えないです。それにかなり高度で希少な魔法なので、ハルヤさんが本当に使えるのかを見たいです」
あの、俺が回復魔法が使えるかどうかはどうでもいいとおもいますが……。
それに、冒険者ギルドに鑑定と素材や魔石の買取をして欲しくてきたのに、なんでここで回復魔法を使わないといけないんだと思う。
せめて〈ポーション〉を使ってもいいかと聞こうとすると、シェイズさんが俺を見ながら質問してくる。
「それは、オレも知りたいな。ハルヤさんは高性能な〈ポーション〉を作れるということは、魔力は高いのはわかるけど本当に回復魔法が使えるかを知りたいな」
その言葉にドルトさんとミーナさんもこちらを見てきてレイナもある事を言ってきた。
「ハルヤ、かけてやってもいいんじゃないかな。それにSランク冒険者の頼みだから、もしかしてかなりのお礼が貰えると思うぞ」
いや、お礼よりも俺はゆっくり雑貨屋の店員として働きたいのだが……。
だが、ここで断るとさらに面倒な事になりそうだから仕方なく頷いた後、光の翼のを見ながらこちらの要望を話す。
「わかりました。回復魔法は使いますが、お礼はちゃんともらいますよ」
「もちろんだ。多分カエデの怪我を治すのにはそこそこ魔力を使うと思うから、お礼は楽しみにしておいてくれ」
その事を聞いて、何を頼もうかと悩みながら回復魔法を使う。
「回復魔法第三階」
そう言うと、カエデさんの体が光り輝いて、見える怪我が治っていく。
少しして、カエデさんが立ち上がり体を動かしたりした後、俺の方にきて手を握ってくる。
「ハルヤさん。アタシの怪我と古傷がキレイに治っているぞ。正直ここまでの凄腕の回復魔法使いとは思って無かったよ」
いや、そんな焦る事でもないだろ。
そう考えていると、残りの光の翼のメンバーもこちらに話してくる。
「それは凄くないか。さっき回復魔法第三階を見たけど、同じ魔法でもあそこまで魔力が篭っているとは思っていなかったぞ」
「後、あれ程の魔力は僕も見た事はないですよ」
「そうですね。ハルヤさんはどんな魔力量をしているのですか? もし、私が同じ魔法が使えても十分の一くらいの出力を出せたらいいくらいですよ」
そうやって言ってくるが、俺はあまり興味はないので何を貰おうかと悩む。
すると、シェイズさんがある事を言ってくる。
「ハルヤさん。もし良ければオレのパーティーに入ってもらえませんか?」
その言葉に光の翼のメンバーは頷くが、俺はその事を聞かれると思ったので話す。
「お断りします。自分は雑貨屋の店員で商人が本職なので冒険者になる気はないです。それにレイナ達がいるから見捨てられないので無理ですね」
その事にレイナ達が嬉しそうにしているので、そのまま話を続ける。
「それに、自分は危険な所には行きたくもないですから、どちらにしても無理ですね」
そう伝えると、光の翼のメンバーは落胆しているが、俺は目立つのは嫌なのでそう言わせてもらった。
その後、何かを話し合っていたみたいだが、俺達はその事を放置してゆっくり会話をする。
「そういえばルージュは決闘に勝ったけど何をカエデさんに頼む気なんだ?」
「それは俺様達が腹一杯になるまでの大量の飯を食わせてくれと言うつもりだぜ」
「なる程、でもボク達も一緒に食べていいの?」
「もちろんいいぜ。一人で食うよりみんなで食う方が楽しいからな」
「ありがとう。私達も結構食べるから食費がかなり凄い事になるからいつもは程々しか食べることが出来ないからな」
「わたしはそこそこ食べる量は多いけど、ハルヤを除く三人の食べる量が凄すぎて何も言えなくなるわ」
そうやって話していると、光の翼のメンバーの人達の話し合いが終わってこちらに振り向いてくる。
「ハルヤさん、それに皆さん。これから昼ごはんを食べに行きますが一緒に食べに行きませんか? もちろん奢りますので」
その言葉にルージュ達の目が輝く。
「いいのか? 先に言っておくが俺様達はかなり食うぞ」
「それは大丈夫だ。アタシも結構大食いだからコイツらも慣れていると思うぞ」
でも、本当に大丈夫か?
そう考えつつ、俺達と光の翼のメンバーは訓練場から出て前行ったステーキの店に向かう。
そして、そこでルージュ達が容赦なく食べて、会計が数十万パルも行って唖然としている所を横で見る。
その事で、やはりこうなったなと思い俺はゆっくりとコーヒーを飲む。




