三十層のボスとの戦闘
結局その後、特に問題は起きず三十層のボス部屋に到着した。
「しかし、特に何も無かったな。後魔物が出てきても速攻で倒されて危険がなかったからよかった」
「あのハルヤ、今いる場所はそんなに危険がないわけではないぞ」
だよな。最近は危険な所に行くことが多くて感覚が狂ってきているな……。
そう考えているとルージュがある事を喋ってくる。
「ここが三十層のボス部屋か。にしても、結構なプレッシャーがあるな。これなら楽しめそうだぜ」
やっぱりか、まぁルージュならそうなるよな……。
そう思っているとソルがある事を話してくる。
「ルージュはそう考えられてすごいわね。わたしはここ立っているだけで身震いがするのに……」
「そうだな。ハルヤは感覚がおかしくなっているし私達は身震いしているし、ルージュはやる気になっているからこのパーティー凄いな」
レイナの言葉に頷く。
「なあ、このまま話していると続きそうだから中に入ろうぜ」
その事を聞いてボスの部屋に入ると中には二足歩行になっていて、四メートルくらいのカブトムシみたいな魔物が槍を持って佇んでいた。
「なんか、予想取りだね。でも、何かありそうだから注意しないといけないね」
そうやってエルが言っているとボスが槍を構えて突撃してくる。
「あの、ボスがすごいスピードでこちらに突撃してきているけど大丈夫か!?」
俺のその声に、ルージュが炎魔法第五階を発動してボスが吹っ飛んて燃えている。
「えっ、なんかあっさり吹っ飛んで行ったけど!?」
「やっぱり虫は燃えるな。それに他に魔物がいないから楽勝に倒せる」
「そうだな。相性がいいからこうなるだけで、水属性のボスが出てきたら分からないからな」
ルージュの火力なら普通に蒸発しそうな気がするけど、今は驚いているレイナとソルを見ておく。
そうやって少しすると、ボスが黒い霧に変わって木の宝箱と直径三十センチくらいの魔石が出現した。
「今まで冒険者が苦戦していたのに、こんなアッサリ倒せるとは思ってもいなかったわ」
だろうな。相性はいいけど、ここまで簡単に倒せるとは俺も思ってはいなかったからな。
そう考えていると、ルージュが宝箱を開けた中身の水筒みたいな物、レイナが魔石を持ってきた。
「今回は前のボスの魔石よりも大きいな。それにこれを持って帰ったら凄い事になると思うぞ」
「そうだよね。確かさっきのボスを冒険者の先鋭が集団で戦っても勝てなかった相手に、普通に倒してしまったからね」
「だよな。そうなるとなんか面倒な事が起きる可能性が高いよな。例えば勧誘とかだな」
そう話していると何が地響きがして、俺達は思わず倒れてしまう。
「一体何が起きているんだ!? 私とソルがダンジョンに入って初めてだぞ」
「これは、もしかして特殊ボスが出現する前触れかもしれない。そうなるとかなり大変な事になるよ」
「ちょっと待て、特殊ボスってなんだ? 確か初見とイレギュラーと普通は聞いた事があるけど、特殊は知らんぞ」
そう話していると、黒い霧が発生した後、それが固まっていってさっきより一メートルくらい大きくて、さらに二本の槍を持った赤いカブトムシが出現した。
そして、地響きが終わって特殊ボス?がこちらを見てくる。
「流石にこれはまずいぞ、一回体勢を立て直すためにこの部屋から出ないか?」
そう言うとルージュが目を輝かせてある事を言う。
「ダンナ、かなり面白そうな相手が出たじゃねーか。それに俺様はここで引きたくないな」
そう言うと、立ち上がって両手剣を構えて特殊ボスに攻撃を始めた。
「なあ、エル。特殊ボスについて知っている事を話してくれないか?」
「ボクもそこまで知っているわけではないよ。でも知っている事は話すね。特殊ボスは階層ボスを倒した時に稀に出てくるめちゃくちゃ強いボスの事なんだよ」
「そうなのね。という事は倒すのは出来るのかしら?」
「歴史上では倒せた事はあるらしいけど、相当の犠牲が出たらしい。それにその時は国の最先鋭が戦っていたみたいだから、普通は五人で倒せる相手ではないよ」
だよな。でも、あそこで互角以上に戦っているルージュはどうなるんだ?
俺はそうやって戦っている所を指差すとエルが唖然としていて、レイナとソルが固まっている。
「確かにルージュはドラゴンだけど、あそこまで特殊ボスと戦えるのは凄くない!?」
そして、俺にはルージュが両手剣で攻撃している事以外、何をやっているかわからない。
そうやってみているとルージュが、特殊ボスの右腕を切断してさらに優勢に立つ。
「結構手応えがあるな。それにここまで強い奴とは久しぶりだぜ」
そう言ってさらに攻撃が激しくなっていく。
「もう、アイツ一人で良くないか?」
その言葉にレイナ達三人が頷く。
その後、ルージュが特殊ボスにトドメを刺して黒い霧になった後、銀色の宝箱とさっきの初見ボスの二倍くらいの魔石が出現した。
「こんな大きな魔石見た事ないわ。それに銀の宝箱だからかなり良いものが入っている可能性は高いわね」
「それは楽しみだな。それに、これだけあれは大量の飯が食えるから嬉しいぜ」
「多分普通に店を貸し切れると思うよ。それに、その魔石だけでも、軽く家が買えるんじゃないかな」
「そうだよな。でもルージュが倒したから本人の物だし俺達は口出し出来ないけどな」
そう言ってアイテムバックに魔石を入れた後、銀色の宝箱を開ける事にする。
「でも、私も銀色の宝箱は殆ど見た事がないから、何系が入っているかわからない」
「それほど貴重な物なんだな。俺はダンジョンの事は殆ど知らないから面倒だと思うな」
そうやって話し合っているとルージュが勢いよく銀色の宝箱を開けると、中からは銀色の弓が出てきた。
「俺様は弓は使った事がないからいらないな。それならダンナにやるよ。それなら戦力になると思うぜ」
「いや、俺は静かに雑貨屋の店員か商人をしたいのに、何故弓を持って武装するんだ?」
俺がそう聞くと、ルージュがある事を話してくる。
「多分俺様の予想だが、この矢筒は魔力に関係していると思うんだ。それならこの中で魔力がかなり高いダンナが使うのが一番良いと思ったからだ」
その言葉に俺以外が頷いている。
「それにハルヤは昔、私達が探索に連れて行った時に弓で武装していたよな」
「それに精度はかなり上手くて、遠くの木になっている木の実を打ち落としたりしていたのは覚えているわ」
「それは、爺さんが覚えておくといいぞと言われてやったら、偶々上手く出来ただけでそれで戦いたいとは思った事はないぞ」
「そうなんだね。ハルヤ君は本当に器用なんだね。魔力がとても高くて高度な回復魔法も使えてさらに料理までできて、弓も上手だと思ってもなかったよ」
「なら決定だな。ダンナがこの弓を使ってくれ。それなら俺様もこの戦いをした意味があるという物だぜ」
いや待て、なんでそうなるんだ!?
そう考えていると、何故かその弓は俺が装備する事に強引に決められてしまった後、鑑定をしてもらおうという話になってしまう。
そして、今日はその部屋に泊まって大量の料理を作らされた後、また四人に抱きつかれながら寝た。
次の日から、何とか数日をかけてダンジョンから脱出して、冒険者ギルドに向かうとある光景が目の前に写る。
その内容はまた話そうと思う。
ただ、これだけは言わせてくれ。俺は絶対ここにいてはいけないだろと。




