二十層のボス
ボスの部屋に入ると中には大きなハニワの馬に乗った砂人形が、剣と盾を構えてこちらを見てくる。
「なんか強そうな魔物に見えるね。多分ルージュを除くボク達が本気で戦っても勝てる確率が低そうだね」
「それは、ボスだからな。普通は数十人がかりで戦うのに五人でここまで来るだけでも凄いと思うぞ」
「ちょっと待て、それならクルフトさんが言っていた三十層のボスを倒してくれって、相当な無茶振りじゃないか!?」
そう思いかなり焦り始める。
「ハルヤはダンジョンに入った事が殆ど無かったから知らなかったのね。そうよ、ボスは赤オーガの時みたいに集団戦なのが普通で、わたし達みたいに五人で戦うのはおかしいわよ」
だよな。俺もそう思ってはいたけど、ルージュなら大丈夫だなと人任せ? にして考えていたから反省しないといけないな。
そう考えていると、二十層のボスが盾を構えてこちらに突撃してくる。
「かなりヤバイから凄く帰りたくなってきたけど、この状況では無理だよな。それより、ボスがこちらにきているけど大丈夫か!?」
そう言うとルージュが炎魔法第三階を発動して、ボスを攻撃する。
魔法が盾に着弾して爆発して、ボスの盾が砕けてダメージを与えられたけど、突撃は止まってはなくてルージュが剣で受け止めた。
「ほう、そこそこの威力があるな。でも俺様を押し返すには全然足りないな」
それはな。逆にドラゴンを押し返せる奴がここにいたら怖いわ。
そう考えていると、ルージュがある魔法を使う。
「ならこの魔法はどうだ? 炎魔法第五階」
そう言ってルージュの前にかなり大きな魔法陣が出て、その中から炎が出てボスを吹き飛ばして粉々になった。
その状況を見て俺達四人は唖然とした後ある事を話す。
「ボスをこんな簡単に倒せるのは凄くないか……。」
そう言い他の三人が頷いている。
少しした後、ボスが黒い霧になって今度は銅の宝箱と他のボスより大きな魔石が出現した。
「これは結構大きいな。前の赤オーガや大きな騎士像には及ばないけどそれでも凄いな」
「それに銅の宝箱だからそこそこいいものが入っている可能性があるわ。それよりもここまで宝箱が出るのは凄いわね」
その事を聞いてある質問をする。
「そういえば宝箱の事で聞きたいのだがいいか? 前に宝箱のランクは聞いたけど、こんなによく出るものなのか?」
「そんなに出ないわよ。普通はもっと宝箱が出る確率は低いと聞いているけど、ここまで出やすいと何か怖いわね」
「そうだね。ボクが知っている限り三回に二回も宝箱が出てくるなんて知らないよ。それにその確率で出てきても木か鉄の可能性が高いと思うから銅が出てくるなんて凄いね」
そうやって話し合っていると、レイナとルージュが宝箱を開けたそうにウズウズしている。
「ダンナ、宝箱を開けてみてもいいか? 前の時も同じく銅の宝箱でアイテムバックが出てきたから、今回も何か出そうな気がするぜ」
「私も宝箱を見る機会はそこまで多くないから、中身を見てみたいな」
なんか、凄い興味深々だな……。
そう思っていると、ルージュが宝箱を開けて中身を取り出す。
「これなんだ? 短剣みたいな物が鞘に入っているな。でも、なんの能力があるか分からないから、鑑定してもらうまでダンナのアイテムバックの中に放り込むか」
「そうだな。鑑定してもらった方が安心出来るからな。でもハルヤの指輪を鑑定してもらった時は、結局何かわからなかったけどな」
そういえばそうだよな。
今右手に付けている指輪の事は、分からなかったのでそのまま放置していたな。
そう考えているとルージュがアイテムバックの中に短剣を入れて座っているので、俺はシートを取り出して敷く事にする。
そして、結局指輪の事はどっかいって、今日はここで一夜を過ごそう、という話になってルージュが結界を張って俺達は夜ご飯を作り始める。
「しかし、ここまで順調に来れるとは思ってもいなかったわ。それに、ダンジョンの二十層がこんな感じだという事はわかったから良かったわ)
「そうだな。ルージュがいるからここまで楽に来れたな。それに私達だと十二層が限界だったからな」
そうやって話しつつ、ご飯が完成して食べた後、今日は誰が俺と一緒に見張りをするかで、話し合いが始まった。
「とりあえず、料理が出来るわたしは確定でいいわよね」
「それならソルのかわりに、ある程度は料理が出来るボクが変わってもいいよね」
「ならもう一人は私でいいよな。ルージュは前一緒にしているから、今度はこちらの番だよな」
「いや、俺様が一番働いているからダンナに抱きついて寝たいぜ」
おい、見張りはどうなったんだよ……。
そう考えていると、ここなら人が余り来ないみたいなので、今回は全員で寝る事になった。
なので全員テントの中に入り、俺は端寝たかったけど、無理やり真ん中にされて横に左にレイナ、右にルージュに抱きつかれてしまう。
「おい、普通に寝させてくれ。流石に抱きつかれて寝るのは熱いのだが……」
「「断る!」」
あのさ、それを聞いて俺はどうすればいいんだ、と思う。
その状態から少しして、俺以外全員が寝たので仕方なくそのまま寝る事にする。
次の日、起きると四人が凄い体制で抱きついているので、どうにか抜け出そうとするが無理だった。
なので、どうしようか悩んでいると、ソルが起きてこちらをみてくる。
「これはどういう状況なのかしら?」
「俺が聞きたいわ!? それよりも脱出するために手伝ってくれないか?」
そう言って手伝って貰おうと思ったが、ソルはある事を言う。
「ハルヤ、わたしにはこの状況をなんとかする力は無いのと、それにこんな気持ち良さそうに寝ている所を邪魔したら悪いわ」
確かにそうかもしれないが、ここはダンジョンだから静かに寝たかったから少しは自粛して欲しいのだが……。
そう考えていると、ソルがまた寝てしまったので俺もこの状況で仕方なく寝る事にする。
数時間後、なんとか全員が起きて朝ごはんを食べて片付けをした後、三十層に向かって出発する。
まずは二十一層に続く階段を降りる。
「次はどんな階層かな。ハルヤ君は何があると思う?」
「さあな、それは行ってみないと分からないな。だけと、面倒な場所ではあっては欲しくないな」
そうやって話していると、二十一層の入り口が見えたので、そこに行き景色を見てみる。
「なる程、今回は森みたいなフィールドだな。こっから見る限り虫系のモンスターが多そうだな」
そう話しながら歩いていると、予想通り三メートルくらいの大きなカマキリがこちらに近づいてきた。
「なんか、ハルヤ君の予想通りだね。しかも結構厄介そうな魔物だね」
そう言って俺以外の全員が武器を引き抜いて戦闘態勢になった。
俺は少し離れてその戦闘を見る事にする。
そして、まずカマキリの魔物に切り掛かったのはレイナだ。
相手が鎌を振り下ろしてくるのを上手く回避して左腕を剣で切り裂く。
「レイナが上手く切り裂いたね。ボク達も負けてられないよ」
エルがそう言い三人も連携してカマキリにどんどん攻撃を当てていって、それから少ししてあっさり戦闘が終わったので魔石と素材を回収する。
「しかし、二十層の魔物だけどそこまで強くないわね。わたしが聞いた限りだと苦戦すると言っていたのに、ここまであっさり倒せるとは思ってもいなかったわ」
「そうだね。でも最初がたまたま弱い魔物に出会っただけで、強い魔物が出てくるかもしれないから注意しないといけないと思うよ」
そうやって話しつつ、目的地に向かって歩いていく。




