雑魚敵との戦闘その二
そして、朝ごはんを食べた後、三十層に向かって出発する。
「あのさ、三十層までどれくらいかかるのだろう? レイナとソルも十二層までしか行った事ないと聞いたからね。それにハルヤは殆どダンジョンに入ってないのは知っているし、ルージュとボクは初めてだから道が全くがわからないからね」
「確かにそうだな。それにこのままだと食料も一ヶ月しか持たないから、それまでにダンジョンの目的を果たして街に帰りたいと思っている」
買ってきた食料とコイツらが大量に食べる分を考えて、それくらいしか持たないなと考える。
「なる程な。それなら誰か三十層まで知っている奴から話を聞いてきたらよかったかもしれないな」
いや、殆どの冒険者と職員はボコボコにされて倒れていたから、あの状況だと聞けないと思うぞ。
そう思っていると、ソルがある事を言う。
「それは無理よ。冒険者ギルドは大変な事になっていて聞ける状況ではなかったわよ。それに情報を聞けたとしてもいくらかかるか分からないし、正確ではない可能性もあるわ」
そうだよな。それに今行ける三十層の初見ボスを倒しに行くなんて言ったら、笑われるか本気で心配されるかのどちらかの可能性が高いから色々難しいな。
ただこれ以上は考えても仕方がないと思い、テントの片付けなどを始める事にする。
でも、静かに片付けているのは暇だと思ったのか、レイナが話しかけてくる。
「しかしハルヤは色んな物を用意したな。これだけ揃えるのにいくらしたんだ?」
「それは聞かないでくれ。それよりも俺とルージュはテントの片付けをしているから、お前らは武器の手入れとかしといた方がいいと思うぞ」
そう言いながら、ルージュと一緒にテントの片付けを続ける。
その後片付けは終わりレイナ達の武器の手入れもほぼ完了したみたいで、ルージュが結界をといて俺達は先に進む事にする。
そして、十一層に着くと今までの迷路とは違う風景が広がっていた。
「なる程、ダンジョンの中に岩石がゴロゴロ転がっている広い階層なんだね。これならルージュの大きな武器も壁とかに当たらないから上よりはマシだと思うよ」
その事を聞いたルージュはある事を話す。
「それなら、俺様も少しは楽しめそうだな。それにこの階層の敵は知らないからどんな奴が出てくるか楽しみだぜ」
なんか凄くやる気になっているな。
まぁ仕方ないかと思いつつ、進もうとしたときスートルの鉱山にもいたハニワ型の魔物が、こちらに近づいてきた。
「あれ? あいつは前の所にもいた奴だよな。なんか期待して損した気分になってしまうぜ。」
「いやいや、あのハニワは結構硬いのと、体当たりか石を投げるとかしか見たことないけどかなり痛いからな!?」
「そうよ。わたしとレイナも前はかなり苦戦して倒した記憶があるわ」
そりぁ、硬い敵にこちらが物理攻撃しか無いと倒すのが難しいよな。
でも、俺は戦わないから関係ないけどな。
そう考えいるとルージュが速攻でハニワに近づき、拳で普通に破壊して中にある魔石を拾ってこちらに戻ってくる。
「やはりこうなるよな。前のスートルの時もそうだったけど、ルージュは簡単に倒していたな」
「そうなのね。確かに正体がドラコンのルージュならこの程度は余裕よね」
俺はソルとそう話していると、ルージュが倒したハニワの魔石を見ながら喋ってくる。
「確かこの魔石もそこそこの値段がしたよな」
「スートルの時の奴は確かにそこそこ高く売れたけど、ここの魔石はどうか分からない。でもこっちの方が下層だから前よりは高く売れる可能性はあると思うぞ」
そう話しているとソルがその事を答える。
「確かわたし達がそのハニワ型魔物の魔石を売った時は結構高く売れた記憶があるわ。それに冒険者のメインの攻撃である物理攻撃が通りにくいから倒すのに苦労するからそれがプラスされているみたいね」
あの、ルージュは普通に拳で倒していましたが……。
その事を伝えるとソルが真顔でこちらを見てきた後、喋ってきた。
「それは例外もあるわよ。それに物理攻撃が通りにくいといっても限度はあると思うから、ルージュなら余裕で倒せると思うわ」
俺とソルはそう話していると、暇になっているレイナとエルがこちらに話してくる。
「あのさ、流石に暇だから私も魔物と戦ってもいいか。」
「確かにあのハニワの魔物は硬いと思うけど、ボクの鋼鉄も切れる剣ならいけそうだね」
切れる切れないはわからないけど、俺は関係無いから離れておこうと思う。
そう考えながら下の階層に行く階段を探していると、またハニワ型の魔物が出現したので今度はレイナとエルが戦うみたいだ。
「ハルヤ、私とエルが戦うから見といてくれ」
レイナがそう言った後、二人が攻撃を始める。
俺は戦っている所を見ながらソルとルージュに、ある質問をする。
「なあ、エルの剣はともかくレイナの剣は鉄で作られているよな。あのハニワ型の魔物は硬いから刃こぼれしそうな気がするのは気のせいか?」
「それを言ったら終わりなような気がするけど、確かにその可能性はあるわね。後レイナの剣の使い方は荒くて、さらに手入れが下手くそなのがあって何本も買い換えているから、お金もかなりかかっているわ」
「そうなんだな。でも俺様は普通に倒せる雑魚だと思ったから特に感想はないな」
そうやって話し合っていると、二人がなんとか倒したみたいで魔石をこちらに持ってくる。
「結構苦労したけど倒せたぞ。それでハルヤ、少しでいいから甘えてもいいか?」
「レイナだけずるくないか? それならボクにも権利はあると思うよ」
うん、なんでこいつらは場所を考えないのだろうか?
流石に断ろうと思ったが、なんか二人がすごいこちらを見てくるのでどうしようかなと悩む。
すると、ソルがその状況を見てこちらに話してくる。
「ハルヤ、少しぐらいいいと思うわよ。それに周りの事ならわたしとルージュが警戒しておくから大丈夫よ」
「なる程な。そこはそれで納得するけど、俺は具体的にはどうすればいいんだ?」
そう聞くと二人は声を合わせて要望を言ってきた。
「「頭を撫でて」」
なる程、それならまだなんとかなりそうだな。
少し思考がおかしくなっているような気がするが、気のせいだと思っておく事にする。
それで二人が頭を下げて差し出してきたので有れば撫でるのを始める。
「前もされたけどやはりハルヤは撫でるのは上手いな」
「そうだね。ハルヤ君は器用だから色々できるんだね」
いや、俺はそこまで器用ではないぞ。
そう伝えようとしたが、話を聞かなそうなので黙っておく。
そして少しした後、二人の頭から手を離して先に進む事にしようとしたが、今度はソルとルージュがこちらを見てきた後、ある事を話してくる。
「そういえばハルヤ、わたし今日の朝ごはん一緒に作ったわよね。わたしにもご褒美で頭を撫でて欲しいのだけどいいかしら?」
「ダンナ、俺様も同じハニワの魔物を倒したからご褒美をくれ」
ここで否定すると何があるかわからないから、二人にも頭を撫でる事にする。
その後、やっと進めると思ったら今度はハニワではなくて、砂の人形で胸の所には魔石がはまっている魔物が四体出てきた。
すると四人の目が光って剣を抜いた後、速攻で倒しにいってしまう。
その状況を見て、俺の護衛はいないのかと突っ込みを入れたくなったが、放置する事にする。
そして、四人が倒して魔石を回収してきたので袋の中に入れて先に進む事にする。
俺はこれから大丈夫なのかと思いつつ魔物を蹴散らしていく四人を見る。




