十層のボス戦後のご褒美
何とか三人がボスである、ブラックタガーハウンドを倒して、俺が回復魔法をかけた後、ボス部屋の中で休憩する事になる。
「あのさ、ボス部屋で休憩していて大丈夫なのか? それでいきなりさっきの奴が現れたら驚くぞ」
俺がそう言うとルージュが喋ってくる。
「ダンナ、その事なら大丈夫だぞ。もし現れても今度は俺様が戦うからな。少し力を出さないといけないかもしれないが、見ている限りだと余裕だと思うぜ」
まぁ、それを言ったらレイナ達の頑張った意味が薄れると思うが……。
そう考えていると何とか喋れるようになってきたレイナ達が口を開く。
「やっぱり、ドラゴン娘のルージュとは差がありすぎるな。でも私達の目標にはちょうど良いかもしれない」
「そうね」「そうだね」
三人はダウンしながらそう話しているが、本気のルージュを倒せたら、人間としてとんでもない偉業を達成した事になると思うぞ。
その事で突っ込みを入れようか迷っているとソルがオレの方を見ながらある事を言う。
「ハルヤ、わたしの水筒をアイテムバックから出してもらっても良いかしら?」
「別にいいぞ」
そう言って取り出して渡そうとすると、何故か口を開けている。
「おい、何で口を開けているんだ?」
そう聞くとダウンしたまま話してくる。
「それは、わたし達は強敵との激戦で動かないから飲まして欲しいから口を開けているわ」
その事を聞いて凄い嫌な予感がしてしまう。
そして、その予感は当たってしまう。
レイナとエルもダウンしながら俺の方を見てきてソルと同じく口を開けている。
うん、やはりそうなってしまうか……。
俺は頭を抱えながらどうしようか迷っていると、ルージュがある事を言う。
「流石にこの状況はキツイと思うぜ。それに最初に誰に水を飲ますかを話し合ってないから、喧嘩になるかもしれないからせめて順番は決めた方がいいと思うぞ」
あの、俺が水を飲ますのは確定しているのですね。
ルージュの話を聞いた三人は、誰が一番最初に飲ませてもらうかの話し合いが始まった。
「ここは付き合いが長い私が最初に飲ませて貰うぞ」
最初にそう言ったのはレイナだ。
「なら、わたしは一番最後でいいわ。ハルヤに一番長く水を飲ませてもらえるからね」
次にソルがそう言う。
「それなら、ボクは真ん中だね。まぁ、言い合いの喧嘩をする体力もないしそれで大丈夫だよ」
最後にソルがそう話す。
「ダンナ、特に喧嘩が起きず上手く話し合いが終わったな。後はよろしく」
ルージュがそう言っていつのまにかシートを敷いてあって、そこに座って干し肉を食べている。
俺は仕方がないと思って三人の水筒を取り出して、水を飲ませる事にした。
その後、レイナとエルは普通に飲んでくれたがソルがある事をお願いしてくる。
「ハルヤ、少しいいかしら。わたしには膝枕しながら飲まして欲しいわ」
うん、突っ込みどころ満載な事を言ってきたな。
そう思い、俺は上手く伝えられるように話す。
「いや、膝枕しながらどうやって水を飲むんだよ。レイナとエルの時みたいに、何とか体を起こして飲ませるのではダメなのか?」
「それでもいいけど最後まで待ったから少しぐらいご褒美があっても良くないかしら」
「それならボスを一緒に倒した私達にも権利はあるよな」
「そうだね。ソルだけだとずるいと思うよ」
なんか、話がややこしくなってきたような気がする。
「はぁ、わかった。ソル、水は普通に飲ませるけどその後に膝枕をしてやる。レイナとエルはその後話を聞くでいいか?」
そう言うと三人は頷いてきたが、今度はルージュが不服そうに喋る。
「なら、俺様にもご褒美は欲しいな。今回はレイナ達に戦うのを譲ったから出番はなかったけど、何も無しは少し悲しいぞ」
でしょうね。でも、こうなったら三人も四人も変わらないと思ってきたので少し落ち着く。
それで少し落ち着いて考えた後、ソルに普通に水を飲ませて、膝枕をする。
「膝枕ついでに頭を撫でてもらってもいいかしら」
おい、要望が増えているぞ。
そう突っ込みつつ頭を撫でると他の三人から凄いガン見をされたので、俺は何とか話題を考えて話す。
「ここはダンジョンだから、こんなにゆっくりしていて大丈夫なのか?」
その事に答えたのはルージュと俺に膝枕されているソルだ。
「別に大丈夫だと思うぜ。それにさっきの奴が出てきてもブッ倒せるから安心してくれ」
「それにボスは一回倒されると基本一日間は出現しないから大丈夫よ。後、ハルヤ耳かきも頼むわね」
なんか話しながらやる事が追加されたのだが……。
そう言われたのでアイテムバックから耳かきを取り出してソルにする。
「うん、やっぱり気持ちいいわね。ハルヤ、もう少し強めにやってくれるかしら?」
「あぁ、わかった。でも他の三人の視線が怖いから耳かきが終わったら離れてくれよ」
そう伝えるが、結局は耳かきが終わっても離れなかったので、他の三人が俺の膝からソルを無理矢理どかす。
「ソル、流石に長いぞ。私達のにもハルヤの膝枕+耳かきは楽しみにしているんだぞ」
おい、お前ら正座して膝枕している俺の事を考えてくれ、結構キツイからな。
そう思ってはいるが、三人の気迫が凄いので言えないでいる。
結局レイナとエルにもする事になってかなりキツかったのと足が痺れてヤバイ。
そして、最後に何故か戦っていないルージュの番になった。
「ダンナ、流石にキツイと思うから正座はやめていいぜ。それよりもそろそろ腹が減ってきたからご飯を作ってくれるか?」
そう言われてアイテムバックの時計を取り出すと、夜ご飯にはいいくらいの時間になっていたので頷く。
「わかった。ソルとエル手伝ってもらってもいいか?」
少しは動けるようになったソルとエルにそう言う。
「わかったわ」「了解だよ」
二人もそう言って俺達は夜ご飯の準備をする。
「あの、私は何をしていればいい?」
「暇なら、俺様と一緒に護衛をしてくれ。もしかしたら何かあるかもしれないからな」
ナイスルージュ。
レイナにご飯を作らせたら、とんでもないことになるから、俺も同じ事を頼もうと思っていた。
ちなみにソルもホッとした顔になっていて、俺と似たような事を考えていたみたいだ。
その後、時間停止のアイテムバックの中にある食材を使って、大量の料理を作成する。
ガッツリした肉料理から、大量の麺類などや野菜のサラダなどを設置した八人用のテーブルの上に置く。
「凄いな。普通ダンジョンの中ではこんな豪華な料理は食べれないぞ。それにすごくいい匂いがしている」
「そうだな。座ったら食べてもいいか?」
レイナとルージュがそうやって言って、料理に釘付けになっている。
「まだだよ。ボク達の調理器具の片付けが終わっていないから待ってね」
俺はひたすら洗浄魔法を使って調理器具をピカピカにして、それをソルとエルがアイテムバックの中に入れている。
少しして、片付いた後ダンジョンの前に話し合っていた場所に座りご飯を食べる。
「「「「「いただきます」」」」」
俺達はそう言った後、作った料理を口に運ぶ。
「うん、美味しいね。でもこんなに食材を使っても大丈夫なのか心配になってくるね」
「それは大丈夫だぞ。このために約百万パル分以上の食材やマジックコンロと調理器具などを買ったからな」
本当に集まるのに苦労したなと思いつつ、食事を進める。
そして俺と他の三人よりは食べないソルはコーヒーを飲みながら凄い勢いで食べている、レイナ、エル、ルージュを見ながらある事を話す。
「これ、食料がもつかな?」「それはわからないわね」
ですよね。俺はこの後の事を考えてソルと相談する事にする。




