ポーションの値段
数日後、全員でリビングで寝て俺はソファーから起きると、すでにソルが起きていてこちらを向いていた。
「おはようハルヤ。今日はどうするの?」
「それはあんまり考えていないな。流石に今日はゆっくりしたいな。ただスートルにいる間に〈ポーション〉を沢山作っておいたから雑貨屋の商品と使う分を除いて商業ギルドに適正価格で売りにいけたらいいなとは思っているな」
俺は安い額で売っていたのを知って、今度こそ適正価格で売る事を言う。
「それがいいと思うわ。でも冒険者ギルドの職員や冒険者が買いにきた時は出来れば安くしてほしいわ」
「それはその時考えるな。それよりレイナ達を起こして準備しないといけないな」
俺ははそう言い起きているソルと一緒に爆睡しているレイナ達を起こして朝の身支度をして、商業ギルドに向かうため戸締りをして歩いて行く。
この一幕に結構な時間が経ってしまったので、何か対策を考えないといけないなと思ってしまう。
というか、最近あまり気にしていなかったけど何で俺と同じ部屋で寝ているのに、抵抗とか気ないんだと。
でもこの事を考えると長くなりそうなので、一旦頭から忘れておく。
そう考えているとソルがある事を喋ってきた。
「そういえば、そろそろ月一のロートス冒険者ギルド新人冒険者訓練があるけどエルは参加するのかしら?」
「ボクは参加しないよ。今はレイナとソルのお陰である程度お金が入ってきたし、それにそこそこ戦えるから場違いと言われるかもしれないからね」
確かにエルはゴブリン討伐戦の時、かなりの戦力になっていたからそう言われるかもしれないな。
簡単にそう思っていると、その事にルージュが興味を持ち聞き始めた。
「なあ、その新人訓練は何をするんだ? 例えばそいつらが教官に色々教えらたり基礎を学んだりするのか?」
そのルージュの問いにソルが答える。
「それは、大体そんな感じね。でもかなり厳しいけど受けといて良かったと思う事が結構あるから受ける人が多いわね。でもわたし達はもう受けたくはないとだけは伝えておくわ」
まあ、あの当時レイナとソルは、いつもボロボロで俺の店にきて回復魔法をかけていたからな。
俺は表情とか状況を見て、かなりじんどいとは思っているからな。
俺達はその事で色々話しながら歩いていると、商業ギルドと横にある冒険者ギルドに着到着した。
俺は護衛の四人を連れて商業ギルドに入りまだ空いていたので、顔見知りの痩せ型の男性の所に並ぶと少し待つだけで順番がきたのでそのまま話す。
「ハルヤさんこんにちは、今日はどのような用事で商業ギルドに来られたのですか?」
「今日は自分が売っている〈ポーション〉の値段で相談にきました」
その事を言うと顔見知りの男性職員ハルトンさんが少し驚いた表情になった後少し間を挟んで俺が言ったことの理由を聞いてきた。
「あのそれは値上げでしょうか? それだと少し難しくなりますね」
ハルトンさんはそう恐る恐るそう言ってきたので、俺はある事を言う。
「それもありますが、スートルに行った時に、自分が作っている〈ポーション〉の性能の割には安いと聞いたのでそこら辺を一回整理したいと思ってきました」
「なる程、それは商業ギルド上層部がハルヤさんの〈ポーション〉を安く買って他の街で高く売っていた事に関係ありますよね。その事なら私も最近知って驚きました」
一つ思うが俺の〈ポーション〉がそんなに高く売れるもんなのか? と考えてしまった時もあったが、実際にソルから聞いた通りだったな。
ふとソルの方を見ると、すごい自信のありそうな顔をしていたので、スルーした方が無難だと思ってしまう。
それはさておき、〈ポーション〉の事でハルトンさんと上司の方と、相談する事になったので相談室に向かう事になった。
少しして、相談室について俺達五人とハルトンさんと上司の主任と書いてある名札をつけている、三十代ちょっと前くらいの女性の方と相談が開始される。
「それでは今回ハルヤさんの〈ポーション〉の転売問題についてのお話を進めます。ちなみにわたしの名前はトマナです。よろしくお願いします」
一礼されたのでこちらも一礼で返して話が始まる。
「今回ハルヤさんが商業ギルドにお越しになられたのは、上層部がしていた〈ポーション〉の高額転売の事であっていますか?」
「はい。流石に決められた値段で売っているのに聞いた話では軽く数倍の値段で、他の街で売ってかなり儲けたとお聞きしています。その事に間違いないですか?」
この事を相談しにきたのだから、ストレートに聞かないと誤魔化されたりしたら嫌だからな。
そう思いつつトマナさんを見ると書類を用意していたらしく、それをこちらに見せてくる。
書類を見ると前の上層部が、かなりの儲けが出ていたと書いてあったのでやはりなと思う。
少しして、その書類に書いてある事を中心にトマナの説明が始まり、こちらはその言葉を聞く。
「まずはこの書類を見てもらえたらわかるのですが、ハルヤさんが作っていた〈ポーション〉の売値より、軽く数倍の値段で取引されていることが記録されています」
しかしよくこの書類が残っていたな。
俺なら速攻で証拠になる物は処分するが、ここは違ったんだな。
そう考えているとエルがある事を質問するために話す。
「あの、他の街に転売するにしてもハルヤ君が一人で作れる〈ポーション〉の数は限りがあるのと、交通費とか考えるとあんまり儲けが出ないと思うのですが気のせいですか?」
その問いにトマナさんが答える。
「それは、ハルヤさんが作れる〈ポーション〉の本数が一日でかなりの量を作れるのと、後効果が通常のよりかなり高くてそれでさらに儲けが出たのだと思います」
エルはトマナさんの答えを聞いて、いきなりこちらを見てきて何故か驚いた後、喋ってきた。
「ハルヤ君は本当に色々できるんだね。流石に〈ポーション〉まで作れて、さらに性能がいいってボクはもう何も言えなくなってきたよ」
その言葉に他の人達が全員頷いていたので、何故こうなったと思い頭を抱えたくなってしまう。
まあ、その事は置いておくとして、ある事を聞きたいので今度は俺から話す事にする。
「あの、それで結局儲けはどこにいったのですか? 自分は別に転売の事はそこまで気にしていないですが、流石に高額で売られていたらこちらまで何かあるかもしれないのでお聞きしてもいいですか?」
この事をまず聞いておかないと気になるので質問しておく。
すると、商業ギルドの職員である二人は少し渋い顔になりハルトンさんが喋ってくる。
「その事ですが…… 儲けはほぼ全部上層部の懐に入ったそうです。しかも先程言った通り他の街に持っていく手間はありますがハルヤさんの〈ポーション〉は高く売れたので経費とかを除いて、もかなりの金額になったそうです。後作っている本人を連れて来いと言うこともあったそうですが、そこは自分たちが独占するために答えなかったと聞いています」
やはりか、だから平職員などがボロボロで働いていたのに、商業ギルドの支部長とか幹部の人達はかなり豪遊していたんだな。
そう考えると俺は虚しくなってきてしまうので一回深呼吸をした後、続きを聞く。
そして、ハルトンさんの言葉を引き継いでトマナさんが喋ってきた。
「その他には、ここロートスに〈ポーション〉の作り手を無理矢理聞き出そうとして、無難に対処したこともありました。ハルヤさんにはかろうじて話は行っていないと思いますので大丈夫でしたか?」
「その件は自分も何回も聞かれました、が面倒ごとになると思いはぐらかしたので大丈夫だと思います」
あの時は結構大変だったと思い出した後、話は続いていく。




