ゴズス工房での話し合い、その二
なんとなく、今まであった事を上手くまとめる。
「だいたい、ここまでがロートスからスートルまでの流れだな」
俺は、他の人を見渡しながらそう言う。
「そんな事があったのですね。僕もハルヤさんといる時、色々わからない事がありましたが、今回の話で少し分かったような気がします」
ライムがそう言って頷く。
「なる程、そこからはワタシも知っての通り、金貸し屋シルードの構成員が襲って来た事と、ライムさんが主君達と鉱山に行きたいと言ったことですね」
ローゼがそう言葉を放つ。
まぁ、確かにそうなんだが、ここまでの話で鉱山の事を殆ど話せてないのは、俺自身説明の下手なのが原因だと思ってしまう。
そう考えつつ、ローゼの話を聞く。
「とりあえず、ワタシ達工房組から何があったか話しますね。主君が鉱山に向かっている時、こちらは工房の防御を固める為に魔力結界の道具を展開して、シルードの構成員を入れないようにしつつ、辺境伯領に通信水晶で援軍を呼びました」
その自慢の青髪を揺らしつつ、言葉を発してくる。
なる程、俺が思う限り、結構面倒な事になっていたのは気のせいか? あと、辺境伯領の国軍は優秀だな、かなり早くにスートルに来ているよな。
それと、ロートスの時に見たことのある人達も中にいたから、そこから来たならまだ納得はいくけどな。
流石に、辺境伯領からこの速さで来るのはどうやって来たのか気になるからな。
まあ、それはさておき。ローゼが話を続ける。
「その後は何回か襲撃がありましたが、その辺のチンピラレベルだったので、簡単に倒せて追い返せたので何とかなりました。後は、そんな感じで数日していると主君が帰ってきてさっきの事が起きました」
ある意味、いいタイミングで帰ってこれたんだな。
もし俺達とソーラント領の国軍と騎士がきていなかったら、流石に物量で攻めてきた相手には消耗戦でしんどかったと思う。
「後は証拠もあるので、金貸し屋シルードやそれに連なる者達も捕まると思います」
ローゼがそう言い頷く。
だが、俺は少し気になっている事を言う。
「だが、金や権力を持っている奴らは厄介だぞ。例えば牢屋の看守に賄賂を渡して取引するとか、他には、外部の協力者を使って脱走するとか色々考えられるぞ」
俺は、実際にあった事件という本を読んだ事や、前にローゼから聞いた事を思い出しそう発言する。
「確かにそこは難しい所ですね。主君の言っている通りの事はこの国でもよくあるので、問題視されて物議を醸してるので大変な事です」
だよな、そこをどうするかだよな。
「これで工房組からの話は以上です。次は、鉱山組の話なので主君、説明お願いします」
ですよねー。ハァ、やっぱりこうなるか……。
「わかりました、今度は鉱山組の話をします」
俺は周りを見渡しそう言う。そして、鉱山から今までの事を伝える。
「なる程、まさか転移トラップやゴーレムの大群が鉱山の中にいるとは、思わなかったです」
ローゼはそう言って、びっくりしている。
「でも、ルージュさんがめちゃくちゃ強くて騎士像やゴーレムを圧倒したんです。後、ミスリルの騎士像を拳で砕いていましたね」
ライムがその事を言うと、ローゼとゴズス夫婦がルージュを見て驚く。
「えっ……。ルージュ、拳でミスリルの騎士像破壊したのです?」
「そうだが、あの程度の物ならいくらでも砕けるぞ。後、俺様は結構大きい魔石を手に入れたんだぜ」
その事を聞いて、唖然としているローゼに、俺はミスリルの破片とルージュが倒した巨大騎士像の魔石をテーブルの上に置く。
「もしかしてこの魔石は、ワタシは魔石関係はあまり知らないですが、この大きさはボスクラスの大きさだと思います」
やはりな。細かい事は商業ギルドか冒険者ギルドに行かないとわからないけど、大体は予想通りだ。
「後は換金していくらになるかだな。まあ、ルージュの物だから本人にお金は渡すけどな」
俺は、ルージュを見ながら発言する。
「なる程です。それでしたらワタシが買い取ってもよろしいですか、主君。その魔石はスートルに鉱山系ダンジョンが出来たことを証明する物なのでお願いします」
ローゼが俺達に頭を下げてきた。
「ルージュがそれでいいなら大丈夫だが……」
ルージュに視線を向けると『俺様は大丈夫だぜ』と喋ったので、後で魔石の値段の話し合いをする事になる。
「ありがとうございます。それでは値段は後ほど」
「魔石の事はこれで終わりでいいか? 後は特に話す事はないからここで終わりだけどな」
そう言い、俺は説明を終える。
そして、最後にローゼが発言する。
「後は、金貸し屋シルードの件になりますが、まずは不正の証拠、後は、貴族への反逆罪の二つを罪状として捕まえました。恐らくは軽くても監獄で数十年、重いと死刑になるレベルですね」
「それは、かなり凄いことになっているな」
俺は素直に驚く。
「そうですね。特に貴族への反逆はかなり重いのでそうなりますね。後はスートルの国軍のことですがロートスよりもかなり深い所まで腐敗が進んでました」
うん、まさかロートスよりも腐敗が進んでいるとは思ってもなかったわ。
確かに、ここも鉱山からの資源でかなり儲かっていたらしいからな。
「後、私達が知っている範囲ですが、お金を貸して返せなかったら奴隷落ちさせて売ることもあると言いましたが、実際は無理矢理脅して殆ど返すことの出来ない金利にして同業者の工房を次々と潰していました」
「後は、潰れた工房跡地を金貸し屋シルードが手に入れて事務所を作ったり、近くの人達がどこかに行くようにあえてうるさい音や近くで喧嘩騒ぎなどを起こして住民を追い出して、土地を安く買い取っている事も聞いてます」
ゴズス夫婦も、そう言ってくる。
しかし、それで国軍が買収されて全く動かなかったのはこの街かなりの無法地帯だよな。
「実際に僕がいた時も、チンピラが脅してきたり、暴力を使って脅して来たのでさんざんでした」
ライムも続いて言ってくる。
「まさか、ソーラント領の街の二つの国軍がこんなにも腐敗していて、さらにスートルではそんな暴利な金貸し屋が平気な顔で、この街を占拠しているとは思わなかったです」
ローゼもそう言い、俯いている。
まあ、それは置いておいて俺は、ある物をライムに渡す。
「そういえば、ライムに今回の報酬を渡していなかったな」
そう言って、アイテムバックからミスリルの破片を大量に出して置いて、用意しておいた木の箱の中に入れて渡す。
「あの、こんなに貰ってもいいのですか!? 僕は戦闘とかに全く役に立っていないですよ」
「だったら俺はどうなるんだ。ミスリルを採りに行った時は戦闘は出来ない+鑑定も無理で、誰にでも出来る事しかしていないからな。それよりライムの方が働いているぞ」
俺は、そう言ってライムにミスリルを渡す。
「なあダンナ、俺様にはミスリルの分で大量の飯にして欲しいんだがいいか?」
そう言った、ルージュがヨダレを垂らしかけている。
「勿論いいぞ。というよりルージュの分はちゃんと残してあるから、それをどう使うかは本人次第だと思うぞ」
「ありがとな。これで腹が膨れるまで食えるぜ」
いや、前の事を思い出し+ドラゴン娘という正体を入れたら腹が膨れる前に店の食料がなくなりそうだが……。
「なる程、ルージュも大食いなんだな」
「いや、はっきり言って大食いで済んだらいいと思う。ルージュは幼馴染+エルの量を軽く食えるから食費がヤバくなりそうだ」
俺のその発言を聞いて、ローゼとゴズス夫婦が唖然としている。
「ちなみに、僕もルージュさんが爆食いしている所を見ました。その光景ははっきり言って店が潰れるレベルで食べていました」
「あの程度で無くなるとは思ってもいなかったぜ。俺様はまだ全然食えたけどな。だがないなら仕方ないからその時は諦めたけどな」
もう一度言おう。
俺達のこれからの食費はどうすればいいんだ!? その事を考えて頭をかかえた。




