貴族の関係
俺は、通信水晶を使ってある人物に通信する。
その人物とは、ローゼことローゼリア・ソーラント本人だ。
「もしもし、主君数日ぶりですね。ちょうどよかった今ワタシも休憩に入った所です。あの、通信という事は何かあったのですか?」
通信水晶を使う前は、余裕な表情をしていた男爵令嬢様だったけど、俺が通信した相手を見て突如、顔色を変えて焦り出す。
そして俺は、今の状況を伝える
「まあな、まずはソル達とは街についてから別れたのと、新しく護衛がいる事だな」
「なる程、後ろにいる赤髪で長身の女性の方ですね。少し挨拶をしてもよろしいでしょうか?」
そう聞かれたので
「敬語とか使えないが大丈夫か」
と聞くと、許可を貰えたので通信水晶を渡す事にする。
「こんにちは、ワタシの名前はローゼリア・ソーラントです。主君ことハルヤ様に助けていただいたいた者です。よろしくお願いします」
「俺様はルージュ、そちらさんと同じく、ダンナに助けられた者だ。こちらこそよろしくな」
うん、意外と気が合いそうだな。
その後、少しルージュと話して俺に通信水晶を渡して来たので、俺は目の前にある問題の事を話す。
「すまないがローゼ、少し問題が起きたから相談してもいいか?」
「相談ですか? いいですよ、ワタシが出来ることでしたら言ってください」
俺は、許可も貰えたので相談してみる事にした。
「実は貴族様と商談になって、その話し合いで大切なことがないかを聞きたいと思って、通信したのだけど大丈夫か?」
「なる程、そうでしたか。それでしたら敬語を使いつつ、こちらの要求も言っていくのがいいと思います」
ローゼがそう言うと、話を聞いていた男爵令嬢様がいきなり映り込んできた後、ローゼと顔を合わせたが余裕な表情は崩さなかった。
そして
「ローゼリア様の偽物でも、なんでこんな薄汚い使用人に敬語なんて使って「今なんて言った。」えっ……薄汚い使用人ですわ、」
俺は、何故か通信水晶から凄い威圧感を感じる。
「貴女はバートズ家の三女か、今からワタシはスートルに行きます。なので、スートルの街から出ないでくださいね」
うん、完璧に怒っておられますね。後、瞬時に誰か分かったよな。
そして、なんか権力を使う感じで嫌だったが、相談しただけだからセーフだと思い、今回はスルーする事にする。
「主君、今からワタシはここは部下に任せてそちらに向かいます。明日には到着できそうなので待っていて貰ってもいいですか?」
勿論いいと答えて、明日は商業ギルドで待っていると答えておく。
そして、通信が切れて男爵令嬢様の顔はすごい事になっていて、外で待っているオッサンと女性ギルド職員を呼んで明日に客人がくるとだけ伝えておいて、俺とルージュは外に出る。
次の日、商業ギルドに到着して少し待っていると、こちらに馬が走ってきてローゼとお付きの騎士が六人が降りてきた。
「おはようございます。主君、通信でも言いましたが数日ぶりですね。横にいる方がルージュさんですね。改めてまして、ワタシの名前はローゼリア・ソーラントです。他の方や主君からはローゼと呼ばれています」
「おう、よろしくな。改めて俺様の名前はルージュだ。これからずっとダンナの護衛をする事になった」
そう言って二人は熱い握手をする。
そして、問題の男爵令嬢様は来ていないので、とりあえず商業ギルドの中に入り待つ事にする。
中に入ると、ギルド職員とギルドに来ていた人達が、驚愕してこちらを見てくるので、やっぱりこうなるかと思う。
「すまないが少しいいですか? 昨日ここに来ているはずのバートズ家の三女はまだ来ていないのですが、どこにいるか知っていますか?」
受付の人が、その事を聞かれてパニックになっているので、俺はとりあえず助け舟を出そうとした時、男爵令嬢様が入ってきた。
「ここまでローゼリア様が来るわけないわよね。あの薄汚い使用人の偽物ですわ。それを理由にただ働きさせようかしら」
うん、こいつ終わったな。目の前に本人がいるのに、下をむいているから気付いてないな。(ちなみ、に従者の方々はしっかり気づいているが、本人が無視をしている)
そして、男爵令嬢様が顔を上げると、般若のような顔をしたローゼを確認したみたいだ。
だが俺の方を見てきて
「何、偽物のローゼリア様を用意したのかしら。バカもここまで言ったら笑えないわよ。さっさとどっか行って使用人もどきは、わたくしの言う事を聞きなさい」
その事を聞いて俺は、本物のローゼの前でそれを言うのかと思う。
そして、これ以上はとんでもない事になると思うので、避難するためにルージュを連れて離れる。
ローゼは、懐からソーラント辺境伯の証拠である証を取り出し、それを男爵令嬢様に見せる。
「まさか、本人ですか?」
そうだよ。俺達は多分殆どの人たちが、そう突っ込みたいと思っている筈だ。
「そろそろ、大丈夫でしょうか? それと、さっきから好き勝手言ってくれましたね。ここの部屋の一つを借りようと思いますが、逃げないでくださいね」
凄い低い声でローゼはそう話す。
その後、男爵令嬢はローゼが借りた部屋に連れて行かれた後、どうかなったかは聞かない事にしてくれ。
そして、二人が話し合い? をしている間、俺とルージュはマイペースに、ロビーのイスに座りながらゆっくり雑談を始める。
「なあダンナ、明らかに俺様達も権力使ってないか?」
うん、それは思ったよ。
でも今回は相談だから、ギリギリセーフだと思いたい。
「いや、俺は今回は相談で通信しただけで、男爵令嬢が問題を起こさなかったら、ローゼが来ることも無く話だけで終わっていたと思うぞ」
そう話していると、かなりの時間が経ち、そろそろ昼ごはんを食べに行こうと思った時、ローゼと真っ青な顔をした男爵令嬢様が部屋から出て来る。
「主君、とりあえず処分はソーラント辺境伯領に帰ってから相談する事になった」
うん、俺は普通の相談をしたかったのに、結果的にこうなるとは。
そして、男爵令嬢様は連れて行かれて、俺達が残った。
「そういえば、スートルにこんな早く来れたのは、ミスリルの事で調査もあったのである意味よかったタイミングです」
「いや、それより男爵令嬢様はどうなるんだ?」
俺は不思議がったので聞いてみる事にした。
「それはワタシでもどうなるかわかりませんね。ただ無罪で終わる確率は相当に低いですが」
なる程、そうなのか。
そう考えていると
「ダンナ、そのミスリルという鉱石取りに行こうぜ。俺様も体が鈍るのはごめんだからな」
もはや雑貨屋の仕事ではないと思うが、護衛してくれるなら別にいいかと思ってしまう。
だが、それならレイナ達と別行動しなかったら良かったなとも思う。
「それならワタシと騎士二人も参加させて貰ってもいいですか? 特に口の硬い騎士なので主君達の秘密は広がらないようにしますので」
確かに、今回はローゼには借りがあるからそれを返すのもいいかもしれないな。
「わかった。けど俺は後衛メインだから前衛は頼むな」
「了解です。それなら昼ごはんを食べた後泊まり込みで鉱山に向かいましょう。食料と馬車は用意してありますので」
仕事が早いな。
「昼飯か、俺様も腹が減ったから大量に食べたいと思っていた所だぜ」
「それなら、そろそろ移動しないか? 商業ギルドのロビーでこのまま話すと面倒になりそうだからな」
そして、またその予感が当たる。
「あの、すみません。これから鉱山に向かわれる方ですか?」
そう声をかけて来たのは、十歳くらいの中性的な子供だ。
「確かに、ワタシ達は鉱山に向かうつもりですが、それがどうかしましたか?」
ローゼのがそう聞くと
「実は僕の家の工房が、借金で潰れそうなので、それで鉱山に行かれる人達に相談したくて、騎士様方に勇気を出して声をかけさせていただきました」
なる程、今度はこうなるのか……。
俺はそう考えまた何かに巻き込まれたと思ってしまった。
来週から休みの日も夕方一回投稿になります。




