ドラゴンになれる美女
さて、皆様はいきなりドラゴンになれる美人に
「自分の契約者+主になってくれ」
と言われた場合、どうするのだろうか?
はい、喜んで。という人もいれば、逆に恐れ多いです。という方もいるかもしれない。
ちなみに一応俺の答えは決まっている。
それは、もちろん答えは『いいえ』だ。
理由は、明らかに面倒な事になりそうなのに『はいよろしくお願いします』と言えるか!?
そう考えて、俺はドラゴンの美人にそう伝える事にした。
「悪いがことわ「いただきます」えっ……。」
そう言ってルージュは、俺の唇を奪いキスをしてきた。
俺はどうにか引き離そうとするが、相手はドラゴンなので到底力では勝てず、さらに唇から舌を入れてきてディープキスをされたため、完璧に頭が動かなくなってしまう。
そして、長かったキスが終わりルージュはそのまま俺を押し倒してきた。
「ダンナ、美味しかったぜ、ごちそうさま。そして、契約は結ばれた。本当は手を握ってする物らしいが俺様の好みのタイプだったから、美味しくいただいてしまったぜ。とりあえず左手を見てみな。竜の紋章が浮かんでいるだろ」
ふと、左手を見てみると、赤い紋章が浮かんでいた。
「それが俺様との繋がりだ。もし左手がぶった斬られても紋章は浮くから大丈夫だからな。あとは寿命も俺様と同じくらい生きられる事になって殆ど歳は取らなくなったぞ。最後にリンクしているからダンナか俺様が死んだらもう片方も死ぬからそこは覚えておいてくれよ」
うん、いやいやいきなり出会って助けたまではよかったけど、何故こうなるんだ……。
俺は固まっていた思考を何とか再起動して、その事を考えていた。
「本当はダンナをもっと美味しくいただきたいが、雰囲気もあるしここで終わっておくな。後、俺様も一緒にいてもいいか? といっても繋がりがあるから無理矢理でもついていくけどな」
何故、俺の周りは人の話を聞かない奴が多いのだろうか?
だが、よくよく+に考えるとドラゴンの背中に乗って移動すれば、凄く早く目的地につけるんじゃないか?
まあ、この肉食ドラゴンをどう扱えばいいかわからないが……。
そして、俺はある事に気づく
『コイツただのドラゴンではないなと』
その事を、何とか喋れるようになったので聞いてみる。
「一つ聞きたいのだが。お前は普通のドラゴンではないよな。恐らくもっと上位種だよな」
そう聞くと、ルージュは俺に抱きついたまま驚いている。
「何故、俺様が普通のドラゴンではないと思った?」
「それは、契約した時の勘としかいえないが、そう感じたから聞いてみただけだ」
俺は、ルージュを真正面から見ながら口を開く。
「なる程、その勘は当たりだぜ。確かに俺様はドラゴンの上位種の皇帝級の竜だぜ。」
うん、ランクを聞いたら思っていたよりもかなりどころではない程にヤバイ相手だった。
(竜のランクは低級、中級、上級、特級、王級、皇帝級、そして一番上の伝説級に分かれていると説明された)
そして思う。何故皇帝級のドラゴンがこんな辺境の中の辺境にいるのだと。
「何故こんな所にルージュ、お前がボロボロでいたんだ?」
俺は気になったので聞いてみる。
「それはな、親父と喧嘩してボコボコにされて、住んでいる所から無理矢理追い出されたからな。それで、強くなるために旅を始めたのだが、ボロボロでさらに腹が減って動けなくなった所を契約者+主のダンナが見つけてくれたから助かったからだぜ」
俺はその事を聞いて『コイツバカなのか』と素直に思ってしまう。
確かに百歩譲って、旅に出て強くなりたいのは納得出来るが、準備も何もせず、さらにはボロボロのまま出てくるのは、流石に理解が追いつかない。
そう考えていると、エルが気絶から復活する。
「うん、さっきドラゴンが見えたような気がするけど見間違いだよね。というか、何でルージュさんがハルヤ君を押し倒しているの?」
エル、さっきのは現実だぞ。
それに、コイツは本物のドラゴンだぞ。(しかもかなり上位種)
「何故、俺様がダンナを押し倒しているのかを聞いているんだな。それはこうしたかっただけだ。」
おい、それなら早くどいてくれと思ったが、また唇を奪われて熱いキスをされる。
それを見たエルは固まっていた。(ちなみに俺は色々諦めています)
「やっぱ、美味いな。何回でもいただきたいぜ」
ルージュは、俺の目を見ながらそう話す。
そして、ふと空をみると日が落ちそうになっているので、そろそろレイナ達がいる所に帰りたいと思ったため、何とか交渉してみる.
「ルージュ、悪いがそろそろ他の仲間がいる所に帰りたいのだがいいか? それと、俺の上からどいて欲しいのだが……」
そういうと、素直にどいてくれる。
そして、竜の姿に変身して俺とエルを背中に乗せる。
「何でいきなり竜の姿に変身するんだよ。出来ればこのまま歩いて帰りたいのだが」
「それは、まず俺様がダンナの仲間に舐められない事だな。人の姿ではパンチ力が弱いからな」
いや、人の姿でもかなりの威圧感はありましたが……。
そう考えていると、続きを話し出す。
「それに竜の姿の方が、ダンナとおまけ(エル)を乗せられて、ダンナの仲間の元に早く行けるからいいと思ったんだがな」
おまけと言われたエルは、ドラゴンの姿のルージュを見て今度は気絶はしなかったが、固まっている。
「うん、もう何言っても無理なような気がして来たな。あと、アイツらにどう説明すればいいんだ……」
その後、特に否定出来ずドラゴン状態のルージュの背中に乗って、レイナ達がいる所に帰った。
そして案の定、運転手さんは気絶して倒れて、レイナとソルは腰を抜かして半泣きだった。
俺とエルがルージュ(ドラゴン形態)から降りてくると、ぐちゃぐちゃな顔で抱きついてきたので受け止める。
(逆の立場なら俺はほぼ確実に気絶していたと思う)
その後、何とか説明して理解してもらいました。(ルージュが人間形態に戻って)
ただ、流石にこの事は想定外すぎるので、とりあえず問題は先送りにして、暗くなって来たので夜ご飯を作る事にした。(運転手さんは馬車の中に毛布引いて寝かしています)
そして、本当は一泊二日の旅で少し多めの一週間分の食料(レイナ達は大食いだからさらに多めに用意した分)が半分以上無くなった。
そして、洗い物が終わりシートを引いてゆっくりしていると、ソルが声をかけてきた。
「まさか、ハルヤはドラゴンを従えてくる何てびっくりしたわよ。最初見た時これがわたしの最後と思ったわ」
「いや、それは俺も似たような事が起きたから気持ちはわかるぞ」
まあ、普通そうなるよな。
ちなみに、レイナとルージュは半分寝かかっていて、エルは武器の手入れをしている。
「そういえば話は変わるが、こっちは大丈夫だったのか?」
俺は、ソルに聞いてみた。
「別にこっちは平和だったわよ。魔物も襲ってこなかったし野党野盗もいなかったわ」
それは良かった。襲われていたら大変な事になっていたからな。
俺はホッとしていると、ルージュが突然起き上がって、俺の膝に頭を置いて膝枕状態になった。
「ルージュ、いきなり来て何故俺の膝に頭を乗せているんだ?」
俺はそう聞いてみる。
「いいじゃないか別に減るもんじゃないし。それよりも、契約した事で他にも能力が使える事になったのを説明していなかったな」
それ、めっちゃ大切なことでは……。
「続きを話すぞ。ダンナは俺様と契約した事により新たな魔法が使えるようになったぞ。それは竜魔法だ。」
「何だそれ、聞いたこともないぞ」
ソルに聞いてみてもわからないと言われたのでルージュの話の続きを聞いてみる。
「竜魔法はドラゴンと契約した人間のみが使える超強力な魔法だ。とりあえず、俺様が説明するよりも実際に使ってみた方がいいと思うぜ」
そう言ってルージュは立ち上がって、俺も同じく立ち上がって、近くの岩の前に行く。
「竜魔法は契約したドラゴンの属性による。俺様の属性は炎だから赤竜魔法になるな。森の近くだと火事が起きる可能性が高いから、なるべく離れたあの岩を狙ってくれ」
後、ダンナの魔力量はとんでもなく増えているとも言われた。
これ以上、魔力量が増えたらとんでもない事になるのではと思いつつ、大きな岩を狙って魔法を使ってみる事にした。(後、雑貨屋の店員で商人からかけ離れている事をやっているとは言わないでください。お願いします)




