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ゴブリン迎撃戦

 俺はある事を思う。


 それは、大群に少数で突撃するのは、バカか英雄ではないかと……。


 その事を、ローゼに伝えなんとか考え直してもらうように説得したのは作戦が始まる前だ。

 

 そして、結果は突撃するにはするが、まずはゴブリンキングを狙わずにこちらに近づいてくるゴブリンを倒すという事になった。


 俺は、よくよく考えたらローゼは、まだ人の話を聞いてくれる奴だなと思い出す。(ただし、意見を変えない時もある)


 なので、俺達は近づいてくるゴブリンの迎撃を続ける。


 まず、ソルがゴブリンの攻撃を盾で防ぎ、堅実に一体ずつ討伐している。


 次にレイナは、少し前に切り込み多少のダメージを無視して攻撃メインでぶった切っている。


「やっぱり、ゴブリンは個別ではあまり強くないが数が多いな」

 

 いやいや、レイナは何で切り込んでいるんだよ。


 もちろん、その事にソルが突っ込む。


「レイナ下がりなさい。わたし達は、今回も同じくハルヤの護衛なんだからわかっているのかしら?」

 

 ソルはゴブリンを倒しながらそう喋る。


 そして、エルは強化魔法を発動し剣を振り、近くのゴブリンを倒したり、高速移動して攻撃をかわしながら反撃をしている。


「凄いな、前にレイナと戦っていた時とは段違いの強さだな」

 

 そう考えていると怪我人が出たので回復魔法、二段階セカンドヒールを飛ばす。


「ありがとう、助かった」


 その言葉を聞いて、何故雑貨屋店員の俺が戦場にいるんだろうと考える。


 そして、俺はある事を考えているので、この戦いが終わった時に実行するために、今は生き残ろうと思う。


 ゴブリンと戦い初めてかなりの時間が過ぎて、指揮をとっているローゼは何かに気づく。


「何故、ゴブリンジェネラルを一体倒したのに、普通のゴブリン達は引かないのですか」

 

 近くで聞いていた俺も、その事が気になっていたが、ローゼが続きを話す。


「普通指揮する個体が倒されたら逃げるのが当たり前だと思いますが? それに、実際ここ以外のゴブリンの大量発生の事件の事は、何件かあったのは知っているので、その時は基本逃げていたと記録されていましたよ」


「もしかして、指揮官がやられて混乱しているだけでは無いのですか?」

 

 ローゼの側近の騎士がそう言う。


「それか、今回のゴブリンキングは、もしかすると変異体の可能性とか無いか?」

 

 俺がローゼにそう聞いてみる。


 すると


「そういえば、ゴブリンキングの変異体のゴブリンロード(Sランク)が現れて、ここより大きな街が壊滅したという記録がありました」


 うん、今回周りを見ている限りその可能性が高くないか……。


「なんか、凄い嫌な予感がするんだが、気のせいか」


「同感です主君。ワタシも凄い嫌な予感がして来ました」

 

 だよね、このパターンはそうだよね。


 少しして、その予感が現実のものになる。

 

 突如ゴブリンの最後尾から、王冠とマントをつけて、ゴブリンジェネラルよりも断然固そうな鎧を装備して、手には剣と盾で武装しているゴブリンが大声で叫ぶ。


 それを見て、とりあえずゴブリンロードらしい魔物の前には、大量のゴブリンがいるのでローゼ達は数を減らそうとしたが、統率がとれて来て連携がされているので、倒すのがさらに厄介になってしまう。


 俺は、アイテムポーチの中から今度は火属性のファイアボールの魔結晶を出し魔力を込めて火の玉を召喚し、届かないとわかっていて投げてみた。


 結果は予想通り、盾を持ったゴブリンに当たり爆発して、近くの敵も倒したがそこまで数は減らなかった。


 さて、どうしようか悩んでいると、ゴブリンの死体を乗り越えて、他の上位種のゴブリンがこちらに突撃を始めて来る。


 そして、俺の回復魔法が追いつかず、ゴブリンの攻撃によって死人が少しずつ増えてきた。


 すまない、俺にもっと上手く回復魔法を飛ばせたらな。


 そう考え拳を握りしめる。


 そして、ローゼにある事を言う。


「ローゼ、流石にこの数に攻撃されていると、俺の回復魔法が追いつかないのだが。引いた方が良くないか?」


「出来れば、ワタシもそうしたいですが、引いたら街の中にゴブリンが入りますよ。それに、防衛戦ではなくて討伐戦がしたかったのですが、完全にワタシの計算違いです、すみません」


 ローゼは、槍でゴブリンを突き刺しながら謝って来る。


「そんな事、喋っているより、今は一体でも多くのゴブリンを倒すのが先じゃないのか?」


 俺はそう言いつつ、なんとか死人が出ないように回復魔法を怪我をした人に飛ばす。


 そして、近くにいるソルがゴブリンを倒しつつ何かを言ってくる。


「何かしら手がないと、このままズルズルこちらが倒されて負けるわよ」


「そうだね。今の戦力では相当キツイし、ハルヤ君も連続の回復魔法と魔結晶の使用でだいぶ消耗しているし、ボクも魔力も少なくなってきたからね。後、他の騎士や冒険者達も倒されているから、このままじゃソルが言った通り負ける」


 うん、とりあえずかなりヤバイ事が分かるな。

 

 そう思って、俺は何か無いかと考えていると、エルが近づいてきて、前に使った魔結晶よりも一回り大きい物を渡してきた。


「本当は、これは使いたくなかったけど仕方がないね。この魔結晶には普通に使ってもかなり強い魔法(最低でも四段階レベル)の魔法の威力を持つ魔法、〈ウインド・シュレッダー〉が入っている。ハルヤ君の魔力なら起動どころか、もっと強い魔法になると思うから使ってくれ」


 いや、なんでそんなもの持っているんだよ。


 後、それを売れば路銀も数十年は軽く持つレベルのものだぞ。本当エルの正体は何者だろうか?

(少なくともローゼの反応からして貴族か王族の可能性が高いと俺は思っている)


 それはさておき。


 俺は、エルから渡された魔結晶〈ウインドシュレッダー〉の魔石に魔力を込めてみることにした。


 その状況を見たローゼは

 

「皆の者これから切り札を使います。出来る限りゴブリンから離れてください」

 

 えっ、まさかこれがそうなのか……。

 

 なんか、凄い重大な事を任されているような気がするのだが。


 そう考えていると、ボロボロでポーションを飲んでいるレイナが声をかけて来る。


「ハルヤ、とりあえずお前に近づくゴブリンは私達が何とか食い止める。だから魔力を込めて思いっきり、あのデカブツにぶつけてやれ」


「あのさレイナ。ここからあのゴブリンロードまでどれだけ距離があると思っているんだ!  この距離で魔法をあそこまで飛ばすのは相当キツイぞ」


「そうですね。出来れば周りのゴブリンにぶつけて一旦体勢を立て直す時間が欲しいです」


 とローゼが言って来たので、俺は魔力を込めながら頷く。


「いや、ハルヤ君の魔力なら届くと思うよ。それに届かなくてもまだこのレベルの魔結晶は何個か持っているから一発だけゴブリンロードに撃ってもらってもいいかな?」

 

 エルが、近づいてくるゴブリンを倒しつつ、そう喋る。


「全く、みんな無茶苦茶な事を言って来ますね。主君が嘆く気持ちがよくわかりますよ」


 ローゼ、その話はお酒を飲みながら大量に愚痴らせてくれ。

(ちなみに、この国ではお酒は十六歳から飲めます)


 そう思いながら、俺は全力で魔力を込めていると、魔結晶が緑ぽく光り出したので、俺はヤケクソでゴブリンロードに向かって投げる。


 そして、投げた魔結晶が割れて、そこから大量の風の刃がゴブリン達に向かって飛んで行く。


 それを見たソルは


「これは凄くないかしら。ゴブリンの大群がみるみる減っていくわね」


 続いてエルが


「ハルヤ君の魔力は凄いと思ってたけど、まさかこの威力を出せるなんてね」


 と言いレイナは


「ハルヤは、やっぱり凄いな」


 と言ってテンションが上がっていた。


 最後にローゼが


「こんな威力の魔法、王都にある学園の生徒、いえ教師でさえ殆ど出来る人はいないですよ。流石主君ですね、魔結晶を使ってここまでの事が出来るなんて」


 いや、俺が一番驚いているわ。


 それから少しして、風の刃が収まると大量のゴブリンの死体が転がっていた。


 ゴブリンロードはジェネラルを盾にして、なんとか直撃を避けていたがボロボロになっていた。


「今です。皆さんワタシに続いてください」


 ローゼがそう言って、ゴブリンロードに近づいてトドメを刺して


 「この戦い我らの勝利だ!!」


 と言って、ゴブリンとの戦いが終わった。


 そして、俺達はへたり込み勝利を分かち合った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あ、こりゃ攻撃魔法使いに推薦されてしまって、専門の魔法学校を紹介されてもおかしくない状況ですよ、でも女性陣が止めちゃうか。
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