アイリス視点2
少し時間が戻り、ハルヤとフラウも分かれたアイリス達の姿は冒険者ギルドにあった。
「はい、これでダンジョンに関する手続きは終わりました」
「ありがとうね! これで僕達も普通に入れるね」
「Sランク冒険者で拒否られる事は普通はないと思いますよ」
ハルヤの奥様であるルーミア様はSランク冒険者なので、普通に入れるよな。
アタシはこの人達の理不尽差に笑うしかない。
「さてと、僕達の用事は終わったし行くよ」
「行くって何処にですか?」
「そんなのハルヤの元に決まっているよね」
「ダンジョンではないんだな」
「情報がないのに突っ込むのは愚策だから合流が先だよ」
言っている事はわかるのでアタシ達は頷き、冒険者ギルドを出ようとした時に他の冒険者に声をかけられる。
「まさかSランク冒険者が来てくれるとはな」
「これでおれ達も上がれるな」
馴れ馴れしく声をかけてくる冒険者にルーミア様の目つきが鋭くなった。
「は? なんで君達が関係しているの?」
「おれ達は貴女を勧誘したいんだよ」
「そんな奴らよりもオレ達と組もうぜ!」
あ、ルーミア様から凄い威圧感がする……。アタシは他の奴隷達と避難する。
「悪いけど、君達を組む気はないよ」
ルーミア様は自分の魔力を解放して周りを威圧し始めた。
「が、な、なんだ」
「う、動けない」
絡んできた冒険者はともかく、周りの冒険者やアタシ達まで地面に這いつくばった。
「僕の力を見てすり寄ってくるクズ達が」
かなりマズイ状況なのは分かっているが、アタシ達も全く動けない。
「な、なんだこの威圧感は!?」
野太い男性の声が聞こえたが、顔を向ける余裕すらない。
「貴方がここの責任者?」
「は、はい……」
「ギルドマスター!?」
ギルド職員の声が聞こえて、マスターも倒れたみたいだ。
「君達に発言権はない」
ヤバイヤバイ!? この状況はどうすればいいんだと思っていると、ある人物が冒険者ギルドに入って来た。
「うん、なんだこの状況は?」
「なんか凄い事になっておるのじゃ」
その人物はアタシ達の主達だった。
「あ! ハルヤ!!」
「ルーミア、大丈夫か?」
「もちろんだよ! それよりも商業ギルドはどうだったの?」
「厄介な事には巻き込まれたけど、何とかなったぞ」
「それはよかったよ」
いやいや!? ルーミア様の威圧の効果範囲の中に普通に入れるハルヤは何者なの!
アタシはもう頭の中がぐちゃぐちゃになった。
「僕達もやる事は終わったから奴隷達を連れて離れよう」
「だな。倒れている人が多いし、俺達は見なかった事にしよう」
「うん!」
ルーミア様は威圧を解いた事でアタシは動けるようになった。
「これはヤバイ……」
「ルーミア様には絶対逆らわないようにしましょう!」
「ですね」
ウェル達の言葉にアタシも半泣きになって頷くしかなかった。