回復ポーション?
雑音に包まれている商業ギルドだが、ハルヤは無視して受付に声をかけた。
「あのすみません。少し大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫ですよ」
手の空いている受付の人に声をかけ、返答が返って来たので本人は口を開く。
「旅の商人のハルヤと言います。この街で商売をしたいと思って商業ギルドに来ました」
「それなら、商品とどう言った形で商売をするかお聞きしても大丈夫ですか?」
「はい、商品はポーションで形の方は露天をやろうと思ってます」
「ぽ、ポーション!? す、すみません!」
ハルヤがリュックから取り出したポーションを見た受付の人は、テーブルから乗り出していた。
「あの一本鑑定回しても大丈夫ですか?」
「いいですよ」
盛り上がっている受付の人に若干引きながらハルヤは答える。
「家主、さっきポーションの事に揉めていた人達に品物を出すとマズく感じるのじゃ」
「そこは何とかなると思うぞ」
「……家主は何を考えているのじゃ?」
「まぁ、後で話すよ」
ハルヤは笑顔になりながらフラウと話していると、受付の人が奥に行ったので整理券を貰って離れる。
受付から離れて椅子に座ったハルヤは説明を始める。
「商品が必要とされる事を需要、商品が作られるのが供給、この二つがバランスが崩れている今なら高額で売れるんだよ」
「それは知っているのじゃ! 妾が問題としているのはさっきの女性が家主のポーションを買い占める事になるのじゃ」
「そこは個数制限をつけるから大丈夫だろ」
「家主……考えが甘いのじゃ。奴らは上位クランで力で来られたら終わるのじゃよ」
「その場合はいつもの事をすればいいだけだ」
ハルヤは隣の椅子に置いてあるリュックを見る。
「それにこのリュックには大量のポーションがある。それで、品切れになる事は少ないだろ」
「あ、その事を忘れていたのじゃ!」
学園で大量に作ったポーションを思い出したフラウは、驚いた顔になった。
「後は上位クランが大量買いするなら宣伝にもなる」
「確かに効果の説明が出来るからのう」
フラウはこの時、ハルヤの抜けているところに気づかず話を進めてしまった。
そして、この後に起きる問題は2人の予想を遥かに超えているものをになった。
「ただ、なんか嫌な予感がするのは気のせいか?」
「今回こそ大丈夫と思うのじゃ!」
「それなら大丈夫か」
2人は笑いながら受付の人に呼ばれるまで普段通りの会話を続けていた。