理不尽な人
ハルヤとフラウはルーミア達も一旦別れた後、商業ギルドに向かっていた。
「アイツら、俺が雑貨屋の店員と言ったらかなり驚いていたな」
「それはそうじゃろう……。家主の能力を考えて普通は思いつかないのじゃ」
「その事は否定しないが、なんか難しいな」
「じゃな。ただ、妾達は訳ありだから仕方ないのもあるのじゃ」
「仕方ない、では済ましたくないけどな」
ハルヤはため息を吐きながら歩いていると、商業ギルドと書かれた看板がある大きな建物を見つけた。
「ここが商業ギルドじゃな」
「だな。建物的に分かりやすいな」
2人が中に入ると建物内はそこそこ人が集まっており、少し離れた場所ではギルド職員が何かを叫んでいた。
「誰か、大量のポーション各種を持っておれる方はいませんか!」
ギルド職員が慌てながら周りに質問しているが、周りの商人達は無視して視線を逸らしていた。
その中でハルヤとフラウは近くにいた商人達の会話を聞く。
「上位クランからの大量発注かよ。オレ達も他の街でポーションを仕入れておくべきだったな」
「いやいや、相手は灼熱の槍だぞ……」
「確かに、目をつけられると厄介ね」
商人達よ会話によると、上位クランの灼熱の槍がポーションを大量に欲しがっている事がわかったハルヤは、この会話を聞いて俯いた。
「なあフラウ……俺はなんで毎回こうなるんだ?」
「それは家主が災難な星のしたに生まれたからじゃな」
「その事は言わないでくれ。ただ、まだ「ポーションはまだかしら!!」……」
ハルヤ達は入り口から少し離れた場所で待機していたので、強引に入って来た人物の視線には運良く入らなかったが、叫んでいるクリムゾンレットの女性が受付を睨みつけた。
「あの、ポーションはまだかしら?」
「はい……申し訳ありません」
受付の人は謝っているが、女性の方は納得がいってないみたいで眼光が更に強くなった。
「あのさ、あたし達は最下層に挑戦するのに貴方達はその大切さが分かってないのかしら?」
「それならもっと早く依頼してくださいよ……」
呆れている受付の人の言葉に本人は机を殴った。
「あら? それで納得すると思ったのかしか?」
「納得してもらわないとコチラも強硬手段を取りますよ!」
受付の人は周りの警備員を呼び寄せ、女性をつまみ出そうとした。
「ぐっ、今回は離れるわ! 貴方、覚えておきなさい!!」
「いえ、直ぐに忘れます」
警備員人達に追い出されていく女性の視線がハルヤ達の方を向いた。
「うん? 気のせいよね……」
チラッと見た女性の視線を受けたハルヤは視線を逸らし、本人は頭に疑問符を浮かべていた。
そして、女性が出て行って商業ギルドの中は雑音に包まれた。