金銭感覚の狂い
次の日、ハルヤ達の姿は大型の武具屋の中にあった。
「ここで好きな装備を選んでくれるか?」
「え? いやいや!?」
「あの、ご主人様……ここは高級や素材が使われている武器屋ですよ!」
「私達は完璧な場違いですよ!」
アイリス、コーン、リズナの順で驚いていたがウェルだけは冷静に武器を見ていた。
「主人、オレはこの武器がしっくりくるが大丈夫か?」
「ふむふむ、100万フロン……まぁ、余裕だな」
「おぉ、助かる!」
しれっと選んでいるウェルに残りの3人は良いのか?と考え始める。
「唖然としている理由はわかるけど、ハルヤは君達に安物の武器を持たせて死んで欲しく無いんだよ」
「あの、自分で言うのは問題かもしれないですが奴隷なんて変えが利くと思いますよ」
「その言葉も否定はしないのじゃが、家主は巻き込まれる事前提で考えておるから大丈夫じゃ!」
「お二人もそう言うなら……」
「あぁ、アタシも選ばして貰う」
アイリス達は頭に疑問符を浮かべながら自分に合った武器を選んでいく。
ウェルは大剣、アイリスは剣と盾、コーンは高そうな宝石が取り付けられている長杖、リズナは弓を手に取った。
「なる程、かなりバランスの良いチームだね」
「まぁ、その辺はある程度確認したからな」
合計650万フロンを払い、武器を購入した後は防具屋でも同じくらいの金額を飛ばした。
「学園で荒稼ぎしていて良かったのう」
「だな」
財布の中は結構軽くなったので、どうするかと悩みながら歩く。
「前と同じく回復魔法とポーションで稼ぐのが良さそうじゃな」
「その手が実用的だな」
ハルヤのアイテムバックの中には大量のポーション類が入っているので、この分を売る事が出来たら大金にはなる。
ただ、その事をするとまた忙しくなる事は明白なので違う手を考え始める。
「あのさ、奴隷達に装備を買わせたんだから実戦をさせるのはどうかい?」
「実戦……ダンジョンに入るのか?」
「……君はこの街に来てダンジョンに入らない選択肢はあったのかい?」
「その前にお主が勝手に連れて来たじゃろ!」
学園の関係者から逃げる為とは言え、ダンジョン都市に連れてこられた事に若干後悔しているハルヤ。
ただ、奴隷達の装備装着が終わるまでは近くで待たないといけないので、このまま会話を続ける。
「ハァ、このままだと裏方じゃなくてまた目立ちそうだな」
「君は本当にしんどい目に遭う事が多いね」
「まぁな……って、お前も巻き込んだだろ!」
「あ、そうだったね」
何でこんな事になるんだと思いながらハルヤはフラウとルーミアを見る。
「まぁ、このまま進むのも悪くはなさそうだな」
「じゃな」
フラウが頷いた時にアイリス達の装備装着が終わったのでハルヤ達は動き始める。
ただ、この時は形を変えて毎度の如く起こる厄介事を考えてなかった。