金髪の少女
金髪少女の片目は潰れており、体には鞭の跡が至る所についていた。
「お前が新しい主人か?」
「貴様、お客様に向かってなんて口の書き方だ!」
「ハン。鞭打ちなら既に慣れているから関係ないだろ」
「ほう……それならもっと酷い拷問に合わせてやる」
「あの、貴方も俺の事を忘れてますよ」
「あ、これはすみません」
ビークがハルヤに向かって頭を下げるが納得してない様子だった。
「アタシからそこの優男に話す事はない」
「確かにお前からはそうかもしれないが、俺はそう思ってないぞ」
「それはアタシが没落した貴族出身で売られた事を知ってもか?」
「それなら俺も学園をクビになったぞ」
「……お前も何かあったのか」
金髪の女性は呆れた表情でハルヤを見ていた。
「無かったら出て行って無いだろ。それよりもお前はこのまま牢屋の中にいるのか?」
「それは……アタシだって出たいけど、どうにもならないだろ!」
「まぁ、お前だけなら無理だな。ただ、俺がお前を買ったら?」
「!? アタシを買う気か!」
「あぁ、今の言葉でお前を買う事に決めたよ」
「お前はバカなのか?」
「さあな? ビークさん、この奴隷を買わせていただきますね」
「え、本当にいいのですか?」
「もちろんです」
唖然としているビークさんに金髪の女性を買う事を伝える。
「そういえば、お前の名前はなんだ?」
「……貴族の苗字がないからアタシの名前はただのアイリスだ」
「そうか、俺の名前はハルヤだ。これからよろしく頼む」
ハルヤはニコッと笑って金髪の少女、アイリスをしっかり見る。
その後、元冒険者で人族のウェル、エルフの女性であるリズナ、魔族の少年のコーンを選んだハルヤはルーミア達の元に戻る。
「大体選び終わったぞ」
「ハルヤの事だから全員を女性で固めると思ったが予想がハズレたね」
「妾もルーミアと同じ事を思ったのじゃ」
「……お前ら、俺の事をなんて思っているんだ?」
「「天然の女垂らし!!」」
「コイツら酷いな……」
更に今までの事があって否定出来ないので頷くしかないハルヤは話を変える。
「一応今回の合計、二百万フロンを先に払ったぞ」
「露骨に話を変えたね。まぁ、僕も確認したしそれで大丈夫だと思うよ」
ルーミアが頷いた時にビークが奴隷を連れてやって来た。
「ハルヤ様、購入していただいた奴隷達を連れて来ました」
「はい、ありがとうございます」
ハルヤ達は奴隷契約の事を聞いた後に4人との契約を結んだ。
奴隷商から出て、ハルヤ達が向かった場所は古着屋だった。
「さてと、お前達の主人になったハルヤだ。とりあえず、話をする前にここで自分の服を買ってくれるか?」
「え……オレ達に自由に服を買い与えるのですか?」
「そんなの当たり前だろ? お前達が今着ているボロ柄よりは全然いいと思うぞ」
「そうじゃなくて、ご主人様がぼく達の為に服を買ってくれるのに驚いているのですよ」
今度はコーンが発言して奴隷達はその言葉に全員頷いていた。
「なる程ね。でも、僕達は他の人達とは違う使い方をするから無視しても大丈夫だよ」
「その前に家主には常識がないから気にしなくでいいのじゃ」
「常識がないってお前らもだろ」
「確かに否定はしないよ」
奴隷が唖然としていたが古着屋の前に立っている事を思い出したハルヤは改めて口を開く。
「とりあえず、好きな服を持ってきてくれ」
「は、はい!」
ハルヤの言葉に動き出した奴隷達は言葉の通り好きな服を選んで持って来た。
そして、大量の服をアッサリ買った主人にまた驚く奴隷達は頭に疑問符を浮かべていた。