巨大迷宮都市・トレイター
巨大迷宮都市・トレイターは街の中心に大きなダンジョンが存在している都市で、冒険者や商人が賑やかな場所である。
ただその中で、表情が死んでいる灰髪の青年と幼女+紫髪の女性のチームは異様だった。
「ふう、やっと着いたよ」
「その前に俺達を殺す気か!」
「まあまあ、結論が大事だから過程はどうでもいいよね」
「どうでも良く無い!」「どうでも良く無いのじゃ!」
2人が運び方に文句を言うとルーミアは勢い良く頭を下げた。
「ゴメン、あの時はこの方法しか思いつかなかった」
「……まぁ、文句はあるが仕方ないところもあるか」
「そう言ってくれてありがとう!」
「お主! 人通りが多いところで家主に抱きつくのはやめるのじゃ!!」
周りの人達は新婚夫婦かと思って温かい目で通り過ぎていった。
あの後、フラフラになりながら宿屋に着いたハルヤは部屋を取った。
「学園でお金を稼いでいて良かった」
宿屋は1人四千フロンで、ハルヤの手持ちでも余裕で払えた。
「さてと、俺達は巨大迷宮都市・トレイターに到着したがどうやって動くかだな」
「そうじゃのう……下手に動くと学園の時の二の舞にから大変なのじゃ」
「それなら、ハルヤは裏方に回るのはどうかな?」
「裏方、奴隷でも買って成長させるのか?」
「なる程……その手もあったね」
ふむふむと頷くルーミアにハルヤは不思議に思う。
「……なんかとんでもない事をやらされそうなのは一旦置いておいて、明日行動に移すか」
「だね、今日は僕も疲れたよ」
「同じくなのじゃ……」
3人はシャワーを浴びた後、泥のように眠り始めた。
次の日、ハルヤ達は昨日の事を話し合った後き奴隷商に向かった。
「ここが奴隷商だね」
「なる程、ただここにいても迷惑になるし入るぞ」
3人が中に入ると受付の女性が振り向き言葉を発した。
「いらっしゃいませ! スレイズ奴隷商に何か用ですか?」
「はい、戦闘用の奴隷を買いに来ました」
「戦闘用の奴隷……護衛の為に購入されるのですか?」
「いえ、ダンジョンに入る為の戦力として考えてます」
「ふむふむ、ならオススメの奴隷が大勢いますのでじっくり見てください」
受付の女性が呼び鈴を鳴らして担当者を呼び出した。
「すみません、担当者のビークと言います」
30代くらいのスーツを来た男性が出て来てハルヤ達を見た。
「えっと、お子様を連れているので奥様達は別室におられますか?」
「お、奥様、それじゃあそうするよ」
ルーミアは男性に奥様と言われた事に気を良くして移動していった。
「さて、お客様に合った奴隷が見つかるといいですね」
不敵に笑っていた男性を見たハルヤは警戒しながら進んでいく。
ハルヤ達のお目当ての戦闘奴隷の区画に到着した。
「ここが戦闘奴隷の区画になりますが、中には危険な奴隷もいるので気をつけてくださいね」
「なる程、了解しました」
ハルヤは万が一の為に天銀の弓を起動させる準備をしながらビークの後ろにつく。
中に入ると首輪をつけた奴隷達ギラギラとした目でハルヤを見ていた。
「かなり目つきの悪い奴隷が多いですね」
「それは当たり前ですよ。ここは力が絶対だと思っている奴隷が多いので必然的にこうなります」
ビークがやれやれと言いながら周りを見た。
「奴隷達にはお客様が来た時は黙るように命令しているので言葉は発しないですが、目つきで訴えていますね」
「えぇ、自分もそう見えます」
ハルヤは周りの奴隷で何人か候補を立てていると1人の奴隷が目につく。
「あの金髪の奴隷は?」
「!?お客様はあの女奴隷に興味を持たれたのですね」
「あぁ、そうだが……」
「なる程、少し本人と話してみますか?」
「お願いします」
ハルヤはビークの言葉に頷き金髪の女性と話す機会が出来たので喋り始めた。