ハルヤの災難
ハルヤとフラウが学園を出て行き、徒歩で他の街に向かって歩いているとある人物を忘れていた事を気づく。
「ルーミアさんを忘れていた」
「あっ……そういえばそうじゃのう」
今更学園に戻る事は出来ないので2人は顔を合わせて口を開く。
「「置いて行くか!」」
「待て待て!僕を忘れないでくれるかい!!」
「「えっ?」」
何処からか聞こえたルーミアの声に2人が左右を見えいるとハルヤの肩にコウモリが止まっていた。
「まさか、僕を置いて行くなんてね……。でも、君の血や味は覚えたから逃すつもりはないよ」
「おい、まさか……」
ハルヤの肩から離れたコウモリから煙が出て、中からルーミアが出て来た。
「やあハルヤ、君は僕に言う事があるよね」
「あ、いや、無いぞ」
「……なら、君の血をギリギリまで頂こうかな?」
「はい、置いて行ってすみませんでした!」
ルーミアの鋭い目に頭を下げるしかハルヤに出来る事は無かった。
「だよね。まぁ、君にはマーキングしてあるから僕から逃げられないけどね」
「コウモリが家主をストーカーし始めたのじゃな」
「コウモリって、僕はバンパイアだよ!」
「……とりあえず、学園の関係者に追いつかれる前に逃げるぞ」
「了解!」「うん、なのじゃ!」
ハルヤは嫌な予感がして2人にそう伝える。
ルーミアを加えて3人になったハルヤ達はある事を思った。
「家主……妾達は何処に向かっておるのじゃ?」
「そういえば、俺達この辺の地形を知らないよな」
フラウの発言に汗をかくハルヤは頭を悩まているとルーミアが口を開く。
「君の血を飲ませてくれるなら他の街まで僕が案内するよ」
「家主、すまぬ」
「あぁ……分かっている。その条件でいいから頼む」
「了解、まずは美味しくいただくね」
いただきます!と言ったルーミアはハルヤの首元に牙を立てる。
「家主、ドンドン顔色が悪くなっておるが大丈夫かのう?」
「大丈夫じゃない。この状況はかなりキツイ」
ハルヤは目眩がして来たので噛み付いているルーミアをタップする。
「ゲフッ、ごちそうさまー」
「や、家主!」
半泣きになりながら抱きつくフラウにハルヤは左手を動かして頭を撫でる。
「だ、大丈夫だ。それよりも他の街に案内して貰うぞ」
「もちろん、約束通り案内するよ。ただ、少し荒っぽい移動になるけどね」
ルーミアが2人を取り出した縄で縛って翼を生やした。
「もしかして、空を飛ぶ気かのう?」
「そうだよ」
顔が死んでいるハルヤは体が動かせず、フラウの方は目から涙が出ていた。
「さてと、追いつかれる前に行くよ!」
「い、いゃゃぁーなのじゃ!」
高速で飛び始めたルーミアに対抗が出来ない2人はなすすべもなく空を飛んでいった。
そして、ハルヤ達を追って来た生徒達は空振りに終わり頭を抱えていた。