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久しぶりな雑貨屋の一日

 そして次の日、店を開くとお客様が何人か来てくれて、ポーションや雑貨品を買って行かれたので、俺は久しぶりに店員として働いている気分になった。


「ハルヤ君が凄い生き生きしているね。ボクは雑貨屋店員として働いているのを見るのは初めてだけど、ここまで嬉しそうになるなんてね」


「当たり前だろ。ここ最近はいろんな事に邪魔されて、ドアを壊されたりギルド長に誘拐されたりなど大変でまともに働けていなかったからな」

 

 俺は、そう言って商品を陳列している。


「ハルヤは回復魔法使いがメインじゃなくて、雑貨屋の店員が本業だからこうなっているのよ」

 

 確かに、テンションを上げすぎたな、少し落ち着くか。


 そう考えてお茶を飲んでいると、そろそろお昼時になったので店を少し閉めて、昼ごはん休憩をする事にした。


「やっとお昼ごはんだね。ボクお腹が空いて動けなくなるところだったよ」


「私もよ。とりあえず何処かにご飯食べに行きましょう」


 二人がそう言ったので、俺は店の前の札を営業中から準備中に変えて出かける事にした。


 そして、外に出てどこに行こうか迷っていると、ガッツリ食べれるステーキ屋さんを見つけたので、二人を見ると目が釘付けになっていたのでそこに入る事にした。


 中に入ると、お客さんが大きめのステーキ肉を切って美味しそうに口に運んでいるのが見れる。


 そして、店員さんが


「三名ですね。お席にご案内しますね」


 と言われたので、俺達は席に移動した。


 そして、席に座りメニューを貰った


「なる程、ここは百グラムから五百グラムまでのステーキ肉でご飯かパンもどれぐらいつけれるか選べて、後はサイドメニューしかないのか。シンプルでいいな」


 俺はガッツリ食べたかったので、ステーキ肉三百グラムでご飯大盛りのセットを頼んだ。


 ソルは


「わたしはお肉は五百グラムでご飯特盛でお願いします」


 と自信満々に言った。


 エルは


「ボクもお肉五百グラムでご飯特盛でお願いしてもいいですか?」


 と店員さんに伝えた。


 店員さんはわかりましたと元気よく言って、厨房に向かった。


「しかし、この店最近できたのか。それでこんな繁盛しているんだな」


 俺は周りを見て、真新しい机やイスで壁も殆ど傷が無いのでそう判断する。


「わたしもこの店初めて来るけど、こんなに人気があったなんて知らなかったわ」


 そう言って、ソルも俺と同じく周りを見渡す。


(ちなみにエルは、よだれを垂らしかけながらステーキを待っていた)


 そして、少しして


「お待ちどうさま。まずはステーキ三百グラムでご飯大盛りの方」


 と言われたので俺が手を上げた。すると目の前には結構な大きさのステーキと、皿に乗った大盛りのご飯が置かれた。


 その、一人用の鉄板にはシュウジュウ焼かれているステーキ肉が上に乗っていて、付け合わせのコーンとポテトが付いていて、鉄板の横には小分けにされたステーキソースが用意されている。


 そして、ソルとエルを見てみると、同じくステーキ肉に釘付けになっていた。


「それでは食べるか」


 と言うと、俺達はナイフとフォークを手に取り、ステーキ肉を切ることにした。


 すると、ステーキ肉から肉汁が流れ出て来て、一口サイズに切ってソースにつけて食べると、とろけるようになくなっていった。


 その後にご飯をかっこむと、口の中のソースが残った油と合わさって相性が凄くいいと思ってしまう。


 ふと、二人を見るとガッツリ、ステーキ肉を切って国の中に入れて凄くいい顔になっている。


「ここのステーキ肉凄く美味しいわね。さっき値段を見て少し高めだったけど、これなら大満足よ」


 とソルが言って、ご飯を大口で食べている。


 次にエルが


「ボクは色々な所を修行として渡り歩いていたけど、ここまで美味しいお肉に出会ったことはあまりないよ。ボクがお金を持っていたら何回もお代わりしているね」


「その件だか、前買い物行ったときのお金が結構あるから、今回は奢りで十万パルまでの合計だったら食べてもいいぞ」


 俺は財布の中身を見て、ちゃんとお金がある事を確認してそう言った。


 その事を言うと二人の目が光って、店員さんを呼び追加注文をした。


「ここのステーキならかなりの量を食べれるよ」


「わたしもよ。ステーキ以外にお米も美味しいから食欲が落ちないわ」


 うん、完璧に失敗したかもしれない。

 

 そう思い、俺は自分の分を食べ終わった後、店員さんにアイスコーヒーを頼んで二人が大量に食べる姿を見る。


 そして俺はアイスコーヒーを飲みながら、エルとソルが嬉しそうに食べている所を見ながら、お金は本当に足りるかを考えていた。


 そして、二人は食べ終わりテーブルの上には、鉄板と皿が重ねて置いてあり、こいつらの食欲がわかる光景だった。


 俺は店員さんを呼んで会計してもらって支払いカウンターに向かって、合計を見ると約七万パルで済んだのでホッとする。(ただその会計を見た店員さんは唖然としていた)


 そして、お金を払い俺達は店の外に出た後、帰りに食料が少なくなっている事を思い出したので、とりあえず食料が売っている店によって、かなりの量を買った。(荷物は三等分に分けて、俺達は三人が平等に持った)


「しかし、結構食料買ったね。ハルヤ君お金は大丈夫なの?」


「最近は回復魔法で働いていて、まとまったお金が入ってきてたから毎回は厳しいけど、今回くらいは大丈夫だから気にするな」


「ほんと、ハルヤの回復魔法のおかげよね。本当はわたしとレイナがお金を払うつもりだったのに払わせてばかりでごめん」


「別にまだお金が取れる所があるし、その時に手助けしてくれたらいいからな」


 俺は、どう冒険者ギルドの賠償金を高くしようか考えることにした。


 まあ、そんなこんな考えながら俺の店に着き、買ってきた食料を魔法冷蔵庫の中に入れて少し休憩した後、店の札を準備中から営業中には変えここの業務を始めた。


 少しして、前に俺が回復魔法で助けた冒険者四人組が来店してきた。


 まず口を開いたのは、俺が最初に助けた女冒険者だ。


「あの時は、本当に助けていただきありがとうございました。貴方がいなければワタシ達は死んでいたかもしれないです」


 と言いつつ、深く頭を下げてくる。


 その光景を見た俺は


「別に、後で冒険者ギルドにかなりの額を請求するつもりだから、気にしなくていいよ。」


 そう言うと続けて、リーダーぽい両手剣を肩に担いでいる剣士が頭を下げてきて


「感謝する。死にかけていたおれ達を助けてくれて。ほんと凄い回復魔法使いだな」


 その言葉を聞いて、一つ突っ込みたくなったので


「あの、先に言っておきますが俺はただの雑貨屋店員で、平和に暮らしたい者ですからね」


 その発言で冒険者達は驚く。


 そして、硬直から一番回復が早かった薄い茶髪の女戦士が口を開く


「いやいや、死にかけていたアタイ達を簡単に治す人が、ただの雑貨屋店員ではないはずだよ」


 実際に、ただの雑貨屋店員なんだと思ってると、女戦士の言葉を聞いて他の三人は頷いている。


 俺は、雑貨屋をやっていると言い、店を指差しながらある事を言う。


「もう一度言いますが、俺はただの雑貨屋店員ですからね。回復魔法使いの仕事はただの副業みたいなもんです」


 今度こそ言い切ったぞ。


 俺のその言葉に、なんとか納得した冒険者の四人は話を変えてくる。


「実はな、さっき冒険者ギルドから出てきたんだがなある女性がギルド職員とこの店のドアの事で、交渉している所を見たんだ」


 なるほど、おそらくレイナだな。


 そう考えているとリーダーはさらに続きを喋り出した。


「その後、おれ達にハルヤさんを呼んで来いとギルド長から言われて、ここに来たんだよ」


「なる程、ちょうどよかった。最近出費が多くて困っていた所だ。それなら、冒険者ギルドから前の件でたっぷり請求しないといけないからな」


 俺はソルとエルを見て二人が頷いた後、店に簡易的な鍵を閉めて、冒険者ギルドに向かった。


 そしてここから俺の戦いが始まった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 主人公の商人としての才能が問われるところですね、今のところ断れきれないって形で値切られてばかりいるような感じなので、ここはスパッと交渉したいところです。 そしてステーキの描写美味しそうだっ…
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