フィリス復活
そして、朝になって起きるとフラウがガッチリ抱きついていた。
「コイツ意外と力があるな」
俺はなんとか引き剥がそうとするが中々出来ないので諦めると
「ハルヤ様、お帰りになっていたんですね」
二日酔いから復活したフィリスが部屋に入って来る。
「フィリス、こっちは大丈夫だったか?」
「はい、フラウちゃんが寂しがっていた事や、私が二日酔いで寝込んでいた事くらいしか問題はなかったですよ」
「なる程、ただ今日は後半組の生徒と会わないと行けないから、フラウには寂しい思いをさせたな」
俺はフラウの頭を撫でていると
「や、家主〜」
なんか気持ち良さそうに寝ているな。
「それでは横に失礼します」
「はっ?」
フィリスがそう言って俺のベッドの中に入った。
「待て待て、お前は何をやっているんだ!?」
「何ってハルヤ様のぬくもりを感じたいので入りました」
意味がわからん。
そう思っていると
「こうやって一つのベッドで寝ていると家族みたいですね」
「そうかもしれないが、俺には嫁も子供もいないぞ。それに育ての親の爺さんも数年前に死んでいるからな」
俺は独り身だからな。
「ハルヤ様はお父様とお母様の顔は見た事はないのですか?」
「そうだな、俺は一回も見てないな」
前に爺さんに聞いてみたが、その辺はわからないみたいだった。
「もし良ければハルヤ様のご両親に挨拶に行きたかったのですが……」
「何の為にだよ」
「挨拶です」
なんかキリッと言われたが
「まぁ、そこには突っ込みは入れないぞ。それよりもフィリス、なんでお前も抱きついて来てるんだ!?」
このままだとマズイので一回整理する。
数時間後、フィリスがなんとか離れてくれたのとフラウが起きたので
「家主は何故そんなに根が優しいのじゃ? 流石に断ってもいいと思うがのう」
「断ってもいいが、なんだかんだやらされるんだよな」
アイツらや学園の関係者達はそれを分かって巻き込んでいるよな。
そう考えながら用意していると
「ハルヤ様、そろそろ向かった方がいいですよ」
「家主、また行くのかのう」
「依頼はやらないといけないからな」
「テストが終わったら妾と沢山遊ぶのじゃ!」
「了解だ」
俺はそう言って学園に向かう。
「さて、資料では四十組の生徒でテスト場所は近場のダンジョンと書いてあるな」
俺は学園の廊下を歩きながら戦闘科四十組のクラスを探す。
「しかし、結構遠いな」
やっとの事で見つけて中に入ってチームメイトの名前を呼ぼうとしたが
「部屋は普通だが、生徒の目が死んでいるな」
俺は五人の生徒の名前を呼ぶ。
「えっと、ネージュ、クルト、エメス、エーナ、メトネの五人は俺の元に来てくれ」
『はい……』
そう言って五人の男女が立ち上がって俺の前に整列する。
「それじゃあ移動するからついてこい」
俺はこの部屋にいるのはアレだと思い、場所移動する。
「あの、痛い目見るのは私だけでいいので他のみんなには手を出さないでください。お願いします!」
銀髪の少女がいきなりそう言って頭を下げて来たので
「何を言っているんだ?」
意味不明なので一旦俺が借りている雑貨屋部屋に移動して自己紹介した後、説明して貰う。
「私達は能力の低い落ちこぼれです。他の教師はストレス発散でよく暴力を振るって来ますので、貴方も同じだと思いました」
「なる程ね。前に戦闘訓練を見たが、アレはイジメでしか無かったよな」
その事を喋ると
「そうですね。でもいつもあんな感じなので慣れました」
「いや、慣れたらダメだろ。それと問題になりそうなのは気のせいか?」
「実力がないからイジメられていて、弱いのが悪いと言われて終わりです」
ハァ、本当に面倒だな。
そうやって学園の闇を聞いているとお腹が鳴る音がした。
「すみません、ウチです」
水色の髪色をした少女が遠慮がちに手を上げて来たので
「それなら、食堂に食べに行くか?」
俺はそう言ったが
「あの、いつもは安いパンとかを買うしかないくらい私達はお金がないです」
もう、突っ込まないぞ。
「別に俺が奢るから好きな物食べていいぞ」
ここまで酷い目に遭っているなら、これくらいはいいなと思い話すと
「えっ! いいのですか?」
「別にいいぞ。ポーションを売ったりして稼ぎはあるからなんとかなるぞ」
「そうじゃなくて、落ちこぼれの私達に奢ってくれるのですか?」
「そう言っているが何か問題はあるのか?」
なんか、みんな驚いているみたいだ。
だが、俺はその事を無視してみんなで食堂に向かう。