拠点の問題
なんか、A -と聞いていたのにこんな簡単に討伐出来てしまっていいのだろうか?
「ハルヤ先生はなんでもアリなのかしら?」
「グレイス、俺は器用貧乏なだけだぞ」
アイツらの方が戦闘力は高いからな。
「いやいや、色々突っ込みたい事があるぞ。ハルヤ先生は家事能力も高いし、回復魔法も使えて弓で戦えるから能力高くないか?」
「否定は出来ない。ただ、それよりもグレンイーグルを回収しないか?」
とりあえず、あの鳥を回収したい。
「回収はオレ達がやっときますので、ハルヤ先生とメーネ先生はゆっくりしていてください」
生徒達がそう言ってくれたので
「わかった」
なので俺とメーネ先生はシートに座りながら話す。
「ハルヤ先生は学園に来る前は何をやっていたんだ?」
「普通の雑貨屋の店主だな。ポーションとかが主力商品だ」
ただ、最近は戦う事が多くなって慣れて来たような気がする。
「なんだと!? それであの戦闘力なのか?」
「それを言われるとアレだな。ただ、雑貨屋の店主には変わりないぞ」
メーネ先生はかなり驚いているみたいだが
「その話を聞くと長くなりそうだな」
「そうだな。多分めちゃくちゃ長くなる」
しかも理解してくれるとは思ってないからな。
そして、生徒達がグレンイーグルを回収して来たので
「これからどうすればいいんだ?」
正直、やる事が無いような気がする。
「この辺の魔物を倒すのはどうだ?」
「確かにそれが良さそうだな」
メーネ先生は戦闘経験を積ませるには丁度いいとか思っているようだな。
そうなると
「この拠点はどうすればいいんだ?」
『あっ……』
せっかく作ったから、俺と二十組の生徒はお留守番することにして、十六組の生徒とメーネ先生が探索班になった。
その後、暇なのでポーションを作っていると
「ハルヤ先生、オレ達も少しは役に立つぜ」
そう言ってエクス達はウサギみたいな魔物を倒していた。
「スローラビットを倒しただけで自慢する事では無いと思うよ」
「私達は自分で食料を取る事が出来たから一歩前進ですよ」
なんか四人が何かを話し合いしているみたいだが
「とりあえず、ポーションの方は完成したからのんびりするか」
空を見たら暗くなって来たので、ランプをつけていると
「ハルヤ先生、悪いが回復魔法を使ってくれるか?」
メーネ先生達が帰って来て振り返ると、頭から血を流した男子生徒がいた。
「えぇ!? 一体何があった?」
俺はすぐに回復魔法第三階〈サード・ヒール〉を発動して、男子先生の傷を治してシートに寝かせる。
「これで大丈夫だと思います。ただ、皆さんボロボロなのは何故だ?」
よく見ると生徒とメーネ先生も怪我を負っているので回復魔法を使う。
「助かる。だが、そんなに使うと魔力消費は激しくないか?」
「別にその辺は大丈夫だ」
魔力は全然余裕があるので、メーネ先生から話を聞く。
「実は見た事のない魔物に襲われたんだ。見た目はオークみたいだったが、攻撃力かかなり高くて前衛がかなりダメージ食らって撤退したんだ」
「撤退出来てよかったな」
その魔物はスピードはそこまで無いのか。
「だが、他の生徒や先生が出会ったら最悪死人が出るかもしれない」
まぁ、そうなると問題になるな。
「ただ、今は動かない方が良さそうだ。下手に動くと不意打ちされる可能性があるな」
それに、前はルージュに強固な結界を任せていたが、魔道具では破られそうだ。
「ハルヤ先生はその魔物は倒せそうか?」
「遠距離で不意打ち出来ればいける可能性もあるが、相手が分からないから無理だ」
もし、すごく硬かったら終わりたからな。
「まぁ、私達は疲労しているから休ませて貰う」
十六組の生徒とメーネ先生はシートの上で眠り始めた。
「ハルヤ先生、そんな相手がいるならここから避難した方が良く無いですか?」
「そうなんだが、相手が何処にいるか分からないからどうしようもない。それに、帰る時に襲われたら一番辛い」
正直、どうする事も出来ないんだよ。
そう思いながら、何か方法が無いか考える。