来週のテスト
俺達はダッシュで訓練場から出たので
「少し疲れたな」
学園にあるカフェに入ってアイスコーヒーを飲む。
「そうじゃな」
「ハルヤ様、あれだけ強力な回復魔法を使っておいてそれだけで済むのですか?」
「いや? 俺はここまでダッシュで来た事に疲れたと言っただけで魔力消費に関しては別に大丈夫だぞ」
これよりも強力な回復魔法を使って来たのと、ルージュの影響で魔力がかなり上がっているから、負担を感じない。
「もうハルヤ様が超凄腕の神官だと言われても驚かないレベルに来ましたよ」
フィリスがリンゴジュースを飲んでサンドイッチを食べているので
「先に言っておくが、フィリスは自腹だからな」
「ちょ!? これくらいは奢ってくださいよー」
「だが断る! 自分で払え」
「そ、そんな」
最近はフィリスをオチに使えるので便利だ。
そして、店から出て適当に歩く事にした。(フィリスは自腹)
「ハルヤ様は私の事をなんだと思っているのですか?」
「ポンコツスパイ駄メイドだ」
これはストレートに言わせて貰う。
「ヒドイ! 私の扱いが悪過ぎます」
「ネタ要員じゃからいいと思った方がいいのじゃ」
フラウに追撃されてかなり凹んでいるみたいだ。
「それはともかく、これからどうしよう?」
「家主はポーションを作らなくてもいいのかのう?」
「それも考えたんだが、ポーションばっかり作っていたら飽きるから他の事をしたい」
当たり前だが、単純作業はしんどいんだよ。
「それなら、来週のテストの準備をしますか?」
「確か、野外で生活するんだよな?」
「そうですね。先生の格を決めるテストでもあるので気をつけてくださいね」
ちょっと待て、格ってなんだよ!?
「先生にも評価があるんですよ。S〜Eランクがあって成績がいいほど優遇されます。ちなみに決めるのは厳格な試験官達です」
「不正してくる奴がいた場合はどうなるんだ?」
「もちろん処分があります」
ハァ、絶対に面倒じゃ無いか。
「まぁ、ハルヤ様なら普通に上位を目指せると思いますよ」
「それならいいけどな」
ぶっちゃけ目指す気は無いが。
そう思っているとフィリスの携帯通信魔道具が鳴ったので
「誰かから通信が来たみたいですね」
フィリスは通信に出ると
「はい、すぐに向かいますね。ハルヤ様、学園長が急いで学園長室に来て欲しいみたいですよ」
「なんだ?」
正直、呼ばれる内容が分からん。
「なんかありそうじゃのう」
フラウは何かを感じているようだが
「そうだな」
俺は面倒事には慣れて来た。
そして、学園長室に入ると
「さて、今回の月一テストの事だがフィリスから聞いているか?」
「確か、先生にもランク付けされるのですよね」
「それと、私達もランク付けには参加する。ハルヤ君はいつもフラウちゃんと一緒にいるが、テストの時は生徒と一緒に行って貰う」
やはり、そうなるか。
「ちなみにフラウちゃんは私とお留守番ですよね」
「なんじゃ、家主と一緒にいけないのかのう?」
「悪いが、ハルヤ君の能力を見る為にも我慢してくれ」
幼女に街の外での訓練はあまりさせたく無いよな。
フィリス、お前は着いてくるはずだよな?
そう思うが、話は進む。
「ただ、自分とチームを組む生徒は誰ですか?」
「それは今から会いに行って貰う。着いて来てくれるか?」
「わかりました」
俺はミラナさんと学園長室から出ようとした時
「妾達は部屋で待っておくのじゃ」
「おぉ! ここにお菓子が大量にありますよ」
なんか、ほのぼのした会話が聞こえて来たが
「ハルヤ君、今回のテストの事だが君には戦闘科を手伝って貰うよ」
「……ハッ? いやいや、自分はてっきり生産科の手伝いだと思ってましたよ」
「いや、君の戦闘能力と回復魔法の腕を見た人達から戦闘科のテストに参加してくれというオファーが多かったんだよ」
待て待て、それはマズイ。
「あの、自分は戦闘能力はあまり無いですよ」
それに近接戦闘は全く出来ないから、正直行きたくない。
「君は、クラナ・ブレイブの剣筋を見切って訓練剣を破壊したよね」
「あれはたまたまですよ。それに、自分は生産科のテストに参加すると思ってました」
俺とミラナさんは歩きながら話しているが
「まぁ、普通ならそうだな。だが、さっきも言った通りハルヤ君には戦闘科のテストに参加して貰うのは決定事項だ」
俺はそれを聞いて、学園を出て行きたいと思う。