装備作成の依頼
スミスと一緒に学園に向かう事になったのだが
「ハルヤ先生は冒険者なのですか? しかも弓の腕と装備を見るにかなり高ランクですよね」
「俺は、冒険者じゃなくて雑貨屋の店主だ。冒険者にはあまりなりたく無いな」
レイナ達に勧誘されまくっていたが全部断ったからな。
そう思い出していると
「ハルヤ先生が冒険者なら装備を作りたかったです」
「学生で装備を売っている店はあるのか?」
気になったので聞いてみる。
「普通に売っているお店はありますよ。ボクも何個か作品を出してます」
そういえば、腕利きの鍛治師だったな。
なら、一つ依頼をしてみる事にするか
「それなら、ある人物の装備を作って欲しいのだが、依頼出来るか?」
「依頼ですか? 多分大丈夫ですが、誰に作るのですか?」
「それは、戦闘科一年のクラナ・ブレイブの装備だ」
クラナに装備を支給すると言っていたからちょうどよかった。
「えっ……? 勇者の末裔のクラナさんにお渡しする装備をボクに任せてもいいのですか!?」
「別にいいぞ。それに、この都市で鍛治師の知り合いはいないからな。あと、素材はある程度こちらから提供するぞ」
「家主、こやつに任せても大丈夫なのかのう?」
まぁ、失敗したらその時だからな。
そして、学園に到着したので
「後で生産科の鍛治師部門に来て貰っていいですか? 先生には話を通しておきます」
「了解した」
スミスはそう言って一礼して離れて行った。
「さて、クロト達と合流したいが何処にいるんだ?」
「ハルヤ様、昨日クロトさんとナインさんの連絡先を交換しておいたので通信出来ますよ」
「おぉ、駄メイドなのに手回しがいいのじゃ」
「あの、確かにそう言われるのは仕方ないのですが、そこまでストレートに言わないでください……」
フィリスは若干落ち込んでいるが
「悪いが俺もフラウと同じ気持ちだ」
「ハルヤ様も酷いです」
なんか半泣きになっているので
「そんな事よりも連絡するのじゃ!」
フラウ、お前はフィリスに厳しくないか?
それはさておき、クロトとナインに連絡して貰うと
「2人ともハルヤ様の仮店舗の前にいるみたいですよ」
「なる程、それなら普通に向かうか」
「そうじゃな」
俺達は門を潜って職員室の近くの仮店舗に向かう。
「ハルヤ先生、フラウちゃん、フィリスさん、おはようございます!」
「部屋の方は特に問題はないわ」
「待たせて悪いな」
「大丈夫ですよ。僕達が早く来ただけですから」
クロトがそう言ってくれるので良かった。
「あの、市場から素材を買いに行っていた事は知っていますが大丈夫ですか?」
「不良生徒に絡まれたが普通に撃退したぞ」
「ハルヤ先生は戦える力があって羨ましいわ」
天銀の弓が無かったら俺も戦わないけどな。
「あと、鍛治師部門の腕利きの生徒にも出会ったから、クラナの装備を作って貰う事になった」
「えっと、腕利きの生徒って誰ですか?」
クロトが不思議がっているので
「生産科二年のスミス・ルーソングです。わたしも今日以外にも何回かあっています」
「ルーソング先輩、この学園でもかなり有名よ。どうやって出会ったのかしら?」
「それは、鍛治師の生徒が不良生徒に絡まれていたのを家主が撃退して助けたのじゃ」
「ハルヤ先生は意外と甘いのですね」
「この学園は実力主義なので、身を守る為の戦闘訓練は生産科や商業科でも受けるので、戦えない奴が悪いとなりますよ」〈例外あり〉
この学園はやはりかなり厳しいな。
そう思いつつ仮店舗の部屋に入る。
「話は変わるが、学園のお店ってどんな感じで陳列しているんだ?」
「「さぁ?」」
よくよく考えたら、コイツら生産科だから知らないのか……。
まぁ、机とかあるから錬金するか。
「俺はポーションの錬金をしたいが、お前らはどうする?」
「妾はフィリスと学園内を回ってくるのじゃ!」
「フラウさん、わたしも一緒にですか?」
なんかフィリスが驚いているが
「当たり前なのじゃ」
「わ、わかりました」
なんか渋々受けているな。
「僕とナインはハルヤ先生の錬金の見学をします」
「よろしくお願いします!」
「わかった。ただ、邪魔だけはしないでくれよ」
「「了解です!」」
こっちも纏まったので、俺は錬金釜などを取り出して錬金に入る。
「さて、今日は〈九等級回復ポーション〉を大量に作らないといけないな」
「そういえば、1つ忘れていました。ユーナ先生が午後からの授業の臨時講師をして欲しいと言っていました」
ちょっと待て、もう教える事は無いぞ。
「ハルヤ先生はいると安心感があるみたいなので来て欲しいと言っていたわ」
それに関しては何も言えない。
その後、午前の間はひたすら〈九等級回復ポーション〉を生産して三百本完成した。




