まさかの戦闘
やっとの事でポーションの素材を売っているお店に到着したので
「薬草系と青キノコ類、回復効果をあげる事が出来る天然水とハチミツ、あとポーションの瓶、結構いい値段で売っているな」
なので、ミラナさんから貰ったお金の半分を使って大量に買い込む。
「ハルヤ様、こんなに買っても大丈夫なのですか?」
「それは大丈夫だ。ただ、これだけ買っても売るのが大変だと思う」
「そうじゃな。戦闘科は四十クラスあるから、かなり手間取りそうじゃのう」
俺とフラウは、この学園の生徒の事を考える。
「確かに、戦闘科の生徒は沢山怪我をするので大量に買っても損はないですね」
俺は絶対に入りたくは無いけど、アイツらは喜んで入りそうだ。
あと、ルージュが入ったら生徒+先生を全員相手にしても余裕で勝てそうだな。
まぁ、この事は置いておく。
「ハルヤ様、ポーションの素材などは買えたので、これからどうしますか?」
「一回学園に行きたいな。クロト達と合流しないといけないからな」
そう言って歩いて市場を出て学園に向かおうとした時
「貴方達何ですか!」
「おれ達は戦闘科の生徒だ。確かお前は生産科の腕利き鍛治師だよな。その腕を見込んでタダで装備を作ってくれよ」
一人の生産科の生徒に複数の武器を持った男女が取り囲んでいるので
「ハルヤ様、どうなさいますか」
「いや、俺には衛兵を呼ぶくらいしか出来ないぞ」
天銀の弓とフラウの結界で応戦する事も出来るかもしれないが、それをすると目立つから嫌だな。
そう思っていると、無理矢理連れて行かれそうになっていた。
「仕方ない。フラウ、フィリス手伝ってくれ!」
「「了解」」
俺達三人はその集団に向かってある事を話す。
「少しいいか?」
「アァン、お前は誰だ?」
相手はどう見てもチンピラなので
「ハァ、低脳過ぎて呆れるな。装備を作ってもらう事はともかく、タダで作るのは話が違うと思うぞ、それにそこの生産科の生徒にも生活があるから、適正価格で買えよ」
「お前、学園のエリートのおれ達に指図するのか?」
「指図じゃない、常識を言っているだけだ。それとも、こんな事も理解出来ないのか?」
俺は少し煽りを込めると
「上等じゃねーか! おれ達に喧嘩を売ったのを後悔するんだな」
「喧嘩は売って無い。常識を言っただけだ」
なんか、向こうは勝手にヒートアップしているので、冷静に返すと
「テメー、治療院送りだな!」
リーダーのモヒカンが剣を抜いた。
なので、反撃させて貰う。
「サモン・天銀の弓!」
俺は天銀の弓を召喚して相手の攻撃を避けて、矢で剣を撃ち抜く。
前にもこんな事があったと考える。
「なんだと、エリートのおれの剣が破壊されただと!」
相手は十人程いるので、俺一人だとしんどいが
「お前ら、何をしている! コイツを潰せ!」
そう言って他の生徒も武器を構えて来たので
「なる程、これ以上問題を起こしてもいいんだな?」
「なんだと!」
「俺の横にいるメイドは学園長の直属だぞ。もしここで俺が負けてもお前らはタダでは済まないぞ」
天銀の弓を構えながら脅してみる。
「そんなの、出鱈目に決まっている! お前らかかれ!」
やはりそうなるか。
だが、それは予想通りだ。
俺は天銀の弓に少し多めの魔力を込めて矢を撃った後、分身させて相手の武器を全部撃ち抜いて破壊する。
「ハッ?」 「嘘でしょ。」
相手は固まっているので
「今回は武器だけだったけど、次はお前らの頭を撃ち抜いていいんだな? もちろんこっちは正当防衛だから悪く無いよな」
俺はそう言って天銀の弓に魔力を込めて矢を出現させると
「ま、待て、引くから撃つな」
「そうか、今回は見逃すが、次同じ事があったら容赦はしないからな。あと、お前らは終わりだ」
「なんだと!」
俺はある方向に指を指すと、衛兵が走ってこちらに来ている。
「動くなよ。動いた瞬間、足を撃ち抜くからな」
俺はチンピラどもを睨みつける。
そして、衛兵に事情を話してチンピラ生徒は連れて行かれた。
「家主は本当に巻き込まれて体質じゃのう」
「それを言わないでくれ。今回は業務外だったからかなりしんどかった」
「ハルヤ様、戦闘も出来るなら外で魔物と戦えそうですね」
「悪いが、俺には致命的な欠点があるから難しいと思うぞ」
俺達はそうやって喋っていると
「あの、ありがとうございます。ボクは生産科二年のスミス・ルーソングです」
赤髪の中世的な顔で性別が分からない。
「俺はハルヤ、横にいる幼女が従妹のフラウ。そして、メイド服を着ているのがフィリスだ」
「あの、もしかして噂になっている錬金術師の臨時イケメン先生ですか?」
「イケメンがどうかは知らんが、錬金術師の臨時先生にはなっている」
俺は正直学園に向かいたいのだが
「その装備ミスリルですか? しかも凄く上手に出来ているので凄いです」
ヤバイ、装備の事にも食いついて来た。
でも、時間もあまり無いので
「すまないが、これから学園に行かないといけないから、これ以上話せない」
と言う。
「それなら、ボクも一緒に行きますね」
やはりこうなったか……。
俺達は新たなメンバーを加えて学園に向かう。