勇者の説明
さて勇者の事だが、基本二つのタイプがあるみたいだ。
一つ目・異世界から素質のある者を呼んで勇者にする事。
二つ目・この世界で勇者と呼ばれる程功績を立てた者。
「まぁ、ざっと言えばこんな感じだな。あと、異世界の勇者は基本黒髪だから子孫に引き継がれる事が多いんだ」
なる程、だからクラナは黒髪なのか。
「ハルヤ先生の髪色も黒に近いから勇者の家系なのかしら?」
「それは違うと思うぞ。俺の親も雑貨屋を営んでいたからな」
物心ついた時から父さんと母さんはいなかった。
まぁ、爺さんが居たから寂しいとはあまり思った事がないけどな。
「ハルヤの事は気になるが、今はカレーを食べるぜ」
クラナは、食べるのに必死みたいだ。
そして、みんなが食べ終わって片付けた後、今日は解散する事にした。
俺達は職員寮に帰ってのんびりしていると
「のう家主。戦力と人手はある程度揃ったと思うのじゃが、これからどうするのじゃ?」
「まずは、ここで商売をしてお金を稼ぐ事だな。後の事はそれから考える」
レイナ達はかなり心配だが、今は地盤を固めないといけないからな。
「ハルヤ様は何か気がかりがあるのですね?」
やはり、フィリスは鋭いな。
だが、この事を答えるつもりはない。
「まぁ、俺達にも色々あるんだよ。それよりも、素材の事の件はどうすればいいんだ?」
素材の仕入れ先を決めたおかないとかなりキツいからな。
「この学園には、薬草、中薬草、青キノコ、中青キノコが売っています。上薬草と上青キノコは殆ど出回らないです」
なる程、基本的な素材は売っているのは嬉しいな。
これで、七等級のポーションまではこの都市で生産出来る。
「家主、奥の手を使わなくてよかったのう」
「あぁ、そうだな」
魔物の魔石を集めまくって、フラウの能力で素材に変更するのは奥の手だ。
「ハルヤ様のフラウ様の奥の手はかなり気になりますね。私に隠している事が多くないですか?」
「スパイに教える程、バカではないからな」
「それもそうですね」
アッサリ引いたようだけど、何か作戦がありそうに見える。
それはさておき、そろそろ眠いので寝ようと思って俺とフラウは寝室に向かおうとするが
「絶対、ハルヤ様とフラウ様の秘密を解き明かしてみます」
フィリスが気合を入れて言って来た。
「悪いが、それは無理だ」
「そうじゃのう」
俺達は今度こそ寝室に入って寝る。
次の日
俺達は朝早くに起きて、市場に行こうとしたが
「まだ寝ます……」
「昨日、市場に行くと言ったよな! 起きろ、この駄メイド!」
フィリスが爆睡していたので、鍋とお玉をガンガン鳴らして起こす。
「酷く無いですか?」
「言っていたのに寝ていたお前が悪い!」
なんとか起こした後、身支度をして改めて市場に向かう。
「家主、かなり眠いのは気のせいかのう?」
「今六時半だから、眠い人も多いかもな」
フラウがあくびをしながら歩いているので
「お前、危ないぞ」
なので、俺は手を繋ぐ事にした。
「ハルヤ様、私も手を繋いでもらってもいいですか?」
「お前はと手を繋ぐとマズイから無理だ」
「なんでですか!」
いや、駄メイドと手を繋ぐのは嫌なだけだ。
「家主と手を繋ぐのは妾だけの特権なのじゃ!」
何故にフラウは機嫌が良くなっているのかがわからない。
まぁ、考えても分からないので放置するとして、モノレールにを使って市場に到着する。
「ハルヤ様、ここが学園都市の市場です」
「なる程、素材や食べ物などが沢山あるな」
ロートスの市場の軽く数倍の大きさはあるぞ。
「しかし、人が多いのう。これだと迷子になるかもしれないのじゃ!」
そうなると面倒だな。
「それでは、ハルヤ様が欲しがっているポーションの素材を売っている店に行きましょうか?」
「そうしてくれ」
フィリスが案内してくれるので結構わかりやすいが
「これ美味しいです」
屋台で買い食いしているのが、残念に見える。
「確かに朝ご飯は食べて来なかったから気持ちは分かるけど、どっか座るか?」
「賛成です」
「何故、妾達の担当がこんな残念なのじゃ?」
俺とフラウは串焼き肉を口いっぱい頬張っているフィリスを見ながら愚痴る。
それから、市場で朝ご飯を食べた後、ポーションの素材が売っているお店に向かう。