部屋の説明
そして、今日の授業は終わりみたいなので、俺達が店を開く場所に移動すると
「私が選んだ場所は、職員室前だ。ここなら何か問題があっても、すぐに先生が駆けつける事が出来るからな」
「あの、こんないい場所を貰っても大丈夫なのですか?」
結構いい立地なので聞いてみる。
「別に大丈夫だ。それよりも、商売の繁盛を期待しているよ」
「学園長はこれから職員会議に出席しないといけないので、後は私が何とかしますね」
フィリスに任せていいのか?
「なら、後は頼んだぞ」
ミラナさんがそう言って会議室の方に歩いて行った。
「では、開店準備を始めるのはどうですか?」
「フィリス、まずはこの部屋はどれくらいの広さなんだ?」
「広さは、八メートル×八メートルの大きさの部屋ですね」
普通の大きさで机と椅子がある部屋だ。
「あの、ハルヤ先生は部屋をどんな感じにアレンジするのですか?」
「それは、まだ考えていないな。ただ、この広さだと商品はあんまり多くは置けないから、ポーションをメインで売ろうかなと考えている」
中に入るとキレイに掃除はされていたので、そこは良かった。
「キレイなのは良かったのじゃ。今から掃除すると大変だったからのう」
「そうだな。後、クロトとナインは普通に話しても大丈夫だぞ。その話し方だとフィリスと被るからな」
「えっと、いいのですか? ワタシ達は先生に話す時は敬語と教えられて来たのですが……」
そうか、だからガチガチの敬語だったのか。
「別に俺は教員免許は持ってない臨時だ。それに、そこまで歳が離れてと思うから普通に話してもいいぞ」
「僕達は今年で十六歳なのですが、ハルヤ先生は何歳なのですか?」
「俺は今年で十八歳だ」
特に隠す情報では無いのではなす。
「ワタシ達と二歳しか変わらないのに、あれだけの能力の差があるのですね」
二人は凹んでしまっているが
「まぁ、俺は色々あったからな」
赤オーガの討伐に無理矢理連れて行かれたり、ゴブリン討伐戦にも参加させられたからな。
そう思って遠い目になっていると
「そういえば、ハルヤ様の装備は何で作られているのですか?」
ふと、フィリスが装備の事を聞いて来た。
「この装備は、皮の部分は(Bランク)のグレースネークで金属の部分はミスリルで出来ているぞ」
前にも鍛治師の生徒と先生に似たような事を話したな。
「ミスリル!? ハルヤ先生は何処かのお偉いさんなのかしら?」
ナインが素の口調なので良かった。
「ハルヤ先生。もしかして僕達を弟子にしたのは、採取に連れて行く為なのか?」
クロトもいい感じに緊張しなくなっているな。
「まぁ、その辺は言えないな」
「家主、話がどんどんややこしく感じるのは妾だけかのう?」
「フラウ、それは思った」
学園に来てから色々やらかしているのは思う。
それはさておき。
「別に装備の事はいいだろ。それよりも、ポーション系を作る為に素材を買いに行きたいな」
学園長から貰った三百万フロンがある事を思い出す。
「ハルヤ様、今から学園都市にある仕入れ市場に向かわれるのですね。ただ、時間的に帰ってくるのが遅くなりますよ」
「なら今日は解散するか?」
今日は慣れない事をしたのでかなり疲れた。
「解散する前に商品を確認するのはどうですか? 僕達はハルヤ先生に弟子入りしたばかりなので、何をすれば良いのか分からない状態です」
「それも良いんだけど、俺が背負っているアイテムバックの中身だけだと、心許ないんだよな」
前に、戦闘科の生徒に回復ポーションを大量に売ってしまった事も関係しているな。
「あの、今日は錬金術室の一つを借りて、二人に指導するのはどうでしょうか?」
「それは良いわね。ハルヤ先生お願いします」
「待て待て、いきなり言って部屋は借りれるのか? それと寮の門限は大丈夫か」
気になったので質問してみると
「それは大丈夫ですよ。学園に泊まって寮に帰らない生徒もいますから」
社畜の原型の生徒がいるのか……。
「わかった。アイテムバックの中に入っている物で何か作るな」
俺はアイテムバックを下ろして中身を見る。
「基本的な素材は大量に残っているから、まだ何とかなりそうだ」
「そうじゃのう。ただ、この辺の素材の内容がわからぬから慎重に使わないとすぐ無くなるのじゃ」
そこが問題だよな。
フラウの能力で素材は手に入るけど、出来ればこの都市の素材を使いたい。
「ハルヤ様は、ポーションと爆弾以外に何か作れるのですか?」
「石鹸やインクとかだな。やり方さえ知っていたら大体作れるぞ」
本業では無いけど、ある程度は作れるからな。
そう思いながら、錬金釜を取り出して準備を始める。