商業科の見学
エクスとグレイズはミラナさんに捕まって、グレーウルフとの戦闘の事を聞いている。
「つまりは、私が前に見た事がある銀色の弓でグレーウルフを圧倒して倒したであっているか?」
「はいそうです。見た限りでは相手は何も出来ずに倒されていきました」
また、秘密がバレた様な気がする。
「確かに、クラナ・ブレイブの剣を矢で撃ち抜いて破壊したのは見たが、そこまで戦えるとは思っても無かったぞ」
「あの、グレーウルフはそんなに強いのですか?」
そこが気になったので聞いてみると
「グレーウルフはEランクの魔物ですが、群れだとDランクに上がって一般の冒険者だと、かなり苦戦する相手ですね」
「それを家主は圧倒したから、こんな事になっておるのじゃな」
「あのな、俺は戦闘が嫌いだからあんまり戦いたく無い」
とりあえず、この事を伝えると
「でも、かなり戦えるのですよね。それなら、戦闘科の講師も出来そうですね」
待て待て、流石にそれはマズイ。
「やめておいた方がいいのじゃ。家主は近接戦闘は全く出来ないから、講師になっても無駄じゃ」
なんか、言い方にトゲがあるように感じるが、事実なので頷く。
「他にも何かありそうだな。戦闘科の講師の事は一旦置いておいて、野外に行く時に連れて行くのもアリだな」
どうしよう、このままだと本気で戦闘をする事になりそうだ。
俺が頭を抱えていると
「ハルヤさんの顔色が悪くなっているのは気のせいですか?」
「確かに、そう見えるわね。それと、授業が始まる時間ですのでそろそろ行きますわ」
アイツら、逃げたな。
「さて、私達も移動するか」
ミラナさんが立ち上がったので、俺達も立ち上がる。
「お昼からは、商業科の見学ですよね」
「そうだ。商業科は実際にギルドとかで働いている生徒もいるから、そこでも何か言いたい事があったら言ってくれ」
授業の邪魔をしたく無いので静かにしたいが、また余計な事をしそうだな。
そう考えながら、商業科の教室に向かう。
そして、チャイムが鳴って高等部一年一組のクラスの前に到着する。
「私はアポを取ってないから、今から取りに行って来るな」
今回はまともだなと感じていると
「エタン先生、マーシュ先生、見学いいか?」
ドアをバーンと開けてそう言い放つミラナさん。
この光景を見たフィリスを除く四人〈俺も入っている〉は思わず固まってしまう。
「学園長、見学はいいですが、ドアを思いっきり開けないでください!」
怒っている男女二人の先生を俺達はただ傍観する。
「これだがら、学園長として問題があると言われるのですよ」
フィリスが何かを呟いているが
「ハルヤ君達、許可は取ったから中に入るぞ」
このバカ学園長に言われるのは何か腹が立つ!
「学園長、後で職員会議でこの事に追求するので、覚悟しておいてくださいね」
マーシュと呼ばれた先生が言い放つが
「別に、また文句を言われるだけだから問題無いぞ」
ダメだなこりゃ……。
「家主、この学園長はかなり問題があるのじゃないか?」
「フラウ、それを言ったらおしまいだ」
俺達は目立たないように、後ろの席を確保して授業を聞く事にする。
「ハルヤ先生、僕達ここにいても大丈夫なのでしょうか? 凄い目立ってますよ」
「ハッキリ言うが、大丈夫では無いと思うぞ」
俺はたまに振り向いて来る、商業科の生徒話を観ながら答えた。
それから少しして、授業が始まる。
「それでは、今回はポーション系の市場の話をしますね」
まさか、ポーション系の事を聞けるのはラッキーだな。
俺は、メモをする為に懐から手帳とペンを取り出す。
「まず、基本的に出回っている十等級回復&魔力ポーションですが、基本的には市場の相場は三万から五万フロンですね。ただ、この学園都市ては消費が激しいので、高くなる傾向がありますね」
まぁ、普通だな。品物はは安く仕入れて高く売るのが基本だからな。
「質問いいですか? この学園都市で十等級のポーションの値段の相場最高はいくらになったのですか?」
一人の生徒が手を上げて質問したので
「それは、数年前に一本七万フロンしたよ。その時は大型討伐作戦が決行された年だ」
大体、相場よりもかなり高くなっているな。
まぁ、俺のポーションも緊急事態の時にはかなり高値で売れた事を思い出す。
それから、授業を聞いていたが大体知っている事だったので、メモを取るだけにした。
「ハルヤ君、今回は静かだったね」
「えぇ、特に感想は無いですね」
やはり、ここでのビジネスは難しいなと思い、このクラスから出て行く。