授業参観?
横にフラウ、前のソファーに座っているのはミラナさん、その後ろに立っているのは駄メイドことフィリスの四人の話し合いが始まる。
「さて、まずはハルヤ君が扱って欲しいのは、回復ポーションと魔力ポーションになるね。値段の方はそっちが決めてもいいけど、あまりにも高いと却下させてもらうけどね」
「では、元々ウチで扱っていた値段で取引しますね」
俺は紙に書いて来た値段表を渡す。
十等級ポーション、五万フロン
九等級ポーション、十万フロン
八等級ポーション、十五万フロン
七等級ポーション、二十万フロン
六等級ポーション、三十万フロン
ちなみに、値段はこんな感じだ。
「なる程、少し高めだが許容範囲内だな」
「それはよかったです。ただ、販売場所はどうすればいいのですか?」
俺が一番気になっていた事を聞いてみると
「場所は何とか見つけたよ。ただ、土地をプレゼントするのは出来なかったから、学園の校内になってしまったけどね」
正直言えば、店を出したかったけど、流石に新参者だから無理だよな。
「まぁ、場所は悪くない所だから生徒が結構来ると思うよ。あと、ハルヤ君とフラウちゃんは戦闘科しか見に行ってなかったから、今日は生産科と商業科に行こうと思うけど大丈夫かい?」
「大丈夫ですが、前みたいに生徒が吹っ飛んで来ないですよね」
俺は、前に見た光景を思い出す。
「ハハハ、今回はそこまで危険は無いと思うよ」
「それだと良いのですが……」
この人が言うと、何故か納得出来ないのは気のせいだろうか?
「ハルヤ様、学園長はめちゃくちゃな人なので、あんまり信じない方が良いですよ」
「フィリス、お前は雇い主がいる前でそんな事を喋るのか?」
「なんじゃ、あんまり信用されていないようじゃな」
それを言ったら終わりなような気がするが……。
「オッホン。それはさておき、ハルヤ君、フラウちゃん。早速だが二つの科を見に行くぞ」
ミラナさんは誤魔化したいみたいなので、ここは静かにそれに乗っかる。
「家主はやはり苦労人じゃな」
「フラウ、今はその事を言うな」
小声で話して来たので、俺は同じく小声て突っ込む。
そして、あんまり学園長室にはいなかったが、これから生産科と商業科を回る事になった。
廊下を歩いていると、授業が始まっているらしいので、通りかかるのは先生が多い。
ただ、やはりチラチラ見てくるのでこちらも気になってしまう。
「家主、そんなに気にすると返って目立つと思うのじゃ」
「確かにそうかもしれないが、どうしても気になるんだよ」
こんな体験始めてだから大変だ。
まぁ、そこは置いといて、特にイベントも無く生産科の錬金術室の前に到着する。
「生産科は、クラスで行われる勉強以外に選択で、鍛治、錬金術、魔石加工、木工+服の生産などに分かれている」
「今回は、部屋の名前の通り錬金術を見る事になるのですね」
「そうだ、もし何か思った事があればドンドン意見を言ってくれ」
ミラナさんがこちらを見て来たので
「あんまり無さそうですが、何かあれば言いますね」
とだけ伝えておく。
「分かった。それじゃあ私が入るからついて来てくれ」
「了解です」
俺達はその言葉に頷いたので
「ユーナ先生、昨日見せたポーションの作成者を連れて来たぞ」
もはや、学園長はなんでもアリなのかと思ってしまう。
「あの、学園長。今授業中なのは分かっていますか?」
ユーナ先生と呼ばれた女性が、怒りながらミラナさんに発言するが
「まあまあ、優秀な錬金術師をスカウトして来たから、後ろで観覧してもいいか?」
なんか全然気にしてないな。
というか、入るタイミングを逃したのだが……。
そう考えていると
「それじゃあ、入って来てくれ」
嫌だが、逃げるとさらに面倒な事になりそうなので、入ってみる。
すると、生徒から
「やっば、情報通りかなりのイケメンじゃない!」
「チッ、なんでイケメンが来るんだよ」
女子生徒は盛り上がって、男子生徒は険悪なムードになっているな。
だが、俺の後にフラウとフィリスが入ると男子の目はそちらに行ったので
「みんな、この人達は授業参観するだけなのよ。自分の調合に集中して」
ユーナ先生がそう言って生徒達を調合に集中させるが
「そこの茶髪の男子生徒。素材の切り方がバラバラになっているぞ。少し借りるな」
「貴方、何をやっているのかしら? 邪魔をしないでください」
「ユーナ先生、口出ししても良いと言ったのは私だ。それに錬金術なら恐らく貴女よりも上だぞ」
何か向こうで言っているが口出ししてもいいなら容赦なくさせて貰う。
「この素材はあんまり見た事が無いが、基本は大きさを均等に切るのがいいんだ。バラバラだとズレがあるからな」
「そうなんですか? でも、僕は不器用で中々均等に切れないんです」
「それなら、時間はかかるが定規などで測って切るのがいいぞ。あと、錬金釜も借りるぞ」
俺は思いっきり授業妨害をしているが、とりあえず素材を均等に切って錬金釜に入れて魔力を込める。
「なんて魔力なんですか!? 質も量も桁違いですよ!」
生徒や先生がガン見しているが無視する。
「家主は魔法も超一流で魔力も桁違いなのじゃ」
「おっと、それは聞いていなかったな。ハルヤ君は何属性を使えるんだ?」
「それは言えないのう。でも、見たら絶対驚くのじゃ」
なんか、外の会話がマズイ方向に行っているような気がするけど、錬金に集中する。
それからポーションが完成して、瓶の中に入れて見せると
「嘘でしょ、これが十等級回復ポーションなの……。正直、わたしのよりもかなり良いものよ」
なんか凄い凹んでいるみたいだ。