通勤ラッシュ
学園長こと、ミラナさんの所に行こうと思ったのだが
「なんか凄く見られてないか?」
「そうじゃのう。制服を着た生徒や先生がこちらをガン見して来るから、居心地が悪いのじゃ!」
「ハルヤ様、フラウ様、仕方ないですよ。昨日あれだけ目立っていたのですから。後、学園の関係者が持っている携帯通信魔道具の提示板に、ある程度の情報が書かれていますね」
フィリスが板みたいな携帯通信魔道具を見せて来る。
「えっと、『イケメン錬金術士と従妹の幼女の二人組が学園で商売を始める事になった。商品の回復ポーションは等級以上の性能がある優れ物です』なんだこれ?」
「昨日、家主が回復ポーションを売った戦闘科の生徒に取材をしたと書いてあるのじゃ」
しまったな、宣伝効果がありそうだから売ったけど、こうなるとは思ってなかったな。
「ハルヤ様の回復ポーションはかなりの性能なのですね。私も怪我をした時用に何本か欲しいですね」
「それなら、お金は払って貰うがいいのか?」
「後で、経費として学園長に送らせて貰うので別にいいですよ」
「かなりズルく感じるのは気のせいかのう?」
フラウがジト目でフィリスを見ていたが
「ズルくないてすよ。私はちゃんと働いていますから、エッヘン」
なんか胸を張って言われたので
「そうか? まぁ、それはおいておいて、学園に行く為のモノレール乗り場はかなり混んでそうだな」
モノレール乗り場で混雑していると大変だな。
「確かに、この時間は通勤ラッシュなのでかなり混んでますね。なので、そこは我慢してください」
「ちゃっと待つのじゃ! それじゃと妾が迷子になりそうなのじゃ」
フラウ、それを堂々と言うのか……。
「ハルヤ様、フラウ様と私に手を繋いで貰っても大丈夫ですか? それなら迷子にはならないと思いますが」
「それじゃ! 家主、妾と手を繋ぐのじゃ」
「いや待て、まだモノレール乗り場についてないぞ。あと、フィリスはしれっと俺と手を繋ぐと言っているんだ?」
「それは、秘密です」
フェリスが可愛いポーズをとっているが、やっている事は幼馴染と似ているのでスルーする。
そして、何とかモノレール乗り場に到着したが
「家主、めちゃくちゃ混んでいるで手を繋ぐのじゃ」
「まぁ、迷子になられるのは困るから仕方ないか」
俺はフラウの手を握ってホームに立っていると
「ハルヤ様、フラウ様、ホームは狭いのですが大丈夫ですか?」
「これが大丈夫に見えるか!? 人の密度がかなり高いから蒸し暑いぞ」
「家主が言う通りじゃ! しかも、妾は背が低いからさらにしんどく感じるのじゃ」
もはや文句しかないが、モノレールが来たので何とか乗り込んで二人席を確保する。
「席は確保出来たから良かったが、逆に出るのが難しくないか?」
俺は出入り口を見て話すと
「大丈夫だと思いますよ。今、モノレールに乗っているのは大半生徒か先生なので、学園前になったら降りると思います」
「それは良かった。ただ、一つ言いたいことがある。それは、なんでフラウは俺の膝に乗っているんだ?」
「答えは簡単なのじゃ。ここしか妾の座る所がなかったからじゃ!」
ドヤ顔で言われても呆れるしかない。
「ハルヤ様、私には何かないのですか?」
「おいメイド、なんでそうなるんだ?」
「フラウ様だけズルいですよ! 私だって頑張って働いているのに、ご飯くらい奢ってください」
こっちはこっちで我儘を言って来た。
「そこは経費を使えばいいと思うのじゃ。家主に負担をかけるのはやめるのじゃ」
「正論には聞こえるが、お前にもブーメランが返って来ると思うぞ」
色々突っ込みを入れていると、目的地の学園前に到着したのでモノレールから降りる。
「やっと降りる事が出来たが、通勤ラッシュという物はかなり大変だな」
「そうじゃのう。朝のモノレールに乗るのはやはりしんどいのじゃ」
「私は何回も経験があるので慣れていますが、ハルヤ様とフラウ様は慣れておられないのですね」
こっちは田舎街から出て来た人だぞ!
そう突っ込みたがったが、情報を渡すと面倒なので黙っておく。
それから、ミラナさんがいる場所である学園長室前歩く時も、周りから注目されたので何とかスルーした。
「ハルヤ様、フラウ様、やっとの事で学園長室まで到着しましたが、大丈夫ですか?」
「何とか大丈夫だと思うが、注目されるのは面倒だな」
俺がそう答えるとフィリスはドアをノックする。
「ちょっと待つのじゃ! 少し休憩してもよいかのう」
「ノックしたので、それは無理ですね」
この駄メイド何しているんだ!?
俺とフラウはこのフィリス(バカ)にキレそうになるが、ドアが空いて
「やっと来たか、待ちくたびれたぞ」
そこには、眠そうなミラナさんが出て来て、これから話し合いが始まった。