報道部副部長、シエル
そして、食事と風呂などを済ませるとある事を思う。
「フィリスは着替えはどうするんだ?」
「それは、今回の任務は重要な事だと言われたので、アイテムポーチを借りる事が出来ました」
普通に監視者とかの情報をペラペラ喋って、ゆったりソファーで横になっている駄メイドが
「それで、ハルヤ様とフラウ様は何者なんですか?」
「何者と言われても答えるのが難しいから言えないな」
悩んだ結果、何とか言葉を見つけて話す。
それに、本当の事を言っても信じてくれるかも分からないからな。
「それはズルく無いですか? 私だけに情報を言わせて、そちらは何も言わないのは」
なんか拗ねているように見えるが、俺はスルーする。
そして、眠りかかっているフラウは
「家主、妾は寝て来るのじゃ」
と言って寝室に向かう。
「確かにお子様は寝る時間ですね。さてハルヤ様、貴方自身の事を説明してくださいますよね」
さっきより圧を感じるような気がするけど
「言っておくが、お前が俺の話を信じる事の可能性は皆無だと思うから話しても無駄だ。それと、気持ちの整理をつけたいからな」
俺は、少し声を小さくして喋る。
「なる程、かなりややこしい事が起きているのですね。わかりました、ここは一旦引きます」
「ありがとう」
俺達は、時計を見て夜も遅くなって来たので今日はお開きにする。
次の日、身支度と朝食を済ませてゆっくりしていると呼び鈴が鳴る。
「誰でしょうか? 私が出て来ますね」
フィリスがイスから立ち上がって玄関に向かっている間に
「家主、昨日はあの駄メイドと何を話したのじゃ?」
「俺達の細かい事を聞かれたけど、何も言えなかったな」
「妾達には説明が出来ないのう」
俺はテーブルに置いてあるお菓子を摘みながら、入り口を見ていると、フィリスが帰って来て
「ハルヤ様、情報部の人達がお話を聞きたいと、朝から駆けつけたらしいですがどうされますか?」
「報道部、なんか嫌な予感するが……」
「別に大丈夫だとは思いますよ」
なんか曖昧だな。
まぁヤバイ事さえ話さなかったらいいかと思って外に出ると
『カシャカシャ』
とよくわからない魔道具のフラッシュを浴びた後、目線の前にいる、ソバカスの少女が声をかけてくる。
「始めまして、ワタシは報道部副部長のシエルと言います。貴方が噂になっている錬金術師の方ですか?」
「いや、錬金術師は副業でメインは雑貨屋の店員ですよ」
ここでも説明がいるのかと感じたが
「学園長から、新人で腕利きの錬金術師が生産科の生徒に授業するとお聞きして飛んで来ました」
「いつ聞いた……。それに学園長も余計な事言い過ぎでしょ」
思わず頭を抱えたくなる。
「あの、大丈夫ですか? 顔色が悪い様に見えますが……」
「なんとか大丈夫です。それよりも報道部の皆さんは何を聞きたいのですか?」
顔を上げて聞いてみたら
「まずは、学園長が唸る程の方がいきなり学園に現れたので取材したい事ですね」
「あの程度で唸っている意味が分からないのですが……。」
「いやいや、戦闘科のクラスではこの話題で持ちきりでしたよ!」
前に大量に作っていたから、その感覚が無いんだよな。
「忘れていました。まだ、お名前をお聞きして無かったです!」
なんかアワアワしているが無視して
「自分の名前はハルヤです」
名前だけ言ってドアを閉めようとするが
「ちょっと待ってください! なんで、しれっとドアを閉めようとしているのですか?」
足をドアの隙間に入れられたので閉める事が出来ない。
「面倒そうなのでお引き取りください!」
「お断りします。最新の情報を報道するまでワタシは帰れないのです!」
せっかくの朝が台無しじゃねーか!
俺は力を入れて閉めようとするが、向こうは引っ張って来るので
「ハルヤ様、何をやっているのですか?」
リビングにいたフェリスが玄関に来て俺達の状況を見て発言する。
「取材拒否したらこうなった」
正直、こう喋るしか無いのでストレートに話す。
「では、ワタシが喋りますね。ハルヤ様はリビングでのんびりしていてください」
「悪いな。でも、変な事話すなよ」
俺は、一応釘を刺してドアから手を離してリビングに向かうと
「メイドさん。さっきのイケメンさんに取材させてください!」
「ハルヤ様の情報はこちらでもハッキリしていないので、取材はまた今度にして貰えますか?」
言い合っているな、声がリビングまで聞こえるぞ。
数分後、言い合いが聞こえなくなったので玄関に向かう。
「何とか追い返せました。ハルヤ様、フラウ様、そろそろ時間ですので、学園長様の所に行きましょう」
時間なのは分かっているが、何か凄い嫌な予感がするのは気のせいでは無いよな。