リーディング学園都市
俺がエクス達の怪我を治した報酬を、どうするかの話し合いになったのだが、何故か四人が思いっきり頭を下げてくる。
「ハルヤさん、オレ達は借金をしてでも治療費は払いますので、奴隷落ちだけは勘弁してください」
全員半泣きになっているので
「別に俺が勝手にやった事だから、報酬は要らないぞ」
流石にこの状況はマズイと思ったので、口を開く。
すると
「それでは、オレ達が得をしすぎてしまう。なら、ハルヤさんは何か困った事はないか? 出来る事ならなんでもするからさ」
なんか、コイツら面倒だな。
なら今現在困っている事を話す。
「そうだな。仲間に会えないのが一番困っているが、それをなんとかしろは無理だし、それなら街まで案内してくれるか? それと魔物の魔石を売れる所まで連れて行って貰えるか?」
まずは、お金を手に入れないとマズイと思ったので、こう喋る。
「それなら大丈夫ですよ、僕達が案内します。もちろんそこまでにかかるお金はこちらで負担します」
なんか、裏がありそうで怖いと考えてしまうが
「よくよく考えたら、この国では回復魔法はかなり貴重なのか?」
この事を聞いてみたら
「この国では、回復魔法はかなり貴重です。なので、最低でも一回二十万フロンかかります。ちなみに、私達の怪我だと軽く百万フロンかかると思います」
それならエクス達が怯える訳も分かるな。
「家主、そろそろ移動するのじゃ!」
フラウが周りを見ながらそう話す。
「そうだな、エクス達は動けるか?」
俺は四人組に質問してみると
「オレ達は全然動けるぞ。それに体も全く痛くないから、腕利きの回復魔法使いなんだな」
「それは分からないな」
そう話し、この森を出る為に歩き始める。
少し歩いて森を抜けて平原みたいな所に出ると、遠くに壁みたいな物が見える。
「ハルヤさん、あそこの壁の中にわたくし達が通っている学園がありますわ」
「そうか、でも完璧に部外者の俺達は中に入れるのか?」
ここで入れなかったら、フラウと二人で森の中の魔物を倒しながら生活しないといけないな。
そう考えていると
「それは、大丈夫ですわ。わたくし達が一緒にいるので、何か聞かれるかもしれないですが、そこは何とかしますわ」
「悪いな、迷惑をかけてしまって」
「いえ、ハルヤさんがいなければわたくし達は恐らくここには帰ってこれて無いので、そのお礼です」
「家主、相手がそう言っているなら、別に気にしなくていいではないかのう」
それならそうさせてもらうか。
俺は頷いた後、学園都市まで案内してもらう。
「しかし、学園都市とはどういった所なんじゃろうか?」
「さあな、俺もローゼから聞いた事があるだけで、そこまで知らんぞ」
結構楽しみだな。
俺達はかなりの時間歩きながら、話していると
「ハルヤさん、フラウさん、ここがリーディング学園都市です」
「近くで見るとかなり大きいのじゃな」
外壁の大きさて言うと、ソーラント辺境伯領と同じかそれ以上だな。
「この都市は人がかなり多いから、迷わないでくださいね」
俺達は入り口から入ろうとしたが
「君たち二人は何者だ?」
と衛兵に呼び止められてしまう。
「自分はハルヤです。横にいるのは従妹のフラウです」
マズイ事になりそうかと思った時に
「衛兵さん、この人達はオレ達を助けてくれた人だ」
エクスが衛兵さんにそう話す。
「なる程、お前たちはグロース学園の生徒だな。それなら細かい話を聞かせてもらおうか」
そして、俺達六人は相談室みたいな所に連れて来られた。
最初に俺とフラウは何処から来たのかを聞かれたが
「他の街から来ました。多分衛兵さんが知っているより遥かに遠い所です」
と伝えて無理矢理だが、実際そうとしか言えないからな。
そう思っていると
「嘘をついているようには見えないな。ただ、この学園都市に何をしに来た?」
意外と分かってくれる衛兵さんでは?
そう思い俺は続きを話す。
「自分は商人で雑貨屋の店員なので、商売を出来たらいいなと思っています。ちなみに、さっき倒したグレーウルフの魔石はどうすればいいですか?」
こちらも金銭がないのでこの事を聞く。
すると、衛兵さんは
「それなら、総合ギルドに持っていけばいいぞ。ただ、私達が君たちを止めているから、代わりに換金して来ようか?」
さっきより口調が優しくなったような気がするので
「お願いします」
と答えておく。
そして時間が過ぎて、色々話した特に問題は無いと判断されたので、グレーウルフの魔石五個を換金したお金を貰う。
「その中には、五万フロンが入っているから大切に使えよ」
なる程、グレーウルフの魔石は一個一万フロンなんだな。
「こちらからは聞く事は終わったから、都市に入ってもいいぞ」
衛兵さんはそう言って街の入り口に案内してくれる。
「家主、疲れたのじゃ。何処かでゆっくりしたいのう」
フラウも疲れているみたいなので、エクス達と別れて一般的な値段の宿屋に入って休む事にする。(一泊、一人四千フロン)