第一住人?発見
今日から一日一話投稿に戻ります。
俺はまず、双剣使いが相手をしているグレーのオオカミを狙う事にする。
天銀の弓を構えて、魔力を込めて矢を出現させたあと、引いて狙い撃つ。
込める魔力量はかなり落としたので前みたいな威力は出ないと思うが、結果はオオカミを貫いてもう一匹も一緒に貫いてしまう。
……。 魔力量をかなり落としてもこの威力か。
そう思いつつ、残り三体も全部矢を撃ち込んで倒す。
そして、ボロボロの四人に
「回復魔法第二階」
を発動して、怪我を治す。
「お前、回復魔法使いだったのか!?」
なんか、四人がかなり驚いているが
「本職では無いけどな。俺はただの雑貨屋店員で、今は遭難者だ」
と話すと
「家主、妾の出番が無かったのじゃ」
「お前、なんか不貞腐れてないか?」
フラウが不機嫌になっているので、なんかあれだなと考えながら、とりあえず情報を手に入れようかと考える。
「それよりこの森はなんだ?」
「えっ、貴方はこの森を知らないのかしら?」
前衛だった少女がそう聞いてくるので
「まぁな、俺は事故でここにいるからな。正直ここが何処かわからないんだよ」
「成る程です。でも、僕達にその証拠は見せられますか?」
ナイフで震えながら攻撃していた少年がそう聞いてくる。
「とりあえず、俺がいた所のお金を見せるな」
俺はポーチからパル金貨を取り出すと
「確かに、この国では使われていないお金ですね。ちなみにこの国で使われているお金はこちらです」
話を聞いて、この国では〈フロン〉という通貨が使われているみたいだ。〈一フロン=一円〉
となると、俺は無一文になるな。
そう思っていると
「あの、すみません。イケメンな貴方とそこの少女の名前はなんて言うのですか?」
後衛の弓使いの少女が、名前を聞いて来たので
「俺達より、先にそちらが名乗るのが先じゃ無いのか?」
と返してみる。
「確かにそうだな、じゃあオレから名乗るな。オレの名前はエクス、リーディング学園都市にあるグロース学園の高等部一年だ。ここは危険地帯だから自己紹介はこれで終わるな」
金色の髪色で顔もそこそこ整っているな。
「次は僕だね。僕の名前はハイド、学園と学年はエクスと同じ一年だよ。これ以上は特に無いよ」
水色の髪色で少し少女ぽい顔立ちをしているな。
「次はわたくしの出番ですわね。わたくしの名前は、グレイス、学園と学年は二人と同じですわね。色々喋りたいけど、エクスの言う通り、ここは危険地帯だからこれで終わるわ」
赤色の髪色に縦ロールの貴族風女子だな。
「最後になりましたね。私の名前はフレイです。学園と学年はみんなと同じです。これで終わります」
薄緑色の髪色にショートカットの女子だな。
成る程、と思いつつ聞いていると
「次はアンタ達の番だな」
とエクス? がそう言って来たので
「そうだ、じゃあ始めるな。俺の名前はハルヤ、職業は雑貨屋で商人だな。歳は十八歳だ。あとは特に言う事はない」
とりあえず、この自己紹介で大丈夫だろ。
そして、次にフラウの自己紹介が始まる。
「妾の名前はフラウじゃ。横にいる家主は妾の従兄妹で、歳は今年で九歳なのだ。よろしく頼むのじゃ」
最初に人にあった時の、自己紹介の打ち合わせをしといて良かったと、この時は思う。
「さて、自己紹介はおわったな。それでは、改めて聞く、ここはどこだ?」
この事を聞かないと話が進まないから多少強引にでも聞く。
すると、エクスが衝撃的な事を話す。
「ここは、エフォート公国の学園都市リーディングにある試練の森だ」
……はっ!? 全く聞いた事がない国なんだが
そう思っていると
「恐らくハルヤさんがいた国から、かなり離れた場所にこの国があると思います」
それを聞いて思わず膝から崩れてしまう。
「なん……だと」
俺はレイナ達を思い出して泣きたくなるが、ここは何とか我慢する。
「ハルヤさん、大丈夫か?」
エクス達も心配しているので、ハンカチで顔を拭いたあと
「何とか大丈夫だ。それよりも俺はこの国のお金もないし、ルールも知らないけど大丈夫なのか?」
とりあえず、話を変えてみると
「お金の方でしたら、グレーウルフを売ったらある程度は稼げますよ。この魔物は僕達が先に戦っていましたが、ハルヤさんに助けて貰ったのでそちらの物ですよ」
なる程、それなら貰うか。
俺は解体用ナイフを取り出して、魔石だけを回収すると
「ハルヤ殿、他の素材が入らないなら、わたくし達がいただいてもいいかしら?」
「おい、グレイス! 今回はハルヤさんが倒してくれたから俺達は生きているんだぞ」
エクスが起こりながら、グレイスにそう言うと
「それは分かっていますわ。でも、ハルヤ様は素材は要らないように見えましたので、そうお聞きしました」
ほう、よく見ているな。
「確かに、俺は魔石以外は持ち運ぶのがしんどいから、要らないぞ」
と答えると
「なら僕達がいただくね」
とハイドが言ってきたので頷く。
「ハルヤさんありがとうございます」
フレイも頭を下げてきたが、エクスがある事を話す。
「まぁ素材はともかく、俺達はハルヤさんに怪我を治して貰ったから、報酬を払わないといけないからな。そして、俺達が持っているお金では到底足らない
ぞ」
その言葉で、四人はかなり暗くなった。