転移先
フラウの口調を少し変えてみました。
俺はリビングに倒れていた。
「家主、家主、起きるのじゃ」
なんか、幼い女の子の声がする。
俺は目を開けて見ると、茶髪のロングヘアーの八歳くらいの女の子が俺を揺すっていた。
「君は誰だ?」
俺は何とか座り込んで、そう聞くと
「家主、やっと起きたのかのう」
幼女? が抱きついてきたので
「いや、だから君は誰なの?」
と再度聞いてみると
「この姿では初めてなのじゃ。妾はこの店の付喪神で名前はフラウじゃ。
……はっ!? いやいや付喪神!?
俺はフラウと言った幼女付喪神? をみて、ある事を話す。
「確か、爺さんが物を大事にすると付喪神がつくんじゃよとか言っていたよな」
「そうそれじゃ、妾はその付喪神」
なんか、話がややこしくなりそうなので、この話は一旦置いておく。
「とりあえず、信じられないが君を付喪神として、なんで今現れたんだ?」
「それは妾の本体である雑貨屋エルガリオンが、転移魔法使いの仕業で他の場所に、転移させられた反動だと思うのじゃ」
転移か、さっきの光は転移魔法だったのか。
でも、そうなるとなんで俺の店を狙ったんだ?
そう考えていると
「それよりも、見ているだけだった家主に触れるなんて夢のようじゃのう」
と俺の膝の上に乗っている。
だが、この状況は色んな意味でマズイので
「えっと、フラウちゃんと言ったけ? とりあえず何が出来るんだ?」
「妾と家主はマイホームというスキルが使えるようになったぞ。説明はプレートを見るのじゃ」
そう言って渡されたプレートには、アイテムポイント(AP)と家の近くの地図が見れた。
「なぁ、このAPとはなんだ?」
「それは、魔物を倒した魔石などを換金すると、ポイントに変わって、色んな物が交換できるのじゃ」
成る程、それなら魔石を換金してみるか。
俺は近くに置いておいた、アイテムバックからモンスターの魔石をポイントに変換してみると
「なぁ、二百ポイントと出たけど、これは多い方なのか?」
〔うーん、一ポイントが大体百パルくらいだから、あの魔石で二万パルくらいじゃな」
二万パルか、結構いい値段だな。
そう思っていると
「家主、そろそろ外に出ないかのう? この辺は木が沢山ある森みたいなのじゃ」
「そうだな。とりあえず街か村を探したいな。まず、何処に転移したか知りたいからな」
とりあえず私服から、ミスリルを使った戦闘用の装備に着替える。
そして、天銀の弓を召喚して、アイテムバックをせよって、フラウと一緒に外に出るが
「あのフラウ、普通のワンピースにズボンで大丈夫なのか?」
「それは大丈夫じゃぞ。妾は結界魔法にはかなりの自信があるのじゃ!」
成る程、それでもかなりの使い手みたいだな。
ただ、
「ここに店を置いておくのは心配だな」
と思っていると
「それなら、こうすればいいのじゃ」
フラウが手を振るとと雑貨屋が一瞬で消える。
「えっ!? 一体何をしたんだ?」
「簡単だ! 元々妾の本体なのじゃから他の場所に保管する事が出来る。それに〈ストレージ〉が使えるのじゃ」
ちょっと待て、〈ストレージ〉はかなりレアなスキルだぞ。
そう思っていると
「家主、とりあえず街に向かわないかのう? ずっとここにいる訳にはいかないじゃろ」
なんか、幼女に言われるのは違和感があるが、確かにその通りなので
「分かった。でも、どっちに進む? まぁ、食料や水は大量にあるから、ある程度時間をかけても大丈夫だけどな」
そう話しつつ、かなりの時間を歩いてみる。
「しかし、森の中は歩きにくいな。でも、草は短いから歩きにくいという訳ではないな」
「家主、あそこを見るのじゃ!」
突然、フラウがそう言って来たので、指を指した方を見てみると
「あれはなんだ? 見た目はグレーのオオカミみたいだな」
五匹くらいのグレーのオオカミが群れをなして、何かを襲っている。
相手を見ると、ローゼに前に見せて貰った学園の制服と似た服を着た男女四人が戦っていた。
前衛は片手剣と盾を持った女子と、片手剣を二本持って双剣にしている男子、ナイフを持っているがビビっている男子、弓を使って何とか攻撃している女子の四人だ。
なんか、かなりボロボロだな。
仕方ない、とりあえず聞いてみるか
「あの、少し大丈夫ですか?」
向こうは戦っているので大きめの声で言ってみると
「ちょっ!? なんでここに人がいるんだ! とりあえず助けてくれ」
金髪の少年がそう言って来たので
「了解した」
「家主、防御は妾に任せてくれなのじゃ」
「ありがとな、フラウ」
俺とフラウは新天地で初めての戦闘を始める。
ただ、一つ思う。
これは、業務外だよな……