ポーション作成
そして、相談して決めた内容を商業ギルド長に話すと
「確かに作る場所の指定は無かったから、この条件でいいぞ。それよりも明日から作成に入ってもらえないか? 素材なら用意してある」
カチスさんから許可が貰えたので
「それでは失礼します」
と言ってギルド長室から出る。
「ハルヤ様、本当にありがとうございます。もし、受けてくださらなかったどうしようと考えていました」
トマナさんが半泣きになりながら喋ってくる。
「こちらの条件が通ったので受けただけですよ」
俺は、今回の護衛のレイナとソルを見ながらそう話す。
そして、素材を貰って商業ギルドから出ると
「ハルヤ君、やっと見つけたよ」
俺はその声に振り向くと、冒険者ギルド副長であるクルフトさんが息を切らしながら、こちらを見ていた。
なんか、凄い嫌な予感がするが
「クルフトさん、ハルヤに何か用があるのですか?」
ソルが牽制の為に口を開くと
「そうだよ。細かい事は冒険者ギルドの会議室で、話すからついて来てくれないかい?」
「あの、今商業ギルドでカチスさんから緊急の依頼を受けたので、正直言って無理です」
とりあえず、逃げよう。
俺達は頭を下げて、クルフトさんから逃げる様に離れる。
そして、何とか逃げ切れたので、店の中に入って
「何とか、逃げ切れたな」
「そうだな。でもハルヤ、逃げても大丈夫だったのか?」
「これ以上面倒ごとは無理だ!」
俺は息を切らせながら、そう話す。
「確かにみんなハルヤに面倒ごとを押し付け過ぎよね」
「お前がそれを言うか?」
俺は、前にあった区画整理の事を忘れてないぞ。
その事を突っ込もうとしたが
「ハルヤ、区画整理の事はごめんなさい」
と先に謝られてしまう。
「まぁ、それは置いておいて、いい加減長期休みが欲しい」
「確かに欲しいな。でも、その間の食費とかはどうするんだ?」
それは今までの貯金で何とかなるだろ。
そう思いつつ、俺は錬金部屋の前に着いたので、レイナとソルには他の事をしてもらい、俺はアイテムバックから〈七等級 回復ポーション〉の素材を取り出して、錬金を始める。
錬金のやり方は、錬金窯に切った素材を入れて、魔力を込めながら混ぜると、ポーションなどが完成する仕組みだ。
ただ、量の制限があるので一回で百本くらいが限界の量になる。
俺は素材を切って、錬金窯に放り込んでひたすら魔力を込めながら混ぜる。
そして、五百本くらい完成した所で、ソルが夜飯が出来たと言って呼びに来た。
俺は『今日の作業は終わりだな』と思って、錬金窯に洗浄魔法をかけて置いておく。
そして、ソル達が作った料理は美味しかった。
(レイナは料理を作らせると大惨事になるので、他の事をしていたみたいだ)
そして、風呂も入り終わって雑談タイムに入ると
「ダンナ、ポーションの方はどれくらい作れたんだ?」
「それは、五百本ちょっとだな。これ以上は流石に厳しいな」
俺は消耗した体力と魔力を考えながら、そう話す。
「ハルヤ君はよくそんなにポーションを作れるね」
「それは、慣れだな。そうとしか言えない」
俺は昔から作っていた事を話すと
「普通の錬金術師は三百本が限界だと思うよ。それに、こんなに魔力を使ったポーションなら、十本がギリギリだよ」
なんか、俺の感覚がおかしくなっているな。
そう思いつつ、そろそろ寝る時間になったので寝ることにする。
それから一週間、俺はひたすらポーションを生産しては、レイナ達に商業ギルドに運んで貰うを繰り返す。
そして、ポーションを作り終わって、アイテムバックで運んで貰ったレイナも帰って来たので
「ハァ、やっと終わった」
俺は、リビングのソファーに横になってそう喋る。
「ハルヤ、お疲れ様。わたし達も雑貨屋店員をして、楽しかったわよ。今日は料理を作る体力はないから、外に食べに行きましょう」
「そうだな。今日はいつもの食べ放題の店じゃなくて、焼肉屋の所に向かうか」
「俺様も頑張ったから大量に食べたいぜ」
ルージュがヨダレを垂らしそうになっているので
「それじゃあ、行きますか」
俺達はそう言って焼肉屋に向かって歩き始める。
「ここがターゲットの家か」
近くにいた、怪しい人物に気づかずに、俺達はこの生活が続くんだと思いっていた。
そして、この事がきっかけで俺達にある事が起きる。
その時まであと僅か。