商業ギルドで会議
あの後、商業ギルドに赴く事になり、細かい説明を受ける事になった。〈商業ギルドに向かうのは俺とルージュの二人〉
その時に、会議室で新しい商業ギルド長と商談する事になってしまう。
見た目は、眼鏡をかけた初老の執事風の人だ。
「わしの名前はカチスだ。君が、凄腕の回復魔法使いで錬金術師のハルヤ殿で合っているか?」
「合ってはいますが、自分の本業は雑貨屋の店員ですよ」
凄腕と言われると、何か恥ずかしくなって来るのでスルーする。
「あの、ギルド長。ハルヤ様に今回の依頼の細かい所を話して貰えますか?」
横にいるトマナさんか発言すると
「それはそうだな。早速で悪いが、こちらの話を聞いてくれるか」
「はい、大丈夫です」
とりあえず、細かい話を聞いてみる。
「では、始める。まずは、何故プロトズ子爵様がポーションを大量に求めているか、それはモンスターのスタンビートが起きたのだ」
「なる程です。それで、子爵様がいる領が大変な事になったので、ポーションが必要になったのですか?」
「そうだ!」
なんか、カッコよく頷いていますが、その仕事を振り分けられる、こちらの身にもなっていただけないですか?
そう言いたかったけど、流石に辞めた。
そして、カチスさんは話を続ける。
「まぁ、理由が理由だから、何とか三万本を作りたいのだが、君も手伝って貰えるのか?」
「ハッキリ言いますが、雑貨屋もあるのでお断りしたいです」
よし、俺が言いたかった事が言えたぞ!
そう思っていたら、カチスさんが固まっていた。
横にいるトマナさんは
「ハルヤ様、何故ここで断ってしまうのですか!?」
とパニックになっている。
「あの、正直に言いますが、自分は伸び伸びと雑貨屋を経営していきたいので、その量の仕事をすると休まないといけないので、流石に難しいです」
それと、最近面倒ごとに巻き込まれているので、ゆっくりさせてください。
そう話すと
「ハルヤ殿。すまないが、そこを曲げてくれないだろうか? 報酬なら欲しい物があったら出来る限り用意させて貰う」
「確かに魅力的ですが、雑貨屋店員として来ているので、出来る分の生産なら良いですよ」
「それなら一日どれくらい作れる?」
それは答えるのが難しいが
「それは、等級によりますが、一日千本くらいだと思います。それ以上は魔力や体力の問題もあるのでかなりしんどいですね」
本当は魔力的には問題ないけど、体力的にかなりしんどいからそう話す。
「確かに、一日千本でも生産は大変だな。それなら、七等級ポーションをメインに作ってくれるか?」
「何故、七等級ポーションなのですか? ポーションなら等級は関係無いと、さっきお聞きしましたが」
魔力とかの関係上、ポーションの等級が上がると消費もかなり大きくなるのと、技術も必要になるから、数を作るのはさっきも言ったが、かなりしんどい。
そう考えていると
「同じ数でも等級が高い方がいいからな。それで一日千本を一週間作れるのか?」
なんか、かなり上からの様な気がするけど
「やろうと思えば作れます。ただ、一回仲間と相談しても大丈夫ですか?」
「それは許可しよう。出来れば今日中に答えが欲しいから、また商業ギルドに来てくれるか?」
「その時次第ですね」
俺は、護衛のルージュと一緒に会議室を出る。
そして、自分の雑貨屋に帰り、昼飯を食べた後、みんなに相談する。
まずは、商業ギルドと話し合った内容を言うと
「それは、かなり大変な問題ね。それと、アイテムバックが無かったらそれだけのポーションを運ぶのは大変よ」
「それと、ハルヤ君もそれだけの量を作るのはキツく無いかい?」
「ポーションを作る方は素材さえあれば何とかなるが、最近は店を長く休業していたから、またかみたいにはなりたく無いんだよ」
俺はその事をぶっちゃけると
「それなら俺様達が雑貨屋を切り盛りすれば良くないか? 確か、レイナとソルは日雇いで働いた事があるんだよな」
「そうだな。私はかなり不器用だからアレだったが、ソルは上手く働けていたからな」
「レイナ、さらっと自分が出来ない事をソルに押しつけて無いかい?」
エルが突っ込むと、レイナが笑い始めて俺達も釣られて笑ってしまう。
「まぁ、それなら何とかなるか。でも、錬金している所も見られたく無いな。正直、あの魔力量を見られたらかなりマズイ」
「そうだよな。でもダンナ、それなら素材だけ貰って来て、ここで錬金したら良くないか? ちなみに護衛は俺様達がするから安心してくれ」
「なる程、それならいけるな」
俺達はそのあとも色々話し合って、生産はするけど条件をつける事にする。
一つ目は、この雑貨屋の中で錬金をする。
二つ目は、ノルマとかを設けない。
三つ目は、素材を取りに行く時は護衛をつける
この事を、商業ギルド長に伝える事にする。